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【インタビュー】
課題認識とデータ分析によるAI活用の可能性

人工知能(AI)囲碁ソフト「アルファ碁」がトッププロ棋士に圧勝したニュースは人々の記憶にまだ生々しく残っているだろう。「AIブームに乗り遅れるな」と、ビジネス界でもトップダウンで「AI活用に取り組め」との声が下りてきて、「もっともだ」と思いつつも、どこから手を付ければいいのか分からずに困っている企業も多いだろう。AI活用のコンサルティングサービスを展開するビジネスアナリティクスグループの佐藤文孝・シニアコンサルタント(以下、佐藤SC) が、AIを「育む」データサイエンティストの視点から、実物大のAIと、AIのベースとなるデータ分析が秘める可能性を語った。

富士通総研 佐藤 文孝の写真

富士通総研 ビジネスアナリティクスグループ
シニアコンサルタント
佐藤文孝

データサイエンティストの視点により、様々な課題をデータ分析で解決に導くAI活用のコンサルタント。

「AIは万能」という誤解

AIは身近な生活にも入り込みつつある。AI音声アシスタントを搭載したスマートスピーカーの出荷台数が米国で既に1000万台を超えているとか、AIのお陰でクルマの自動運転が近い将来実現する、といったニュースを見聞きするようになった。

更に、日本の労働人口の半分近くがAIやロボットなどで代替可能になるという予測まで聞くと、AIは人間の能力を上回る万能のツールのように思え、これまでとは全く違う新しい時代に入ったかのように思ってしまう。

しかし、佐藤SCは、「AIという言葉の輝きが過度な期待を生んでいるのかもしれませんが、やっていることはデータ分析であり、以前からやっていることの延長に過ぎません。AIという看板を掲げるようになっただけで、根本はデータ分析・活用手法の正統な発展なのです」と説明する。

富士通には「Zinrai(ジンライ)(注1)」という長年にわたり積み上げられてきたAI技術体系がある。 それを通せば魔法のように素晴らしい解が出てくる、と期待する向きもあるそうだ。しかし、佐藤SCは、「AIと言っても、コンピュータが人間の作ったプログラム通りに動いてくれるだけ。どういう結果が出てくるのかは、人間がどんなデータを入れるか、どのように処理を設計するかで左右され、それらは人間が現状と目的に応じて定義する必要があります」と、主要な役割を果たすのは機械ではなく、人間だと強調する。

(注1)「人と協調する、人を中心としたAI」を目指す富士通が、その高度なICT技術を体系化したAI。名前の由来は、素早く激しいとの意味「疾風迅雷」から。人の判断や行動を迅速に支え、企業や社会をダイナミックに変革させたい、との思いが込められている。

AI導入の第一歩は課題認識から

AI活用の始まりはシンプルに現状の課題認識から始まる。どのような問題が社内に存在し、どのように解決できたら嬉しいのか、まずは洗い出してみることから始めるべきである。やりたいことがある程度固まったら次は企業がどんなデータを保有しているのか、もしくは社外のオープンデータを活用できるか、言わば「データの棚卸し」作業を行い、「このデータをこう処理すれば、こういう結果が出てくるかもしれない」という仮説を立てる−−これらがAIを活用するための初期手順であり、データサイエンティストはその経験から現実的なロジック仮説を作成し、実装していく。AIプログラムは一度実装したらそれで完成ではなく、データを投入しアウトプットを確認し、細かなロジック修正を何度も繰り返す。思うような結果が出ないと結論づけられれば、問題設定からやり直す。

「AIと言っても地味な作業だな」と思うかもしれないが、佐藤SCは「コンサルティングの業務では、場合によっては最初にAIに対する夢を壊すところから始まります」と率直に語る。

自社のどの事業にAIを導入できるか迷っている企業もきっとあるだろうが、「『AI活用』だからと言って力まず、シンプルに目の前の解決すべき課題を洗い出せばいいと思います。課題解決の仕方にはいろいろありますが、その解決方針のひとつとして、または解決方針を決めるためにデータ活用の観点からアプローチするのは当たり前のことで、AIはその延長線上にあるだけです」と言う。まず、「課題認識ありき」がAI導入の第一歩なのだ。

AIに何ができるのか

では、佐藤SCのようなデータサイエンティストはデータ分析を通じて企業の業務遂行に具体的にどのような寄与ができるのだろうか。AIの可能性は無限だが、その中から一例を紹介する。

まず、いわゆるデータ分析としてのイメージの強い分野で言えば製造業における工場の製造機器から得られるデータを用いた生産品の品質維持や不具合検知がある。製品の最終品質やひび割れを発見するなど、以前から行われていることだが、その重要さは昔も今も変わってはいない。その目的自体は大きく変わってはいないが、近年ではIoTの発展もあって我々が取得できるデータ量が大幅に増えてきており、多次元ビッグデータの分析には最新のAI技術が利用されていることが多い。

そして、世間が抱くAIのイメージに近いものが自然言語処理や画像認識を行うAIではないだろうか。

自然言語処理系のAI技術はその細かい技術的な分野は多岐にわたるが、例えば単語や文脈、文章の意味的な特徴をAIに学習させることが可能になってきている。企業内の応用で言えば、この技術によって社内外のデータの中から本当に知りたい情報を見つけ出してくれる検索機能や、文書を自動的に分類したり要約を作ってくれたりする機能による社内知の共有があるだろう。

検索機能に関しては、目指す情報がピンポイントの単語で入力しないとヒットしないシステムでは、実際の仕事の場では役に立ちにくい。 より深く人間の意図を汲んで本当に欲しかったものを返してくれることが望ましい。

ベテランの作業者は、効率良く目指す情報を見つけ出すノウハウを身に着けている。そのノウハウを学習させることにより、新人でもベテラン同様の結果を出せるシステムの構築も可能だ。

さらに文書の自動分類や要約生成の活用によって更なる情報の効率的な取捨選択、学習を加速することができる。

このような「社内知の共有」が思わぬ成果を生む可能性は大きい。システム作りの顧客との打ち合わせの場で、顧客の社員同士がお互いに知らないデータの存在に気づくことがあるからだ。社内にどんなデータがあるか把握していないケースは珍しいことではないらしい。

世の中に存在する情報は膨大になりすぎており、我々がその全てを把握することは現実的には不可能であるが、有用な情報は最大限に活用するべきである。まさにAIによる情報活用が今後大切になってくるであろう。AIによって我々の仕事が奪われるという話もあるが、それよりもAIとともに我々も一緒に成長していくような歩み方があるのではないだろうか。

ディープラーニングによる画像認識能力の進化

画像認識については、まさにディープラーニング技術の発展によりコンピュータが写真や動画の中に現われるモノや人を判別する精度が飛躍的に向上した。ある特定の問題設定の上ではその精度は人間の認識精度をも上回る結果を出してきている。人の気づかなかった視点からAIは情報の特徴を学習していく。刑事ドラマで、敏腕刑事が事件現場や写真の中から重要な手がかりを見いだす場面が時折見られる。人が画像の中で見落としてしまった重要なファクターをAIは決して見逃さないのだ。

このような技術の発展により、代表的な応用例で言えばスマートフォンやデジカメの顔認識や自動運転技術への適用が挙げられる。企業における情報活用の観点で言えば 、どういう内容の写真、動画なのかを分類してタグ付けしてくれる。人が同じ事をやろうとしたら相当な時間を必要とするであろうし、分類基準が人によって違ってきそうな分野でもある。機械に任せた方が良さそうだ。

データ分析で埋もれるお宝発掘

ここまでは、社内データの分析業務を中心に話を進めてきたが、インターネット上を飛び交う膨大な量の社外データも、当然その活用可能性は大きい。

佐藤SCは「僕らが入手できるデータ量は爆発的に増えていて、その中には間違いなく、まだ見ぬお宝が埋まっているはずです 。「新大陸」がどんどん広がっています。それと同時に、マシンパワー、つまりコンピュータの性能はアップし、ディープラーニングに代表されるアルゴリズムも進化しています。新大陸を開拓するツールが揃ってきているのです」と今後の可能性を語る。

ビッグデータ黎明期に語られてきたエピソードに、グーグルの自動翻訳の成功がある。

グーグル以前に英仏翻訳に挑んだIT大手があった。英仏2か国語が公用語であるカナダの国会文書に目を付けて開発を進めたのだが、途中で断念した。

なぜか? 数百万にのぼる2か国語の文書があったのだが、実は、翻訳プロジェクトを完遂するには、数百万という数字は十分ではなかったのだ。

ところがグーグルはインターネットを経由して自社のサーバーに集まってくる数十億の文例をベースに、高レベルな英仏翻訳にこぎ着けることができた。ビッグデータの可能性と新時代の到来を象徴するエピソードだった。

「お宝が眠っている新大陸を発掘しない手はありません。AIブームに冷や水をかけるようなことを最初に言いましたが、データ活用の可能性という意味でAIの可能性は実はどんどん広がっているんです」佐藤SCは最後にそう締めくくった。

富士通総研としてできること

実際にAIを活用した社内業務改革を実現しようと思った場合、求められるスキルは多岐にわたる。まずは現実のビジネスにおける課題と重要性、その解決による期待効果を認識するビジネススキル。その後に実際に入手できるデータでAI技術を活用し課題解決までのデータ処理のプロセス(アルゴリズム)を設計するデータ分析のスキル。そしてそれらを実際にコンピュータ上で実現し、現実のシステムとして纏め上げるITスキル。大きく分けても上記のものがあるだろう。富士通総研はこれらのプロセスをワンストップで提供することができる。

AI活用アセスメント。1.AI活用の方向性検討。2.ユースケース策定。3.AI実現方策選定/データ状況診断。4.実現に向けた実行計画立案。

AI活用の領域は広く、分野や目的によって何を実現するかは千差万別であるため、「AIを活用したいが目指す将来像がまだない」「自社でのAI活用をイメージできない」「活用イメージはあるが、必要なデータがあるかどうかわからない」など、これからAI活用に取り組む上で様々な悩みを抱えているお客様向けには、最適な活用分野をご提案する「AI活用アセスメントサービス」を提供する。

第1段階では、AI技術でできること/できないことと、お客様の業務上の課題を整理し、AI活用の方向性および実現に向けたステップを概要レベルで明らかにする(Ⅰ. AI活用の青写真策定)。 第2段階では、検討結果を具体的な活用シーンへ落とし込み、現行との関係やあるべき姿を明らかにする(Ⅱ. ユースケース策定)。 第3段階では、策定したAI活用シナリオに基づき、求められるAI活用領域を診断し、併せてAI活用に必要となる社内外のデータを診断する(Ⅲ. AI実現方策 選定/データ状況診断)。

最終の第4段階では、求められるAI活用の実現に必要な方策やデータ整備方針を検討し、今後のシステム構築に向けた実行計画を立案する(Ⅳ. 実行計画立案)。 富士通総研は、以上のようなAI活用アセスメントサービスにより、お客様のAI活用の迅速なスタートアップを支援していくことができる。

関連リンク

AI活用アセスメントサービス