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ゲームが作り上げる顧客と銀行の新たな関係性 ~BAI Retail Delivery 2012参加報告(2/2)~

2012年11月29日(木曜日)

世界最大級のリテール金融セミナーであるBAI Retail Delivery は、最新のサービストレンドに関しても積極的に取り上げ、その金融機関への影響について言及しています。BAI Retail Delivery の第2回報告では、昨今、急速に話題となっているゲーミフィケーションについて取り上げたセミナーの内容を報告します。

ゲーミフィケーションとは?

ゲーミフィケーションとは、実ビジネス上のサービスなどにゲームの要素を取り入れることで、利用者がそのサービスを自発的・積極的に活用することを促すものです。例えば、小売店でのポイントサービスなどで単に購入時にポイントが貯まるだけでなく、ポイントを貯めるという行動を他者と競争させ、その勝者には特別な見返りを与えるなど、ある一定の課題や競争環境を与えることで、利用者はこうした取り組みに自分なりの目的を見いだし、より積極的に関わると言われています。また、この小売店でのポイントサービス獲得競争を友人と協力して行うことができるとした場合、利用者は友人を誘うという行動に出るかもしれません。このように、ゲームの要素を取り入れることで、そのサービスに対する愛着や参加意識を芽生えさせると共に、参加者間の連帯意識をも強めるといわれています。

ゲームというと、子供だけのものと考える人も多いかと思いますが、実は、日常的に最もゲームをプレイする年齢層は18歳から49歳までの日常的に仕事を持つ世代です。また、アメリカの若者は21歳までに平均して10,000時間をゲームに費やすと言われており、これは彼らが高校卒業までに勉強した時間とほぼ同じです。このように、ゲームは多くの人にとって、空いた時間に接する機会の多いコンテンツであり、今やゲームに全く触れたことがない人を探すほうが難しいと思われます。

ゲームとの相性が良い金融業界

ゲーミフィケーションは、昨今、急速に広まった考え方ですが、既に一部の金融機関では自行のリテール向けサービスに取り入れており、利用者が自行のサービスを積極的に使ってもらうことを目指しています。

例えば、2012年4月27日の記事で取り上げたカード利用者自らが商品設計を行うことを可能としたクレジットカードであるBarclaycard Ringでは、利用者がカードの商品性に対する要望を会員専用のオンラインコミュニティ上に表明することができます。この時、利用者からの積極的な意見表明を促すことを目的に、コミュニティ内での発言の頻度や、カードを友人に薦めるといったその他の活動に応じて様々な“メダル”を獲得できる仕組みを導入しています。こうしたメダルの中には比較的困難な条件が設定された“レア”なメダルが存在します。これにより、レアなメダルを獲得することをコミュニティメンバー間で競い合うといった自発的な参加を促す仕組みが取り入れられているのです。

また、米国東部に基盤を置くPNC Bankでは、2009年にVirtual Walletとよばれるインターネットバンキングサービスを開始し、そのメニュー構成やコンテンツの一部にゲームの要素を取り入れています。同行のサービスは、ゲームの要素を取り入れたことにより、主要ターゲットである若年層の注目を大いに集め、サービス開始から3年余りで100万人の新規顧客を獲得することとなりました。この他、American ExpressやCitibankなど大手金融機関においてもゲームの要素を取り入れたコンテンツを利用者向けに発表しており、海外の金融機関ではリテールサービスを考える上でゲームの要素を考慮することが一般的となりつつあります。

ゲームが作り上げる顧客と銀行の新たな関係性

金融機関がゲームの要素をリテールサービスに取り入れる背景には、一般の利用者にとって、時にわかりづらく、また興味を掻き立てにくい銀行サービスに少しでも興味を持ってもらい、その利用を促したいという意図があります。海外の金融機関では、預金者の獲得競争が激しさを増しており、ゲーミフィケーションを通じて利用者を惹き付けると共に、そのサービスにおいて“良い経験”を提供することで自行の顧客として定着し、継続的に利用してもらうことを目指しています。

一般的に金融機関が提供するサービスは、無機質で画一的なものが多く、手数料が安いといった価格や住んでいる場所から近いといったロケーションなどの条件以外の選択肢が見いだしづらい状況にあります。自行のサービスにゲームの要素を取り入れることで、顧客が金融機関のサービスを利用する際に新たな選択肢を提示することが可能となります。また、ゲームの要素を通じてサービスそのものに愛着や親しみを感じ、顧客がそのサービスを自発的・継続的に利用することを可能とします。

昨今、ソーシャルゲームの流行が社会現象として取り上げられ、スマートフォンの普及により電車などでゲームをプレイする人をよく見かけることからも明らかなように、日本でも、子どもや若年層に限らず、多くの人々がゲームに日常的に触れ、また積極的にプレイしていると考えられます。国内金融機関においては、こうした多くの人々を惹き付けるゲームの要素に着目し、自行のサービスにうまく取り入れることで、これまで金融機関のサービスに対して関心を払ってこなかった人々に対してもうまくアプローチすることが可能となるかもしれません。

(シニアコンサルタント 松原義明)

参考リンク

BAI Retail Delivery 2012 : http://www.bai.org/retaildelivery/index.aspx

PNC Virtual Wallet : https://www.pncvirtualwallet.com/

Barclaycard Ring : https://community.barclaycardus.com/

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