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金融機関が考える次の革新的なサービスとは? ~BAI Retail Delivery 2012 参加報告(1/2)~

2012年10月31日(水曜日)

弊社では、毎年、海外における先進的な金融サービスのトレンドを調査するため、米国最大のリテール金融向けセミナーであるBAI Retail Delivery 2012に参加しています。 BAI Retail Deliveryとは、毎年10月ごろに開催される世界有数のリテール金融に関するセミナーであり、会期中は、世界各地から金融関係者が集まります。ちなみに主催団体であるBAIはBank Administration Instituteの略称であり、米国で85年以上の歴史を持つ業界団体です。

BAI Retail Delivery は主に2つのセッションで構成されています。1つは、最新のリテール金融に関する事例や最新動向について報告されるSummits & Sessionsで、会期中は50以上のセミナーが開催されます。もう1つは、金融系ITベンダーが自社のソリューションを展示するExpoであり、200以上のベンダーが参加しています。この他、General Sessionsと呼ばれる各界のリーダーを招き、その知見を披露してもらうセッションもあり、本年は、Virgin GroupのCEOであるRichard Bransonがリーダーシップについて講演しました。(図1)

BAI Retail Delivery 2012の会場風景

<図1> BAI Retail Delivery 2012の会場風景
出典:筆者撮影写真より

世界の金融機関が考える革新的なリテールサービスとは?

こうした巨大なイベントであるBAI Retail Delivery の全てをお伝えすることは不可能ですが、今回は筆者が参加したセミナーの1つであるイノベーションに関するセミナーについて、その内容をご紹介したいと思います。これは、EFMAと呼ばれるヨーロッパを中心とした金融機関向けの業界団体が毎年行っているイノベーションについての調査結果を公表したもので、EFMAのCEOが自ら発表を行いました。

今回の調査は、世界66カ国300以上の金融機関に対して、今後3年間でリテールチャネルの分野でどのような新しいサービスを提供する意思があるのかを確認するために実施したものです。以下では、モバイル、オンライン、店舗といった顧客との重要な接点となるチャネルごとに世界の金融機関が今後どのようなサービスを導入しようと考えているのか見て行きたいと思います。

利用者の“おサイフ”となることを目指すモバイル分野

まずモバイル分野では約6割の金融機関が、現在もしくは1年以内に自行の店舗やATMの位置をスマートフォンなどで簡単に探せるよう、ビジュアル化して表示する機能を導入することを検討しています。また、7割以上の金融機関がこの1年以内にP2P送金やNFCによる非接触決済に対応したモバイル決済サービスを導入することを検討しています。また、現時点で取り組んでいる金融機関は少ないものの、今後3年以内に検討すると答えた金融機関が最も多かったサービスとして、位置情報を利用したクーポンの提供サービスが挙げられます。顧客にとって最も身近なチャネルであるモバイルの特性を生かし、決済やクーポンなど顧客の“おサイフ”代わりとなるサービスを提供することを多くの金融機関は検討しているようです。

SNSと融合したオンラインバンクの誕生

次にオンライン分野では、多くの金融機関がPFM(個人向け家計管理サービス)に注目しており、今後3年以内に実に約9割の金融機関が同機能を導入することを検討しています。また、PFMと同様に注目を集めている機能として、ソーシャルメディアと自行のオンラインサービスを連携させる機能が挙げられます。こちらについても今後3年間で約9割の金融機関が導入を検討すると回答しています。実際にインドのICICI Bankなどは、Facebookアカウントを活用したオンラインバンキングサービスを立ち上げており、この他にも同様のサービスを提供する銀行が世界で増えつつあります。

多様性が今後のキーワードとなる店舗

最後に店舗の分野では、現在6割を超える金融機関が店舗の立地特性に合わせてその出店形態を柔軟に変更する施策を採用しています。例えば、ショッピングモールでは、簡単に取引ができるATMを多数導入したり、富裕層が比較的多く住む住宅地にはゆったりと寛いで取引ができるラウンジのような店舗を出店したりするなど、その出店形態をその場所で利用する顧客のニーズに合わせようとしているのです。一方で、現金を取り扱わない店舗や商品を販売しない店舗といったものは、約半数の金融機関が検討に値しないとしており、依然として店舗は銀行取引の中心であると認識していることが窺えます。

世界の金融機関に共通する顧客へのサービス提供姿勢

EFMAでは66カ国300以上と多くの金融機関に対して調査を実施しています。これだけ多くの国にまたがる金融機関を調査対象としているため、各国により法制度や商習慣が大きく異なることが容易に想像できます。しかしながら、EFMAの調査で明らかなことは、このように法制度や商習慣が大きく異なることがあっても、多くの金融機関では顧客が活用したいと考えるチャネルに合わせて、顧客にとって最も利便性が高いと思われるサービスを提供することを重視している点です。スマートフォンの普及やSNSの利用が日本でも増えて行く中、こうした姿勢でリテールサービスを提供することが日本の金融機関にも今後求められていくことでしょう。

(シニアコンサルタント 松原義明)

参考リンク

BAI Retail Delivery 2012 : http://www.bai.org/retaildelivery/index.aspx

EFMA : http://www.efma.com/