GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. コラム >
  3. IdeaTank for Financial Services >
  4. 2013年 >
  5. 金融系ベンチャーカンファレンス”Finovate Spring 2013”参加報告(その1)

金融系ベンチャーカンファレンス”Finovate Spring 2013”参加報告(その1) ~既存ネットワークを活用した利便性の高い決済サービス~

2013年6月3日(月曜日)

弊社では、毎年、次世代金融サービス動向を調査する目的で、米国で開催される金融系ITベンチャーのカンファレンスであるFinovateに参加しています。Finovateとは、FinanceとInnovationを融合させた造語であり、多くのベンチャー企業が参加するのが特徴です。日本では想像しづらいかもしれませんが、米国では、近年、金融分野において多くのベンチャー企業がサービスを提供しています。つい最近日本でサービスを開始したモバイル決済サービスを手掛けるSquareも近年急成長したベンチャー企業の1つです。Finovateでは、毎年、多くの金融系ITベンチャー企業が参加し、自社のサービスに関するデモを紹介しています。今回は、過去最高の72の企業が参加し、金融サービスの利便性を高める様々なサービスやアイデアが紹介されました。第1回の参加報告では、Square同様に決済分野のベンチャー企業のサービスをご紹介します。

※昨年の様子は、ページ下部の関連リンクをご参照ください。

Finovateの会場風景

<図1> Finovate会場と会場内の風景
(筆者撮影写真より)

QRコードを利用したモバイル決済サービス”FIS(+Paydiant)”

日本でモバイル決済サービスといえば、SuicaやEdyなど近距離無線通信規格であるFelicaを利用したサービスが一般的であり、今後は、世界共通の無線通信規格であるNFCを利用したサービスの導入が見込まれています。しかしながら、NFC決済を導入するには、専用の読取り端末を小売店に設置する必要がある他、NFCに対応したスマートフォンが広く普及する必要があります。このため、NFC決済が一般化するにはまだ時間がかかると考えられています。米国の大手金融ITベンダーであるFISは、決済系サービスを手がけるスタートアップPaydiantと共同で、NFCといった無線通信規格を利用せずにモバイル決済を可能としたモバイル決済サービスを発表しました。

FISとPaydiantが提供するモバイル決済サービスでは、モバイルバンキングの利用者とカードの決済端末を設置する小売店にそれぞれアプリケーションを提供します。まず、利用者側は、スマートフォンにダウンロードしたモバイルバンキングアプリにカード情報を登録します。一方、小売店側は、カード決済端末内のソフトウェアをネットワーク経由で更新します。実際の決済では、小売店にて支払額を入力してカード決済を選択すると、QRコードがPOS端末のディスプレイ上に表示されます。利用者は、このQRコードをスマートフォンのカメラ機能を利用して読み取ることで決済が完了します。この他、レシートに印刷されたQRコードの読み取りや、ATM上に表示したQRコードを読み取り、素早く現金を引き出すことも可能です。

FIS+Paydiantのソリューション

<図2> FIS+Paydiantによるソリューション
(筆者撮影写真より)

ATMから現金の代わりにプリペイドカードを引き出せる”Better ATM Services”

米国では、2008年の金融危機後、クレジットカードよりも現金と同じように利用できるデビットカードやプリペイドカードの利用頻度が高まっています。プリペイドカードは、街中の多くの小売店で利用でき、かつ、オンライン決済にも利用できるなど、場合によっては、現金よりも幅広い用途で活用できます。こうしたプリペイドカードの利便性に注目したBetter ATM Servicesというベンチャー企業では、既存のATMから現金ではなくプリペイドカードを出金できる仕組みを構築しています。

Better ATM Servicesのソリューションでは、独自に開発した小型のマイクロモジュールをATMに取り付け、ATMの導入ソフトウェアを更新することで、既存のATMからプリペイドカードを引き出すことを可能とします。ATMから引き出されるプリペイドカードは、紙幣と同サイズに設計されています。利用者は、カード部分を切り取り、Webサイトで個人情報を登録後に利用できます。同サービスは、既に米国内で実用化され、実際に街中にある通常のATMで利用できます。

Better ATM Servicesのソリューション

<図3> Better ATM Servicesのソリューション
(筆者撮影写真より)

多くのクレジットカード情報を1つのカードに集約する”GoNow”

スマートフォンを活用したモバイル決済は、日本ばかりでなく世界中で注目される技術ですが、前述のように、専用の決済端末を小売店が導入する必要があるなどその普及には今しばらく時間がかかるため、小売店などリアルな店舗での決済では、磁気カードによる決済が今しばらく続くと見られています。しかしながら、多くの決済手段を1つのデバイスに統合し、使い分けることができるモバイル決済の利便性は多くの利用者にとって魅力的です。こうしたサービスの普及格差を埋めることを目指したベンチャー企業GoNowが今回のFinovateで登場しています。

GoNowが提供する決済ソリューションでは、NFCもしくはBluetooth通信を搭載したスマートフォンとセキュアエレメント(データ格納領域)を搭載した独自の物理カードを活用します。利用者は、スマートフォンのイヤフォンジャックに差し込んだカードリーダーでクレジットカードやキャッシュカードなど磁気カードの情報をスマートフォンで読み取ります。読み取ったカード情報は、スマートフォンのNFCもしくはBluetooth通信機能を用いて物理カードへ保存されます。読みとったカードを利用する場合は、スマートフォンアプリ上より読み取ったカード情報を選択し、物理カードと通信を行うことで利用可能となります。これにより、利用者が所有する全ての磁気カードの情報を1枚の物理カードに集約することができ、外出時に複数のカードを持ち歩く必要がなくなります。つまり、NFCを用いたモバイル決済の代わりに、磁気カードで多様な決済手段を選択し、利用することが可能となるのです。

GoNowのソリューション

<図4> GoNowのソリューション
(筆者撮影写真より)

既存インフラを活用した低コストで利便性の高い決済サービス導入の可能性

決済サービス分野は、大規模で高品質な決済ネットワークを維持する必要があるとともに、その利用にあたっては、専用の決済端末が必要となるなど、構造的に高コストとなる問題があります。Finovateでは毎年多くの決済サービスが紹介されており、なかなか普及が進まない新たな決済サービスの間隙を突く形で、独自の決済サービスを展開する事例がこれまでにも数多くご紹介されています。今回ご紹介した3つのサービスでは、QRコードといった比較的安価に利用できる既存の技術を活用してモバイル決済を可能としたり、既存のATMとカード決済ネットワークという既存の決済インフラを活用し、簡単に新しいサービスを提供したりするなど、大規模な改修を必要とせず即座にサービス提供ができることを目指している点が特徴的です。金融機関としては、こうしたベンチャー企業が提供する低コストで利便性の高いサービスをうまく取り入れることで、利用者に訴求できるサービスを他行よりもいち早く導入できるかもしれません。

(シニアコンサルタント 松原義明)

※弊社では、Facebookページも開設しております。当記事に関するご感想・ご意見は以下のリンク先までお願いいたします。

富士通総研 金融・地域ページ: https://www.facebook.com/Fujitsufrikc/posts/471265166281042

参考リンク

Finovate Spring 2013: http://www.finovate.com/spring2013/index.html

FIS : http://www.fisglobal.com/

Paydiant: http://www.paydiant.com/

Better ATM Services: http://www.betteratmservices.com/

GoNow: http://www.gonowcard.com/

関連リンク

金融系ITベンチャーカンファレンス “Finovate Spring 2012” 参加報告(1/2)

金融系ITベンチャーカンファレンス “Finovate Spring 2012” 参加報告(2/2)