貿易における販売管理システムの4つの導入課題

2020年4月24日更新

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貿易は国や地域をまたがる国際間での取引となるため、国内取引とは多くの点で違いがあります。例えば、言語や通貨、商慣習、法制度の違いなどに対応するために、煩雑かつ専門的な手続き書類の作成、輸送・通関手続きの手配、為替レートの換算が複雑になる多通貨での会計など、専門性の高い特殊な処理を伴う業務が数多くあります。ここでは、貿易業務の販売管理における、よくある課題について説明します。

貿易における販売管理システムの導入時の4つの課題

従来、輸出入など海外の企業との取引では、サプライヤーと製品や原材料を購入する企業との間を商社が仲介するのが一般的でした。ところが経済のグローバル化が進んだ今では、商社だけではなく、中堅・中小の製造業も海外に生産拠点や販売拠点を持ち、海外との直接取引を手がけ、貿易業務を拡大しています。

こうした中、多くの企業では増大する海外取引の効率化、複雑な貿易業務の標準化といった課題を抱えています。まずは、貿易業務における販売管理において、多くの企業が抱えている課題について確認していきましょう。

貿易業務が「属人化」し、業務プロセスが標準化されていない

多くの企業では自社での海外取引の割合が多くなってきたタイミングで、貿易業務のシステム化か販売管理システムのカスタマイズを検討し始めます。そのため、いざシステム化しようとすると、いくつかの課題が浮き彫りになってきます。まずは貿易業務の「属人化」です。

海外取引の割合がそれほど多くはない段階では、専門的な業務知識を持った特定の担当者がエクセルとマクロ機能を活用して貿易業務を管理することも可能です。実際、中堅・中小の製造業においては、エクセルで貿易業務を管理し、そのデータを既存の販売管理システムに手作業で再入力して一元管理しているケースもあります。

こうしたケースでは、例えば、海外取引に伴う為替レートの換算や重量単位の変換などをエクセルのマクロ機能で処理して管理しているのですが、その詳細な管理内容は特定の担当者しか正確には理解していないことがほとんどです。つまり、業務が属人化し、業務プロセスを標準化できていないのです。

業務プロセスを標準化できないということは、システム化が困難であるということにもつながります。さらに、特定の担当者でないと貿易業務の詳細な内容がわからないようでは、海外との輸出入の業務において自社内で共通の「明確な手順」を定められず業務を効率化することも困難になります。

まずは、業務の属人化と属人化がもたらすさまざまな弊害が、貿易業務の販売管理における課題です。

既存のシステムと貿易のシステムを連携できない

また、海外取引の割合が多くなってきたタイミングで貿易業務に販売管理システムを導入しようとすると、多くの場合、貿易業務の販売管理システムが「後付け」となります。そのため、既存の国内向けの販売管理システムと貿易業務の販売管理システムとを連携できないケースがあります。これも多くの企業が直面する課題といえます。

貿易業務における販売管理システムを他のシステムと連携させるのが難しい理由は、貿易業務の複雑さにあります。貿易業務は海外で製品・部品・原材料を仕入れて国内で製造・販売する(輸入)、国内で製造した製品・部品・原材料を海外で販売する(輸出)海外の生産拠点で製造した製品を第三国に輸出する(三国間取引)など、その業態は多様です。

そのため、例えばコンテナを複数の製品の輸送でチャータした場合に製品ごとにコンテナ費用をどう配分するか、海運貨物取扱業者(乙仲業者)への手数料や輸出入通関などの経費をどう配分するかなど、細かな判断と調整が求められます。こうした特殊な業務処理に対応するシステムを後付けで構築すると、既存システムとの連携が難しくなってしまうのです。

また、取り扱う製品・部品・原材料といった商材ごとに複数の事業部門がある場合、各事業部で特有の貿易業務に適したシステムを導入しているケースもあります。事業部門ごとに使い勝手を重視してシステムを構築してしまうことが多く、システム連携が難しくなるばかりか、同じような業務に対するシステムの二重投資になる可能性もあります。各商材の調達や物流、出荷などの情報を一元管理するのにも手間がかかってしまうことも課題です。

貿易業務の拡大に既存のシステムでは追いつかない

また、今後、海外取引の増大が見込まれる企業においては、貿易業務の拡大に「特定の担当者のエクセル管理では追いつかない」ことも懸念されます。特定の担当者のエクセル管理では、原価管理にも手間と時間がかかり、事業の損益を迅速かつ正確に把握することも難しくなります。

同時に取引条件や会計処理の仕方が国や地域によって異なる貿易業務がさらに拡大していくと、貿易書類の作成と管理や為替レートに対応した会計事務など、いわゆる貿易業務の増大への対応が必須になります。増大する業務をどう効率化するかも課題です。

化成品など扱う品目によっては在庫を正確に管理するのが難しい

図版1 貿易業務契約形態について図版1 貿易業務契約形態について

貿易業務において海外から製品・部品・原材料を手配するときには、大きく2通りの契約形態があります。ひとつ目の契約形態として、粉状の化成品を100トン積みのタンカーで輸送する場合、そのタンカーを丸ごと貸し切り、100トン分の化成品を手配する契約形態が多く見られます。タンカーを貸し切る「親契約」を締結し、手配した化成品を日本国内の倉庫で保管し、国内の需要家とは個別に「子契約」を結び、必要な分量を出荷します。

こうした契約形態の場合には、当初は100トンあった在庫が、その後、多くの需要家との子契約によってどれだけ減少していったかを正確に把握しておく必要があります。しかも、海外に化成品などを発注するときには重量の単位をポンドとして100トン分を換算して注文し、国内に入荷し倉庫で在庫となった場合にはキログラムで換算して管理しなくてはならないといった手間がかかります。単位の換算時に端数がでてしまうこともあり、正確な在庫管理が難しくなることが懸念されます。

ふたつ目の契約形態は、100トンのタンカーに複数の製品を集約して積み込んでいくかたちです。例えば機械部品や電子部品など比較的小型の製品を海外から手配するときなど、いくつもの製品を、それぞれ必要な分量だけ積み込み、合計100トンになるように手配していきます。このような契約では、製品ごとの複数の契約をまとめて発注し管理することが求められます。

このように、扱う製品の種類や大きさ、形状、また、貨物船や鉄道、輸送機など手配する輸送手段のキャパシティ、貸し切るかどうかといった契約形態によって在庫管理や販売管理が変わってくるのです。

次の販売管理コラムでは、化成品や原材料などの商材では、国際間の取引において、ポンドやオンスとキログラム、グラムなど、重量の単位を変換しなくてはならないといった特定品の貿易における販売管理の特殊な課題を説明します。

貿易における販売管理の「化成品や穀物などの特殊な課題」とは? >>

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著者プロフィール

株式会社富士通マーケティング
東京ソリューション営業本部 東京GLOVIAソリューション統括営業部
課長代理 井上 康

1997年、富士通ビジネスシステム株式会社入社。様々な業種の基幹システム導入を営業として実施。
2016年 富士通ERPシステムであるGLOVIA iZシリーズの専任ソリューション営業として、システム面から顧客の企業価値を高める活動に注力している。

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