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銀行次世代店舗 フェーズ1 「企画」

(1)経営者の想い・狙いの共有

改革や新しい試みに限らず、どのような取り組みにも言えますが、次世代店舗を企画する際に最も重要なのは、経営者が提示するビジョンです。

皆を同じ方向に向かせるビジョンを作り、その先にあるものを成し遂げるという明確な意思決定をすることがすべての取り組みの出発点になります。

取り巻く市場環境、競合他社の取り組み、自社の現状を科学的にしっかりと分析し、今、何故次世代店舗なのか?というビジョンを組織の全ての人と共有することが大切です。

経営者の想いや狙いを共有しようと試みても、最初から全員の賛同が得られることは稀です。経営者は、最初からうまくビジョンを共有できるわけがないという前提に立ち、説得力のある情報と納得感のある文脈、相手の立場に合わせた言葉を用意し、根気よく語りかけるという泥臭い取り組みが重要です。

ゴールイメージは、組織のすべての人が、次世代店舗がなぜ必要なのか、危機感や何を成し遂げたいのかということを、いつ誰から聞かれたとしても同じ表現で説明できるようになることです。

(2)各種戦略の明確化

次世代店舗出店の取り組みの基本的な流れは目標と計画と進捗管理です。

目標は目的地のようなもので、それをビジョンという形で提示し共有化を図りますが、その次に行うことは、目的地に到達するまでの地図を作る作業、戦略の策定です。

企業戦略全体を支える各種戦略が決まらなければ、各セクションの具体的な戦術が決められず、各スタッフは自分たちにどのような戦技を期待されているのか理解することができません。

ビジョンに基づいた銀行全体の中期経営計画と、それに紐づく営業戦略、マーケット戦略、事務戦略、チャネル戦略、店舗戦略等を明確に表現し、組織全体に理解させる必要があります。

この際に重要な事は具体的であることです。

例えば、『「顧客になくてはならない店舗」となるように「抜本的な改革の断行」に「総力戦で取り組む」』などという、何をしようとしているかわからない戦略を配信しても、具体的な各種戦略にブレイクダウンすることができず、戦術や戦技につながりません。下記のように「やるべきこと/やるべきでないこと」が言語化されることで、必要な戦術や現場スタッフに期待する戦技が何なのかを考えやすくなります。

  • 「キャッシュポイントである/ではない」
  • 「顧客利便性を追求することである/ではない」
  • 「世の中に先進性を訴求するためである/ではない」
  • 「新たな顧客層をつかまえることである/ではない」
  • 「成約まで求める店舗である/ではない」

(3)数値目標の設定

計画を実際に実行する際には「数値目標」という定量化された情報が必要です。

目標という目的地に向かって進む際、ルートから外れていないか、行程に余裕があるのかないのかを判断する進捗管理には、予め客観的で皆で共有できる「ものさし」が不可欠になります。

ものさしは各種戦略それぞれに応じて、「トップライン(売上高)」、「成約件数」、「新規顧客数」、「事務量人員」、「削減コスト」、「顧客満足度」、「メディアへの露出数」などの定量情報で表現されます。

これらのものさしに刻まれた目盛りは、店舗運営時の戦術に迷いが生じた際の判断や、各スタッフが何を達成できればよいかの戦技を考える際のよりどころになります。

何を(戦略の定性情報)、どれくらい(ものさしの目盛りの数値目標)、いつまでに(達成時期の定量目標)する、というように、誰でも理解できる表現で言語化されていれば成功です。

(4)ターゲットとする顧客層

誰を相手に商売をするかのターゲティングが定まらなければ、どのような立ち居振る舞いで彼らに訴求するかのポジショニングが策定できません。

幅広いセグメントをターゲットにするとコンセプトが曖昧になってしまいますし、絞りすぎると空振りした際のダメージが大きいので、ターゲティングはとりわけ慎重に検討する必要があります。

この段階の論点は、誰の価値観に合わせて、どのように店舗を設計するのかです。

まずは前述の(1)~(3)を踏まえ、「どのような顧客を次世代店舗のメイン顧客にするのか」ということに思いを馳せますが、ここで便利に使える方法は「ペルソナの設定」です。

ペルソナマーケティングとは、ターゲットを、ある切り口で切り取った単なるセグメントではなく、実際に架空の人物をつくり上げてしまう手法です。小説の登場人物を設定するように、名前、性別、出身地、生年月日、学歴、職業、家族構成、趣味嗜好、通勤時間、休日の過ごし方など詳細にわたってつくり上げます。

このペルソナ像を経営者はじめマネジメントチーム全員の心の中に刻みこむことで、意思決定の速さや大胆さ、臨場感が得られるはずです。

「ペルソナの○○さんがこんなに窓口で待ってくれるだろうか?」「忙しい○○さんにこのタイミングでセールスしても迷惑に思うのではないか?」「○○さんはこのようなニュースを見て銀行に何を求めるだろうか?」などという文脈でミーティングできるようになります。

(5)コンセプトの策定

次世代店舗について一言で言い表せるコンセプトを作成します。

経営者のビジョンは銀行全体のものでしたが、コンセプトは店舗のミッションや存在意義を謳うものです。

ビジョンと混同し、なぜこのような店舗が必要なのかを表現してしまいがちですが、すでに次世代店舗はこうだという仮説が導出されているのですから、そこに至ったプロセスを表現するのではなく、「次世代店舗は何をするのだ」と未来を向いているものがコンセプトです。

まずは「この店舗は『誰に』、『何を』、『どのように』提供する店舗か」という文脈から検討し始め、最終的にはりそな銀行様の「3ない・3レス」のような象徴的なものに仕上げることが望ましいです。

(6)企画・推進体制の構築

次世代店舗の企画、設計・構築、準備、フォローを行う推進体制とメンバーのアサインメントを行います。

次世代店舗は、一般店舗と異なる位置づけ、役割であるため、全く新しい店舗を一から構築していくことになります。この時に必要なのは多様な発想を受け入れられる柔軟さと、予期せぬ事態にも適正に対処できる緻密さと行動力となります。

異なるバックグラウンドの人材が集まり、共創につながるチームが理想です。

現実的には、事務部門、セールス部門を中心に、システム部門、管財部門、人事部門、リスク管理部門等、部門横断の組織体制が求められます。

あわせて、思い切った決断を下し、部門をまたがって物事を進めていかなくてはならないため、経営層の意思決定者を参画させることも重要となります。

(7)出店までのスケジュール

これまで、経営者のビジョン戦略に落とし込み、数値目標化した後、ターゲティングとコンセプトを明確に表現し、推進チームを立ち上げてきました。

企画段階で最後に行うことは、WBS(Work Breakdown Structure:作業分解図)を作成することです。

WBSは5W1Hを基本に、企画、準備のタスクの洗い出し、各タスクの担当者やスケジュールなどをヌケ・モレなく線表で表現しますが、ここで重要なのはWBSが次世代店舗のオープンまでで終わっていないことです。オープンまでのWBSが必要なのは当然ですが、オープンから検証までのWBSも同じように緻密に作成する必要があります。

次世代店舗の出店は、実行フェーズであると同時にお客様も巻き込んだ試行の場でもあります。

出店を貴重な仮説検証の機会と位置づけ、柔軟に計画を見直すことも視野に入れます。

定量情報をどのようにモニタリングしてどう使うのかを明確にWBS化しておくことが求められるでしょう。

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