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2013年はどのような新金融リテールサービスが誕生する?

~海外最新動向から読み解く新金融リテールサービスのトレンド~

2013年1月15日(火曜日)

明けましておめでとうございます。本年もIdeaTankをよろしくお願いいたします。新年最初のIdeaTankでは、2013年に新たに誕生する新金融リテールサービスのトレンドを予想したいと思います。昨年末から今年の初めにかけて、海外の金融系メディアでは2013年の金融サービストレンドを予想する記事が数多く発表されています。本稿でもこれら海外メディアに倣って、新たに誕生する金融リテールサービスとはどのようなものか、そのトレンドを確認していきたいと考えます。一言で金融リテールサービスといっても様々な分野がありますが、特に今後大きな変化が生じると予想されているスマートフォン、ソーシャルメディア、そしてビッグデータの分野について、本稿では取り上げていきます。

スマートフォンがあなたの“銀行”になる?

2012年は、スマートフォンの普及が急速に進み、日本においても数多くの金融機関がスマートフォン対応を掲げるなど、まさに“スマートフォンバンキング元年”であったといえます。こうしたスマートフォン普及の流れは世界的な潮流であり、米国の調査会社Aite Groupによると、米国において自分の銀行口座にモバイルデバイス経由でアクセスする顧客は現在の3,300万人から2014年には9,600万人と実に3倍近く増加すると見られています。

今後も、スマートフォンが銀行と顧客をつなぐ最も身近な接点として機能する中、顧客から必要とされるサービスにはどのようなものがあるのでしょうか?この疑問を解く上で重要な考え方が、“スマートフォンが銀行店舗そのものとなる”というものです。つまり、スマートフォンであっても銀行の店舗に行ったときと変わらないサービスが受けられること、仮に銀行店舗と全く同じサービスを受けることが不可能であったとしても、銀行店舗で接客を受けたときと同様の満足感が得られるサービスを提供することがポイントとなりそうです。

例えば、小切手による取引が一般的な米国では、それまで店舗でしか行えなかった小切手の入金をスマートフォンでも行えるようにするなど、スマートフォンの“銀行化”が進んでいます。また、公共料金の請求書をスマートフォンのカメラに収めるだけで口座引落しが完了するサービスも登場しました。加えて、次世代の近距離無線通信規格であるNFCによる非接触決済サービスの登場など、スマートフォン1台で銀行取引から日常のあらゆる決済まで対応したサービスが2013年には一般化すると思われます。

昨年9月にAmazonがタブレット端末Kindle Fireの最新版を発表した際、ジェフ・ベゾスCEOは、Kindle Fireは「ガジェット」ではなくAmazonの「サービス」そのものであると表現しました。つまり、Kindle Fireは、Amazonが提供する多種多様な商品やサービスに、いつでも、どこからでもアクセスできることを可能とする「サービス」であることが重要なのです。スマートフォンによる銀行サービスの提供においても、単なるチャネルとして捉えるのではなく、店舗やATMで提供されるサービスと一体となった包括的なサービスの一要素であるという考えのもと、多種多様な銀行サービスにアクセスできることが望まれています。

進む銀行の“ソーシャル化”

今や日本国内でも1,700万人以上がFacebookを利用するなど、SNSの利用は一般的なものとなっています。また、ソーシャルゲームと呼ばれるスマートフォンを活用し、友人やネット上の見知らぬ他人と楽しむゲームが若年層を中心に普及しています。こうした世の中の“ソーシャル化”の流れは、銀行にも押し寄せてきており、今後は、チャネルそして商品企画の両面でソーシャル化が進展すると思われます。

これまで、IdeaTankにおいてもFacebookを活用した送金サービスの事例を紹介しましたが、銀行のFacebook活用は世界各地で広がっています。例えば、トルコのDeniz Bankは、Facebook上のアプリケーションから自行のオンラインバンキング機能を利用できるサービスを提供し、銀行と顧客の接点となるチャネルのソーシャル化に取り組んでいます。同行ではソーシャルメディア上での口コミ効果により若年層の利用が急拡大するなど、チャネルのソーシャル化により、これまでアクセスすることが難しかった新たな顧客層を開拓することが可能となりました。こうしたチャネルをソーシャル化した銀行サービスは、インドやポーランド、南アフリカなど世界各地で見られ、今後も広がっていくと予想されます。

また、金融における商品やサービスの企画機能をソーシャル化する動きも活発となっています。例えば、Facebookによる送金サービスを開発中のCommonwealth Bank(オーストラリア)では、IdeaBankと呼ばれる利用者参加型のフォーラムで次世代の商品やサービスに対するアイデアを募り、実際の企画に役立てています。また、本コラムでもご紹介したBarclay Cardが提供する利用者自身が商品性を決定できるクレジットカードRingなど、利用者の参加を促すことで新たな商品やサービスを生み出す機運が高まりつつあります。金融サービスは、“ソーシャル”というキーワードのもと、より顧客にとって身近なサービスとなることが望まれていくでしょう。

ビッグデータが金融サービスにもたらす価値とは?

昨年、ビジネスにおいて最も注目されたキーワードといえば、ビッグデータではないでしょうか。ビッグデータは、様々な業界において、今後のビジネスを大きく変える注目技術として紹介され、金融業界でも大いに取り上げられました。一方、“2012年に最もイライラさせられたビジネス用語”であったと総括するメディアもあるなど、キーワードだけが先行してしまった印象も拭えません。では、ビッグデータに代表されるデータ分析の分野は、今後どのように推移していくのでしょうか。

金融リテール部門におけるビッグデータ活用においては、銀行自身が有するデータだけではなく、他業態のデータを併せて活用することで新たな利用者向けサービスが誕生することが予想されます。例えば、米国の金融ベンチャーでは、銀行の顧客データに加え、クレジットカードの購買履歴、更には利用者のスマートフォンから発信される位置情報を付加して分析を行うことで、利用者の生活に合わせて、リアルタイムでお勧めのクーポンを配信するといったサービスの提供を検討しています。こうした利用者の状況に合わせて適切な金融サービスを提供することにより、利用者はその金融機関をますます利用するとともに、金融機関としても利用者の金融行動を補足することで新たなマーケティングデータを獲得することへとつながります。

新金融リテールサービスを支える次世代コンセプト:“オムニチャネルバンキング”

このように、2013年は、金融機関におけるスマートフォンやSNSの活用が進展し、また、ビッグデータといった新技術の活用により、利用者が日常的に活用するサービスとして普及することが予想されます。こうしたサービスを支える上で重要となるコンセプトに“オムニチャネルバンキング”という考え方が挙げられます。オムニチャネルとは、「包括的な」という意味を持つ“omni”と「チャネル」(“channel”)を合わせた造語であり、いつでも、どこからでも顧客が銀行のサービスを受けられること、また、チャネルごとに得られた経験が共有され、常に顧客に最適化されたサービスが受けられることを目指すものです。

これまで、多くの金融機関では、マルチチャネルバンキングという考えに基づき、顧客の嗜好や属性に応じて最適なチャネルを金融機関が提供し、個々のチャネルごとに顧客満足度を高めることを目指していました。オムニチャネルバンキングでは、基本的に利用者がアクセスしたいチャネルを選択するのに対し、マルチチャネルバンキングでは、金融機関が利用者の属性に応じて提供するチャネルを判断しており、個々のチャネルにおける満足度は同様でも、金融機関全体で見た場合の満足度は大きく異なります。これからの金融リテールサービスでは、顧客が状況に応じてアクセスしたいチャネルを選択し、かつアクセスしたチャネルにおいて顧客の生活に密着したサービスを提供するオムニチャネルバンキングの考え方に基づいたサービス提供が望まれていると考えます。

※弊社では、こうした次世代の金融リテールサービスに対する動向について、近くセミナーインフォ様主催のセミナーにてご報告させていただく予定です。詳細は、以下のリンク先をご確認ください。

「次世代スマートフォンバンキング ~海外先進リテール事例に見る顧客との新たな関係性~」
(2013年2月13日(木)13:30-16:30)
セミナー紹介ページ:http://www.seminar-info.jp/entry/seminars/view/1/2379

(シニアコンサルタント 松原義明)

参考リンク

Aite Groupによるモバイルバンキングユーザー予測に関するプレスリリース(2012年12月17日) : http://www.aitegroup.com/Reports/ReportDetail.aspx?recordItemID=1020

セレージャテクノロジー社によるFacebookユーザー数に関するプレスリリース(2013年1月8日) : http://www.cereja.co.jp/press/2013/01/1facebook-1.html

Commonwealth Bank(オーストラリア)によるIdeaBank : http://ideas.commbank.com.au

ビッグデータが2012年に”最もイライラさせられたビジネス用語”であることを伝える記事(2012年12月5日): http://snarketing2dot0.com/2012/12/05/big-data-most-annoying-buzzword-of-the-year/

関連リンク

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