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顧客セグメントにフォーカスした金融サービスの新潮流(2/3)

2012年4月26日(木曜日)

2. 若年層専用の銀行を立ち上げたFRANK by OCBC(シンガポール)

2.1 FRANK開設の経緯

続いてご紹介する事例は、若年層向けに専用ブランドを立ち上げたシンガポールの金融機関のものです。シンガポール三大地場銀行の一つであるOversea Chinese Banking Corporation(以下、OCBC)では、若年層向け専用サービスFRANKを立ち上げています。

OCBCは、シンガポールでの今後の銀行ビジネスの展開にあたり、他行よりも先んじて若年層を取り込むことが必要であると認識していました。しかし、その際に問題となるのが、OCBCが持つ大銀行としての伝統・格式です。一般的に若い人ほどOCBCのような伝統ある銀行の持つ雰囲気を“堅苦しい”、“自分にふさわしくない”として敬遠する傾向があります。OCBCでは、若者が従来の大銀行に対して持つイメージを如何にして払拭するかが課題となっていました。

こうした課題を解決するためにOCBCが出した結論が、従来のブランドとは異なる新たな若年層専用のブランドを立ち上げるというものでした。この際、若年層の考えや趣味・嗜好を徹底して把握するために詳細なリサーチを実施しています。OCBCでは、延べ15か月にわたり、1,000人あまりの若者に直接会ってリサーチを実施しました。実際に彼らと食事を共にし、時には“クラブ”など若者の流行スポットにも積極的に顔を出すなどして等身大の若者を理解しようと努めたのです。こうした徹底したリサーチの結果生まれたのがFRANKです。

2.2 FRANKの特徴

FRANKとは、英語で“正直な”、“はっきりとした”という意味であり、誰にとってもシンプルでわかりやすい金融サービスであることをアピールしています。また、こうしたイメージを店舗やクレジットカードなど実際に目に触れる部分でスタイリッシュに表現しているのが特徴です。

まず、FRANKの店舗は、若年層にアピールすることを第一に考え、銀行らしさを感じさせないデザインとなっています。アパレルブランドの直営店をイメージしてデザインされ、入り口を大きくするなどオープンで開放的な空間を演出しています。顧客は、特に目的が無くても銀行に立ち寄り、店舗内に展示されているクレジットカードなどの商品デザインを自由に眺めて待ち合わせまでの時間つぶしをすることもできます。<図1>

FRANKの実店舗イメージ

<図1> FRANKの実店舗イメージ
出典:FRANK公式サイトより
http://www.frankbyocbc.com/

現在、シンガポールでは、上記のような店舗が3店ほど展開されていますが、うち2店舗は大学の構内にあり、もう1店舗は若者が良く集まる繁華街の目抜き通りにあります。それぞれの店舗は、若者の利用しやすさを意識して開店時間が設定され、大学にある2店舗は、大学の授業がある平日9時から16時半まで、土曜日は午前中だけ開店しています。また、繁華街の店舗は、平日11時から20時まで、土曜日・日曜日も開店しています。店舗で接客にあたる店員はAmbassadorと呼ばれ、利用者にお勧めの金融商品を提案するとともに、金融教育を行うことを意識しています。Ambassadorには、コミュニケーション能力が高く、若者と同じ目線で話せる人材を求めています。

また、FRANKでは、クレジットカードなどの提供商品も若者を意識した商品設計となっています。クレジットカード、デビットカードは100種類以上のデザインが用意されています。カードは、発行手数料さえ支払えば、何度でもデザインを変更できます。カードの発行手数料はデザインごとに異なり、日本円でおよそ600円から1,500円です。豊富なデザインの中から利用者がお気に入りの一枚を自ら“選択”し、日常生活で活用してもらうことで、若者の自己表現手段として浸透することを目指しています。<図2>

FRANKのカードデザイン

<図2> FRANKのカードデザイン
出典:FRANK公式サイトより http://www.frankbyocbc.com/

加えて、プロモーションでも若年層を意識し、特徴的なキャンペーンを行っています。入会時には、若者に人気のあるアパレルブランドの商品券や人気デザイナーによる銀行オリジナルのノートPC用ケースをプレゼントしています。クラブやエステといった若者に人気のある様々なショップとも提携しています。ソーシャルメディアも積極的に取り入れ、特に、FacebookやTwitterを利用者とのコミュニケーションの場として活用しています。

こうした取組みにより、FRANKはシンガポールの若者に広く受け入れられ、口座開設者数は従来のOCBCの口座開設者数の2倍で推移しています。

(つづく)
(マネジングコンサルタント 隈本 正寛)
(シニアコンサルタント 松原 義明)

関連リンク

顧客セグメントにフォーカスした金融サービスの新潮流(1/3)

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