GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. コラム >
  3. IdeaTank for Financial Services >
  4. 災害発生時に求められる金融機関の役割

災害発生時に求められる金融機関の役割 ~米国金融機関に見る災害時の顧客対応~

2012年12月19日(水曜日)

台風や大地震といった災害が発生した時、自分や家族の身を守ることが何よりも大事ですが、ひとたび無事が確保された後には当面の生活資金の確保が必要となるなど、金融機関の役割が重要となります。災害発生時、金融機関は利用者やその地域に対してどのような役割を担うべきなのでしょうか。今回は、本年10月末にハリケーンSandyが米国東部を襲った時の金融機関の対応策から、災害発生時に金融機関が果たすべき役割について考えてみたいと思います。

生活資金の確保をサポートする商品の提供

災害が収束した後、被災者はいち早くもとの生活を取り戻し、まとまった生活資金を確保するために、近くの金融機関から預金を引き出す必要があります。こうした災害の発生時に、日米の金融機関では、その引き出し手数料を無料とするなど、預金者の利便性を第一に考えたサポートを行っています。例えば、日本では東日本大震災発生時、取引金融機関が近隣にない被災者も近くの金融機関から手数料無料で預金が引き出せるような支援が行われていました。また、米国の多くの大手金融機関では、ハリケーンSandyが米国東部を襲った直後から、当該地域にあるATMや店舗での引き出しを無料としました。さらに、米国東部に多くの拠点を持つTD Bankでは、ATMや店舗が家の近くに無い被災者に対して、一定期間は金利が発生しないクレジットカードや手数料無料で利用できるデビットカードを申込みから72時間以内に送付するサービスを行いました。このように災害発生を機に、被災者に向けて新たに金融商品を提供するTD Bankの対応は、被災者重視の姿勢を打ち出す日米の金融機関の取り組みの中でも一歩踏み込んだものといえます。

ソーシャルメディアを活用したコミュニケーションの推進

2011年に発生した東日本大震災ではソーシャルメディアの活用が注目されました。多くのマスコミや公的機関、更には自治体関係者がTwitterなどを活用して安全確保などに関する情報発信を行ったことは記憶に新しいことでしょう。企業におけるソーシャルメディア活用が先進的であるとされている米国では、多くの金融機関がFacebookやTwitterを用いて、地域住民の安全確保に関する情報や自行の店舗に関する情報など積極的に情報発信を行いました。発信された情報は災害地域の自行の店舗に関することが中心ですが、中には、どの店舗であれば無料でスマートフォンの充電サービスを受けられるのか、無料で暖かい飲み物が用意されているのかといった地域住民が必要とする情報を積極的に配信するものもありました。米国では多くの金融機関が、利用者とより密接なコミュニケーションを図るためにソーシャルメディアを積極的に活用していますが、ソーシャルメディアは災害発生時にも利用者とのコミュニケーションに力を発揮する有効なツールであることが証明されたといえます。

ATMを活用した寄付金の募集

Sandyの被害が明らかになるにつれ、米国の大手金融機関は自行で寄付を行うと同時に、利用者に対しても寄付を募りました。このとき、Wells FargoやJP Morgan Chaseでは自行のATMを活用した効果的な方法により寄付を募っています。Wells FargoのATMでは、通常の取引終了時に赤十字社への寄付を募る画面を表示し、賛同した利用者が自行口座から簡単に寄付を行えるという機能を追加しました。Wells FargoではこうしたATM画面上での寄付機能により、わずか1週間あまりで100万ドル以上の寄付金を集めています。同行は2011年に発生した東日本大震災の時にもATM画面を活用して寄付を募っており、この時も同様に100万ドル以上の寄付金を集めていました。金融機関にとってATMとは、利用者にとって最も接する機会の多い重要な接点であり、こうした顧客接点を活用して寄付を募る方法は大変有効であるといえます。

災害発生時に金融機関に求められる役割

このように、ハリケーンSandyが米国東部を襲った時、多くの金融機関では、地域住民をサポートするために彼らが持つ顧客接点を最大限に活用していたことがわかります。金融機関は、利用者のお金を取り扱い、重要な社会インフラとして機能していることから、災害発生時にはその重要性が更に高まります。災害発生時に金融機関は単に取引のある顧客に対してサービスを提供するだけでなく、地域住民の生活をサポートするという意識のもと、多岐にわたる取り組みが求められていると考えます。例えば、米国の金融機関のように、ソーシャルメディアといった顧客と直接的に接するメディアを活用して積極的に情報発信を行ったり、ATMに寄付機能を追加することでその利用者に寄付を促す仕組みを整えたりといったかたちで、地域への積極的な情報発信や貢献が求められます。金融機関は、災害発生時に自行の利用者だけでなく地域や社会に対して、どのような役割を果たすのかを検討していく必要があるのかもしれません。

(シニアコンサルタント 松原義明)

参考リンク

TD Bankの被災者支援を伝える記事(10月31日) : http://www.banktech.com/management-strategies/td-banks-assistance-program-to-help-cust/240012566

金融機関によるソーシャルメディア活用に関する記事(10月30日) : http://www.banktech.com/management-strategies/social-media-helps-banks-communicate-wit/240012593

Wells FargoのATMによる寄付機能の成果を伝える記事(11月8日) : http://www.americanbanker.com/issues/177_217/wells-atm-customers-donate-more-than-1M-to-sandy-efforts-1054244-1.html