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金融系ベンチャーカンファレンス”Finovate Spring 2013”参加報告(その2) ~企業と利用者双方の持続的発展を目指した「金融弱者」向けサービス~

2013年7月1日(月曜日)

Finovateの第2 回参加報告では、 Unbanked / Underbanked層を対象とした金融サービスを提供するベンチャーに焦点を当ててご紹介いたします。米国では、銀行口座を持てないUnbanked、もしくは、口座を持ったとしても金融サービスを利用することができないUnderbankedと呼ばれる階層に属する人々が 6,500万人に上ると言われています。こうした人々は、銀行口座を持つことができないため貯蓄といった金融行動が行えなかったり、銀行に対する信用がないためローンを申込むことができなかったりと、通常の金融サービスを受けることができないために様々な不利益を被っています。今回のFinovateでは、こうしたUnbanked / Underbanked層(以下、本稿では「金融弱者」とします)に対して金融サービスを提供することを目指したベンチャー企業が多数参加しています。

※前回ならびに昨年の記事は、ページ下部の関連リンクをご参照ください。

利用者が自由に利用手数料を設定できるモバイルバンキングサービス”GoBank”

米国の多くの金融機関では、利用者の預金口座に対して口座維持手数料を課すほか、日常決済に用いる当座預金の残高がマイナスとなった場合、Overdraft Fee(超過引出手数料)と呼ばれる手数料が請求されます。このため、一般の金融機関に口座を持つことができない人はもちろん、口座を持つことができる人も銀行口座を決済手段として十分に利用できない環境にあります。 GoBankでは、こうした手数料を一切無料とし、代わりに利用者のサービスに対する満足度に応じて “チップ”を受け取るという、ほかに類を見ない手数料体系となっています。

GoBankは、2013年7月4日に開設予定のネット専業銀行であり、スマートフォンでの利用を前提とした利便性の高い機能が特徴的です。例えば、IDとパスワードでログインをせずに口座残高を確認できる機能や利用者同士がメールアドレスやFacebookアカウントを用いて無料で送金できるサービスなどを提供します。また、全米約42,000の提携ATMを無料で利用できるほか、利用するカードの券面をFacebookにアップロードした写真を利用して自由にデザインできます(デザインごとに9ドルの手数料)。このほか、利用者はこれらサービスに対するチップを0-9ドルの間で自由に設定でき、たとえ、0ドルに設定したとしても利用できるサービスが制限されることはありません。GoBankは、利用者がその満足度に応じて利用手数料を自由に設定できる新たなビジネスモデルにより、金融弱者層に限らず、一般的な金融機関のサービスに満足できない人々の獲得を目指しています。

GoBankのソリューション

<図1> GoBankのソリューション
(筆者撮影写真より)

税金の還付金口座から発展としたモバイルバンキングサービス”Refundo”

米国では、日本と異なり、ほぼ全ての人が年に 1度確定申告を行う必要があります。この際、月々の納税額の合計が確定税額より多い場合は、税還付を受けることができます。税還付の平均額は3,000ドル程度であり、多くの人がこの税還付の恩恵を受けています。しかしながら、銀行口座を持たない金融弱者層の人々は税還付金の受取り手段が小切手に限られており、街なかの小切手換金業者に高い手数料を払って現金化しています。Refundoは、金融弱者層でも低額の手数料で利用できる税還付用口座を即座に開設できるサービスを提供しています。今回の Finovateではこのサービスを発展させ、誰でも利用できるモバイルバンキングサービスを発表しました。

ニュージャージー州に拠点を置くRefundoは、複数の小規模金融機関と提携し、税還付を受けられる口座を開設しており、これに付随してモバイルバンキングサービスを利用者に提供しています。利用者は、税還付金の受取りのほか、スマートフォンで撮影した小切手や送金サービス事業者で受け付けた現金をこの口座に入金することができます。利用にあたっては、プリペイドカードが提供されており、利用状況がモバイルバンキング上に記録できるほか、一定の利用額を超えると通知するサービスが付与されています。 Refundoでは、基本的に口座残高に入金された金額内でのみ利用できるプリペイド型の銀行サービスを提供することで金融弱者層であっても利用しやすい金融サービスを提供しています。

Refundoのデモ画面

<図2> Refundoのデモ画面
(筆者撮影写真より)

低所得者向けインスタントローン提供”LendUp”

最後にご紹介するのは、低所得者向けのローン提供サービスです。米国でも日本同様、銀行以外にローンを提供する事業者が存在します。しかしながら、こうした事業者から提供されるローンは、高金利であることが多く、銀行のローンを利用できない金融弱者層は通常よりも高い金利を払っていることとなります。 LendUpでは、独自のスコアリングモデルを活用し、銀行でローンを申し込むことができない低所得者に対して少しでも低金利でローンを提供することを目指しています。

LendUpでは、申込者のクレジットカードなどの取引履歴、クレジットスコア、更にはソーシャルメディアでの活動などWeb上での行動履歴、住所などのパブリックレコードといった複数のデータを利用したオリジナルのスコアリングモデルにより、申込者の信用力を測定します。これにより、ほかの事業者と比較して低金利なローン提供を可能とします。また、LendUpでは、利用者向けに金融教育コンテンツを用意しています。この金融教育コンテンツを利用者が順番に受講していくことで金融に関する正しい知識が身に付くほか、コンテンツを受講するごとにポイントが与えられ、それが一定数に達するとより有利な条件で融資を受けることができます。LendUpでは、こうした金融教育コンテンツを用意することで金融弱者層が少しでも財政的に自立できるようサポートも行っているのです。

企業と利用者双方の持続的発展を促す新たな金融サービスの必要性

多くの金融機関はこれまで、金融弱者層に属する人々を自社サービスの顧客とみなしていませんでした。また、金融サービス事業者も金融弱者層に対して通常より高い手数料を課しており、これら階層の人々は一般の人々と同様の金融サービスを受けることができませんでした。こうした金融サービスの不公平さが金融弱者層から抜け出すことをより一層困難にする要因のひとつとなっていました。今回ご紹介したベンチャー企業では、金融弱者層を未踏の有望市場であるとみなして、サービス提供を行っているのが特徴的です。また、サービス提供にあたっては、公正な手数料体系を心がけると共に、利用者に対して金融教育を実施するなど、その経済的自立を促し、より良い生き方を支援することを目的としています。利用者の財政的な自立支援を行うことで安定的な金融サービスの提供を目指すこれらベンチャー企業のビジネスモデルは、利用者と企業双方の持続的な発展を促す大変興味深いものであると考えます。

(シニアコンサルタント 松原義明)

※弊社では、Facebookページも開設しております。当記事に関するご感想・ご意見は以下のリンク先までお願いいたします。

富士通総研 金融・地域ページ: https://www.facebook.com/Fujitsufrikc/

参考リンク

Finovate Spring 2013: http://www.finovate.com/spring2013/index.html

GoBank: https://www.gobank.com/

Refundo: http://www.refundo.com/

LendUp: https://www.lendup.com/

関連リンク

金融系ベンチャーカンファレンス”Finovate Spring 2013”参加報告(その1)

金融系ITベンチャーカンファレンス “Finovate Spring 2012” 参加報告(1/2)

金融系ITベンチャーカンファレンス “Finovate Spring 2012” 参加報告(2/2)