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クラウドファンディングが“未来への銀行”に? ~クラウドファンディングと金融サービスを融合させた“BankToTheFuture”~

2012年9月27日(木曜日)

近年注目を集めている投資手法にクラウドファンディングがあります。クラウドファンディングとは、不特定多数の群集(crowd)から資金調達する(funding)手法のことです。出資者は小額から自分の気に入ったプロジェクトに対して出資を行うことができ、その見返りにプロジェクトの成果であるサービスや物品、もしくは金銭を対価として受け取ります。クラウドファンディングの利点は、一般の人々でも比較的気軽に投資が行える点、そして、自分が投資したお金が何に使われているのかがわかる点にあると言えます。欧米で始まったこの投資手法は、現在日本でも多数実施されるようになりました。

このクラウドファンディングに対して、新しい風を呼び込む形で今年8月にイギリスで新たにサービスを開始したのが“BankToTheFuture”です。BankToTheFutureは、ヴァージングループのCEO、リチャード・ブランソンが運営するベンチャーキャピタルより出資を受けてサービスを開始しました。名称にBankとあるように銀行に似たサービスを導入することで、事業家、投資家双方の積極的な参加を促すことを目指しています。

BankToTheFutureの特徴(1):多様な資金調達手段の提供

BankToTheFutureが他のクラウドファンディングプラットフォームと大きく異なる点は、プロジェクトを始めようとしている事業家に対して多様な資金調達手段を提供している点です。通常のクラウドファンディングでは基本的に1つのプロジェクトに対して1つの資金調達手段で投資を募ることが一般的です。一方、BankToTheFutureでは、1つのプロジェクトに対して株式購入による出資(Crowdinvestment)、資金の融資(Crowdlending)、そしてプロジェクトから生み出されるサービスや製品の購入(Crowdfunding)と複数の資金調達手段が認められています。

これにより、様々な投資家を呼び集めることが可能となり、より柔軟な資金調達が可能となります。例えば、事業家がBankToTheFuture上に詳細なビジネスプランと共にプロジェクトにより生み出されるサービスや実際の製品を掲載したとします。株式投資や融資を行いたい投資家は彼らのビジネスプランを評価して投資するかどうかを選択します。一方、単にサービスや製品にのみ興味がある投資家はそれらを購入することを選択します。

また、投資家もプロジェクトごとにその投資手法を使い分けることが可能となります。将来的にビジネスとして成功しそうなプロジェクトに対しては株式購入や融資を選択し、将来性が評価できなくともサービスや製品が気に入ったのであれば購入を選択します。

BankToTheFutureの特徴(2):バーチャル口座による資産運用

BankToTheFutureでは、利用者がバーチャル口座を開設し、実際の銀行口座と同じように利用できる仕組みが整えられています。バーチャル口座にお金を預けるには、BankToTheFutureが指定する口座番号に既存の銀行より送金を行います。この際の手数料は無料であり、また、送金最低額は10ポンド(約1260円)に設定されています。そして、出資したプロジェクトが配当金を設定している場合は、その配当金がバーチャル口座に振り込まれます。これにより、実際の銀行口座と同じく自身のお金を貯めることができ、うまくいけば出資により、お金を増やすことも可能なのです。

BankToTheFutureの特徴(3):ソーシャルスコアによる投資活動の活発化

この他、BankToTheFutureの特色として、全ての参加者に対して一律のスコアが設定されるというものがあります。利用者は自身のFacebookアカウントやTwitterアカウントを連携させることで、ソーシャルメディア上での活動内容が評価され、一定のスコアが付与されます。このスコアにより、プロジェクトを立ち上げて出資を募りたい事業家がどのような人物であるのか評価できます。また、事業家がスコアから社会的に影響力のある出資者を見つけ出し、直接出資をお願いすることができます。BankToTheFutureでは事業家、出資者双方を同じ指標で評価することで、両者のコミュニケーションを促し、結果として投資を活発化させることを狙っています。

新たな資金調達の場となるクラウドファンディングプラットフォーム

米国では今年4月の規制緩和により中小企業は年間100万ドルまでクラウドファンディングによる資金調達が可能となりました。ベンチャー企業や小規模事業者に対する新たな資金調達手法としてクラウドファンディングは今後ますます注目を集めることが予想されます。しかしながら、クラウドファンディングでは基本的にプロジェクト単位での投資となり、1つのプロジェクトに対して様々な調達方法を設定することは稀です。BankToTheFutureでは、1つのプロジェクトに対して多様な資金調達手段を提供すると共に、バーチャル口座を設定することで継続的な投資を促す仕組みを作り上げています。こうした仕組みを取り入れることで既存のクラウドファンディングプラットフォームをうまく改善し、より投資を促すようになっています。また、事業家、投資家双方のコミュニケーションを活性化させる仕組みも見逃せません。BankToTheFutureのようなプラットフォームが今後活性化すれば、ベンチャー企業や小規模事業者にとって銀行に代わる資金調達の場ができることとなります。こうしたプラットフォームを活用して企業が成長するとすれば、そのときこそクラウドファンディングが真の意味で“未来への銀行”となるのでしょう。

(シニアコンサルタント 松原義明)

参考リンク

BankToTheFuture : https://banktothefuture.com/

BankToTheFuture開業を伝える新聞記事(英Telegraphより) : http://www.telegraph.co.uk/finance/businessclub/9474501/Richard-Branson-backs-Bank-to-the-Future.html