Skip to main content

English

Japan

<国内事例>大手金融機関A銀行様 次世代店舗への取り組み

1.背景・狙い

A銀行様では、今現在の成長と同様に、将来持続的に成長していくためにも、若年者層や勤労者層を重要ターゲット顧客と位置づけ、自行顧客として取り込んでいく必要があると考えています。

しかし、実際のA銀行様の顧客構成は高齢者層が多く、店舗に訪れる顧客についてもほとんどが高齢者であり、若年者層・勤労者層との顧客接点を、いかに確保するかが同行の課題となっていました。

そこで、これら新たな顧客層との接点を創出する役割を、「新たな店舗」に担わせるべく、その誘導アプローチとして若年者層や勤労者層が集まる場所に、店舗を新規に展開したかったのですが、従来の店舗形態の出店では、あまりにコストも時間もかかるうえ、単に店舗立地の最適化のみでは、若年者層・勤労者層が足を運んでくれない(接点創出に至らない)のではないかという懸念が経営層にはありました。

(注)なお、2014年に富士通総研で実施した個人利用者向け金融商品・サービス利用状況のアンケート調査からも、年齢別の窓口利用頻度は、高齢世代(60代以上)の約3割が毎月1回以上窓口を利用している反面、若者世代(10代、20代)の利用は1割程度であり、勤労世代(30代、40代)のそれも2割に満たないという結果となっており、いみじくも同行の課題を裏付けています。(出典:個人利用者向けアンケート結果に見る若者世代の金融商品・サービス利用状況(富士通総研調べ)

2.実施事項

上記の課題に対してA銀行様が取り組んだテーマは、「店舗の営業時間の変更」、「利用しやすい店舗立地への出店」の2つです。

店舗の営業時間の変更

「従来の営業時間(平日9:00~15:00)では店舗に行きたくても行けない」という地域および顧客のニーズに着目し、その根強い要望に応えるべく、特に若年者層・勤労者層が来店しやすい休日や平日夜間に一部店舗を営業し、事務サービスの提供を始めました。

しかし、店舗の休日営業や、平日の営業時間を夜間まで延長するということは、「職員の労働条件の変更」になります。

A銀行様では、休日や平日夜間に事務サービスを提供できるようシステム改修するコストや、営業時間変更の告知・集客プロモーションの企画・実施など、具体的な方策の検討以前に、事務サービスを提供する「人(スタッフ)」の確保に柔軟に即応することができないことが、営業時間延長実現の最大のネックとなったのです。

邦銀各行も「従来の営業時間では、店舗に行きたくても行けない」という顧客からの根強い要望は重々認識しているものの、追随できずにいる理由は、この問題をどうクリアするかの解決策が、なかなか見出せないことにあるのではないかと推察しています。

結果的に同行は、「既存の従業員のさらなる多能化」、「労働時間(出勤シフト)の工夫」、「職員の待遇改善」、「本部による手厚い支援体制の構築」を図ることで、店舗の営業時間の延長を実現しました。

ターゲット層が利用しやすい店舗立地への出店

重要ターゲットと位置づけた若年者層・勤労者層が、気軽に立ち寄れる雰囲気の店舗を、顧客が思い立ったときにすぐに来てもらえる立地に、多数の出店を実現するためには、莫大なコストを要するため、1店舗あたりの出店・運営コストの抑制が課題になります。

出店・運営コストを押し上げる主なものは「不動産コスト」と「人件費」です。

金融機関の多くは、駅前オフィス・商店街などの一等地や大通りに面した路面店に出店するケースが多く、不動産コストが高くなりがちですが、顧客の利便性を確保して、集客を狙うためにはやむを得ません。しかも、金庫室・数多の出納機器や端末等の設置、数えきれないほどの帳票を保管するためのストックヤードや、厚生設備(食堂・更衣室等)を設けることが一般的となっている金融機関の店舗においては、それ相応の面積が必要となり、さらに不動産コストが膨れ上がります。また、金融機関の多くは業務(取引種類)ごとに組織化されており、その組織ごとに担当者(複数名)、後方、役席者など複数人いるため、すべての取引を提供しようとすると、各店舗で多数の人員を抱えることになり、自然に人件費(人員)が膨れ上がります。

そこでA銀行様が考えたことは「省スペース」、「少人数体制」で運営できる「軽量店舗」でした。

軽量店舗実現のキーワード「多能化」

「軽量店舗」の開設にあたり、忘れてはならないのが「顧客利便性の維持・向上」と「サービスレベルの維持・向上」です。これは今回の軽量店舗を出店する目的を鑑みても、絶対に外せない条件になります。これを実現させたのが「多能化」です。

少人数体制で顧客へのサービスレベルを落とすことなく店舗を運営するために、「その店舗に在籍している全職員が何でもできること=人材の多能化」を図り、職員一人当たりの稼働率の向上を図りました。

これは役席者も例外ではありません。拠点長含め役席者自ら店頭やロビーに立ち、接客やセールスへの誘導を行うこともあれば、セールス担当者も予約が入っていない時は積極的に事務手続きを受けることで、少人数体制での運営を実現させています。

また、省スペースですべての取引(サービス)を提供するために、「設備の多能化」も行いました。多くの金融機関では取引ごとに専用カウンターを分けている(諸届は「ローカウンター」、預かり資産の相談は「相談ブース」など)ことが多く、例えば、諸届に訪れたお客様が、来店したついでに資産運用の相談を希望された場合、金融機関の担当者が変わるだけでなく、お客様を応対する場所まで変わるケースが散見されます。

これは、「相談にふさわしい雰囲気」で接客するためという理由もありますが、多くの場合、「資産運用のご相談に応じることができる設備のある場所」に、お客様を誘導しているにすぎません。しかも、そのとき、相談ブースが埋まっていたら、せっかくできたセールスの良い流れが台無しになり機会損失につながります。

そこでA銀行様では、1か所で何でもできるよう、人材の多能化と併せて、設備(カウンター)の多能化を図りました。

もちろん厚生設備についても例外ではなく、ビルの共有設備を使ったり、食堂と会議室を兼用したりすることで、大幅にスペースのダイエットを行いました。

この多能化が実現できたのは、ある意味、「役割を決めず、相互に助け合うことで、店舗を円滑に回し、お客様に満足してもらう」ということが、この軽量店舗の理念として明確に定められたこと、およびそれを実現できるよう、この軽量店舗に配属されるパートスタッフを含めた全職員に対して、本部主導できめ細やかな訓練とメンタル的なフォローを、オープン前はもちろん、オープン後も行い続けたこと、またターゲット顧客の利用シーンを想定して行動パターンを予測し、店舗の設備を整備したことにあります。

もちろん、少人数での運営になるので、職員の業務や動線に無駄が起こらないよう、レイアウトも工夫しています。

昨今、「人材の多能化」については、富士通総研にも多くの金融機関様からからご相談を頂きますが、そのご相談の多くが「スキルレベルが高くないスタッフでも事務もセールスも提供できる仕組み(システム)を構築したい」という内容です。

「スキルに見合った仕事のさせ方、負荷の軽減」ということは効率化の観点、堅確化の観点でも重要になりますが、職員のスキルを伸ばすために本部主導で根気強く教育、訓練を施すことの重要性をA銀行様の事例では表しています。

また、このことをきっかけに「事務サービスを『人』で提供しなくてはならないのか」「人的リソースに依存せず事務サービスを提供する方向性はないのか」ということについて、A銀行様では検討しています。

3.結果

休日や平日夜間に事務サービスの提供を開始したことは、若年者層や勤労者層からの支持を集め、新たな顧客層の基盤拡大(新規口座開設の純増等)に寄与しました。

実際、休日出勤で窓口対応した職員からは「お客様から『休日に営業していてくれて助かった。ありがとう。』と言われ、自身も非常に嬉しく感じた。」という声が多数聞かれました。

また、「究極の多能化」を図ったことで、省スペース店舗での営業を実現させたことにより出店・運営コストを抑制できたことに加え、タイミングを逃さずお客様と的確な会話ができ、これまで以上の取引拡大に寄与しています。

さらに大きな成果として、パートスタッフを含めた職員のスキルが格段に向上したことも挙げられます。また、ここで本部が獲得した教育ノウハウは、同行の営業店職員のスキルの底上げにも今後活用される予定です。

関連サービス

お問い合わせ・ご相談はこちら

当社のコンサルティング・サービス内容について、ご不明な点はございましたか?
経営やビジネスに関するお悩みがございましたら、以下のお問い合わせ方法からお気軽にご相談ください。

お電話でのお問い合わせはこちら

お電話でのお問合わせ
富士通総研お客様総合窓口
03-5401-8391

ご利用時間:8時40分から17時30分まで
(月曜日から金曜日、祝日を除く)
(注)電話番号はよくお確かめのうえ、おかけください。

オンラインでのお問い合わせはこちら

お問い合わせへの回答例
お客様からのお問い合わせとコンサルタントからの回答例です。ご相談をされる際は、是非ご覧ください。