給与計算のシミュレーションの方法

2020年2月7日更新

働き方改革の進展で、多様な働き方をする人たちが増えています。それに伴い、多くの企業においては、従業員の給与体系を柔軟に設定し、多様化する働き方に対する従業員のニーズに応える必要性が高まっています。企業にとって給与は最も大きな費用項目であり、ずさんな給与管理は、会社の業績に悪影響を与えかねません。本コラムでは、そのような悪影響を避けるための、給与計算のシミュレーションについて解説します。

給与計算シミュレーションとは?

給与計算シミュレーションとは、予定している給与の額を算出し、給与総額が「どの程度になるか」を予め分析することをいいます。

近年の働き方改革への注目度の高まりから、従業員の多様な働き方に対するニーズを企業が制度面から支援をするようになりました。テレワークも広がりを見せており、「仕事は会社でやるもの」という常識も過去のものになりつつあります。スマホに代表されるモバイル端末も進化しており、場所や時間といった制約を超えて仕事ができるようになりました。在宅勤務が広がり、会社に行くほうが少数派という時代がくるのも時間の問題かもしれません。

優秀な人材を確保するために、高い給料で従業員を優遇する企業も増えています。企業が競争力を確保し、持続的な成長戦略を描くことは、優秀な人材なくして難しいでしょう。人材は「人財」と表現されることもあり、企業の最も重要な資産にも位置づけられています。

しかし、優秀な人材の確保や雇用維持に固執するあまり、経営の実態を考慮せずに人材を雇い入れてしまうと、企業にとってはその分、人件費の負担が大きくなってしまいます。従業員の給料に代表される人件費は、企業にとっては最も大きな費用項目で、従業員の働き方に対するニーズや、希望する給料要求に応えていくうちに、いつの間にか人件費負担が会社の収益を圧迫してしまうことも考えられます。

人件費負担の想定以上の増加を防ぐために重要な役割を果たすのが、給与計算シミュレーションです。給与計算シミュレーションを活用すれば、給与規定の変更やベースアップといった、給与の支給額の変更を伴う人事制度改革を実行に移す前に、給与の支払総額を把握することができます。給与計算のシミュレーション結果によっては、昇進・昇格、ベースアップなどを見直す必要があるかもしれません。会社の収益力に見合った人事制度改革を実行に移すために、給与計算のシミュレーションは重要な役割を果たすのです。

給与計算シミュレーションでは、給与支給総額だけではなく、会社が負担する社会保険料の額も算出できた方が望ましいといえます。給与計算シミュレーションを実施することで、企業にとって最も大きな費用項目である人件費を、正確に把握することにつながるのです。

給与計算のシミュレーションと一口に言っても、昇給や昇進に伴う給与テーブルの変更だけを加味したものではあまり意味がありません。従業員の年齢構成や、今後の採用戦略なども考慮に入れた上で、中長期的な視点で給与計算のシミュレーションを行う必要があります。

給与計算シミュレーションでチェックすべき3つの項目

働き方改革の高まりとともに重要度が増す給与計算シミュレーションですが、具体的にどのような点をチェックする必要があるのでしょうか。

給与計算シミュレーションが会社の業績に与える影響

給与計算シミュレーションを活用することで、会社の業績に影響する重要な内訳項目である人件費の将来的な増加見込みを把握できます。給与計算シミュレーションによって、昇給や昇進を加味した給与の支給総額を確認し、前年と比較することで負担額の推移を確認することができます。しかし、これでは会社の売上や、人件費以外の費用の増減といった数値面を加味することはできません。会社の業績への影響度を図るためには、給与の支給総額を把握するだけでは不十分なのです。

会社の数値上、給与支給総額は、人件費の一部を占めるに過ぎません。給与計算シミュレーションという狭い範囲にとどまらず、売上高営業利益率や売上高対人件費比率といった経営指標をシミュレートするという姿勢が求められます。例えば、売上高営業利益率の数値目標が厳しい場合は、給与の支給総額の伸びをおさえる必要があるかもしれません。

反対に、会社の売上が伸びており成長段階にある企業は、社員に還元することを検討してもよいでしょう。

給与計算シミュレーションで将来の人件費の把握

給与計算のシミュレーションは、短期的な視点で来年度の給与支給総額を把握する目的の場合もありますが、中長期的な視点で行なわれることもあります。短期的な視点の場合は、人事異動による人材配置や昇給・昇進、ベアによる給与テーブルの変更を加味すればよいでしょう。しかし、3年から10年後といった中長期的な視点で給与シミュレーションをする場合、従業員の年齢といった人事情報や採用戦略などの情報が重要になります。将来的な労働環境の変化や、従業員数の増減が与える影響を加味する必要があるからです。

従業員の人事情報や人員構成をも含めた給与計算シミュレーションを実施するためには、給与計算システムの中に、自社の環境と同じような会社を仮想的に設立するという考え方もあります。こうして作成した仮想的な会社を設立できれば、従業員の年齢変化に伴う介護保険料の負担や、今後の採用戦略による従業員の増減といった要素をシミュレーションすることができるようになります。これにより、将来の人件費が把握できるため、会社が中長期的な戦略を立案するために重要な意思決定要因となるのです。

給与計算シミュレーションを活用して最適な人員配置を作成

近年では、従業員の多様性、いわゆるダイバーシティを実現するために、女性や外国人を積極的に採用する例が出てきました。場合によっては、女性の採用に対し、目標値を設けることもあります。従業員の多様化は、勤務形態の多様化につながりやすいのです。

給与計算シミュレーションは、給与計算システムの中に仮想的な会社を構築することで、より自社の実情を反映した人件費の把握を可能とします。このため、様々な勤務形態を考慮に入れた給与計算シミュレーションができるのです。採用枠の目標値を定め、計画に基づいて採用することで、人件費を把握し、会社の業績に与える影響を分析できるでしょう。

大企業になれば、事業部や支店によって異なる人事戦略を採用している場合もあります。給与システムの中に、仮想的な会社を構築しておけば、自社の実情に沿った人事戦略を反映させながら未来の姿をシミュレートすることができます。給与計算のシミュレーションは、将来に渡る最適な人員配置のシミュレートにつなげることができるのです。

次回コラムでは、具体例として「GLOVIA iZ(グロービア アイズ)」での給与計算シミュレーションをご紹介します。

給与計算シミュレーションをGLOVIA iZで実施する方法 >>

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著者プロフィール

株式会社富士通マーケティング
ソリューション事業本部 GLOVIA会計・人事給与事業部 人事給与ビジネス部
プロジェクト課長 武田 幸恵

富士通ERPシステムであるGLOVIA iZシリーズの企画・開発・拡販に従事。
人事総務部門の業務効率化や人材データの効果的な活用法などシステム面から顧客の企業価値を高める活動に注力している。

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