貿易における販売管理の課題解決の具体策

2020年5月22日更新

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前回のコラムでは製品・部品・原材料などを輸出入する貿易業務には、専門性の高い特殊な処理を伴う業務が数多くあります。そのため、貿易業務の標準化や効率化においてさまざまな課題を抱えている企業も少なくないと説明しました。本コラムでは、貿易業務における販売管理で、多くの企業が直面している課題の解決策について説明します。

貿易の販売管理における課題の解決策

国や地域をまたがる国際間での取引となる貿易業務には、国内取引とは異なる様々な特殊性があります。そうした貿易業務の販売管理では、専門的な知識やノウハウを持つ特定の担当者でなければ業務をこなせないといった「属人化」や、特殊な業務処理が必要なためにシステムも複雑になり生産管理や会計処理など「他のシステムと連携できない」といった課題があります。

また、貿易業務においては、ヤードやポンド、キログラム、グラムなど重量の単位が国や扱う品目によって異なることへの対応が求められます。さらには、液体状や粉状の原材料や化成品、穀物などはコンテナで在庫を管理し、缶に詰めて出荷するなど荷姿が変わることへの対応、さらには、輸送に時間がかかることから未着の製品や原材料を月次の決算の時期にどう処理するかといった課題もあります。貿易業務における販売管理では、こうした課題に対応することが求められます。

エクセル管理から脱却し業務の「属人化」を解消

自社の事業に占める海外取引の割合がそれほど多くはない企業では、貿易に関する専門的な業務知識を持った特定の担当者がエクセルを活用して貿易業務を管理していることがあります。こうした企業における、貿易業務では業務の内容の詳細について、特定の担当者しか正確には理解していないことが多く、業務が属人化してしまう傾向にあります。

そうした課題の解決には、汎用的な機能を備えたシステムを導入することが効果的です。属人化を解消できる汎用的な機能とは、例えば、専任の担当者がエクセルで管理していた帳票類をそのままシステムに反映させられるといった機能です。さまざまなフォーマットの貿易帳票を標準で備え、PDFやエクセルの形式で出力できる機能などがあるとより便利に活用できます。エクセルで効率よく帳票を作成でき、それをシステムに反映させられることで、「エクセル管理から脱却」することが可能になります。

さらに、自社独自の貿易に関する商習慣、属人化した業務にも対応できる柔軟性や拡張性を備えた貿易業務にも対応した販売管理システムを導入することで、次のようなメリットが考えられます。

【貿易業務にも対応した販売管理システム導入のおもなメリット】

  • 貿易ドキュメント作成にかかるコストの低減
  • 正確な輸入原価の把握や諸掛計算により、適切な利益を確保
  • 商材ごとのデータを一元管理することで国内・海外の二重処理を解消
  • 経理処理の簡略化と確実な入金管理を実現
  • 商材の輸送中を含めた正確な在庫管理

貿易業務にも対応した販売管理システムを導入することで業務を標準化でき、精度の向上と効率化も期待できます。

国内向け販売管理システムと貿易システムを連携

多くの企業は自社での海外取引の割合が多くなってきたタイミングで貿易業務に販売管理システムを導入しようとします。そのため、貿易業務における販売管理システムが後付けとなってしまい、既存の国内向けの販売管理システムと貿易業務の販売管理システムとを連携できないケースがあります。

こうした課題を解消するには、理想的には国内向けの販売管理システムを導入する時点で、将来の海外取引を見越して「追加できる」拡張性を備えたシステムを選択することが大切です。すでに国内向けの販売管理システムを導入しているケースでは「後から追加できる」、つまり既存システムとスムーズに連携できる機能を備えた販売管理システムを選択することが重要になります。

一方、貿易業務の割合が拡大してきたことを踏まえると、海外向けと国内向けとを合わせた自社の業容拡大に既存システムのままでは追いつかなくなる時期が来ることを想定することも大切です。そのタイミングでシステム更新を検討し、その際にさらなる貿易業務の拡大に対応できる拡張性を備えた販売管理システムを選択すれば、既存システムと連携が難しいといった課題の解消にもつながります。

貿易業務に柔軟性や拡張性を備えた販売管理システムを導入すれば、国内・国外取引業務の円滑な連携が可能になります。具体的には、既存の販売管理システムで発注する際には、貿易業務のシステムでの受注データを参照して登録するようにしたり、反対に貿易業務のシステムで海外向けに発注するときには、国内向けの販売管理システムにおける受注データを参照したりするといった連携が可能になります。

国内向けの販売管理システムの「発注入力」画面で、貿易システムの受注番号を参照することで、すでに登録されている情報を有効活用して二重入力を防止し、業務を効率化できるようになるのです。

化成品や穀物などの単位変換時の誤差と「入り目」管理に対応

また、粉状や液体状の原材料や化成品、穀物などの海外取引では、発注から入荷、在庫、出荷という過程で「荷姿」が変わることもあります。例えば、液体状の原材料100ポンドを発注し、入荷した後に10キロ入りの缶に分けて国内の需要家に出荷するといった取引です。

こうした取引では、「海外向けの発注はポンド」で、入荷後の国内での「在庫管理はキログラム」で、そこから出荷するときには、原材料を入れる容器の大きさである「入り目単位」で何缶、出荷されたのか管理が必要になります。貿易における販売管理システムに「重量単位変換時の差額防止機能」や「入り目管理」の機能が備わっているかどうかが重要になります。

重量単位変換時の差額防止機能とは、ポンドとキログラムの換算で発生する誤差を調整吸収する機能です。例えば、化成品100ポンドを100ドルで発注した場合、100ポンドは約45.36キログラムなので在庫管理の単位はキログラムで計上しますが、約45.36キログラムに対する買掛金額は99969.61ドルとなり100ドルと間にはわずかな誤差が生じます。この誤差を吸収調整するために買掛を発注する100ドルで管理できるようにするのが重量単位変換時の差額防止機能です。正しい商取引に基づいた数量、単価、金額で発注書も発行でき、買掛も計上できます。自社の在庫管理の単位に基づいて在庫を管理し、計上できるのです。

入り目管理の機能とは、商品マスタに荷姿の入り目を登録できる機能です。例えば、100ポンドで発注し、約45.36キログラムで在庫管理をしている化成品を、10キロ缶の入り目で出荷する場合、商品マスタには入り目単位を「缶」で、入り目数量を「4缶」というように登録できます。荷姿の変化に応じて、商品マスタに荷姿の入り目を登録でき対外帳票や社内の在庫管理帳票、照会画面などにも荷姿の数量を出力できる機能です。

さらに、入り目管理の機能を活用すれば、「10キロ缶で4缶出荷すると約5.36キログラムが在庫として残る」という端数を含めた正確な在庫管理が可能です。化成品や穀物など特定品目では正確な在庫管理が難しくなるといった課題も解消できます。

月末時点の未着商品を把握し会計システムに連携・計上

図版1 貿易業における決算処理の悩み図版1 貿易業における決算処理の悩み

貿易は国をまたがる取引です。海外との取引となるために製品や原材料など扱う品物や、空輸や海上輸送かといった輸送方法によって、発注から入荷までに時間がかかることがあります。こうした取引では、発注した製品や原材料が、月次の決算処理のタイミングで未着というケースはよくあります。

こうした課題は、貿易業務にも対応した販売管理システムを導入することで、月末時点の未着商品を帳票で確認し、会計システムへの自動仕訳・連携する機能によって解決できます。発注から積載後の所有権移転に合わせ、販売管理システムで未着商品を一覧で把握し、会計システムへの連携と計上をスムーズにできるようになります。

また、貿易業務では、国内での取引とは異なり、販売管理システムでは管理しにくい「システム外」の業務が多く発生しがちです。そのため、例えば四半期決算の社内資料の作成のときに、エクセルで処理したシステム外のデータを集計しなければならず、手間も時間もかかっていました。システム外の業務処理にも柔軟に対応できる貿易システムを導入することで、社内資料や報告書なども簡単に作成できます。貿易業務の収支の状況を迅速に把握できないといった課題も解消できるのです。

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著者プロフィール

株式会社富士通マーケティング
東京ソリューション営業本部 東京GLOVIAソリューション統括営業部
課長代理 井上 康

1997年、富士通ビジネスシステム株式会社入社。様々な業種の基幹システム導入を営業として実施。
2016年 富士通ERPシステムであるGLOVIA iZシリーズの専任ソリューション営業として、システム面から顧客の企業価値を高める活動に注力している。

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