流通業における管理会計のよくある課題とその解決策 その2

2019年09月25日更新

財務会計よりも経営判断に役立つデータを提供してくれる「管理会計」。前回のコラムでは、流通業において管理会計を導入・活用するときの「6つの課題」を説明しましたここでは、それらの課題の「具体的な解決手法」を考えてみます。

管理会計の課題を解決するための具体策

流通業では、管理会計にまつわる様々な課題を乗り越えて、数値面から経営状況を見える化し、品揃え戦略やプロモーション戦略に役立てていく必要があります。経営判断に役立つ管理会計を実現に移すためには、どのような手法をとる必要があるのでしょうか。

経営層が求めるデータは現場にあり! 基幹系システムと会計システムの連携で効率的に集計する

流通業の場合、業種や取扱品目に応じて必要となるデータが異なる上に、商品点数が多くなる傾向にあります。そうした情報のすべてを、管理部門が入力することは困難を極めます。また、管理会計に必要なデータの多くは、日々の事業活動の中に存在しています。例えば、スーパーやコンビニエンスストアなどを展開している場合、経営層が管理会計で求めるデータは、各店舗で日々、どのような商品がどのような客層にどれだけ売れたのかといった、現場でこそ把握できる売上データでしょう。こうしたデータを、現場で手入力していくのでは、とても大きな業務負荷になります。その負荷を極力小さくするように、システム化で自動的に入手できるようにすることが必要です。

自動的にデータを入手するために、流通業において活用したいシステムの一つがPOSです。POSなど販売管理に活用できるシステムと会計システムとを連携させることで、日々のレジ業務の中で自然と、どの商品がどれだけ売れたのかを把握できます。単品管理はPOSレジが得意な領域なので、最大限に活用することを考えてみてください。

また、POSの場合は、少しの工夫で現場の負担を和らげながらデータを取得することもできます。顧客の年齢や性別などをPOSで入力しておけば、顧客特性に応じた売上分析が可能となるため、プロモーション戦略に役立てることができるでしょう。

しかし、実際の現場では、POSなどのシステムを活用しても、手作業で入力しなくてはならないような付随的なデータも存在しています。それらのデータを、その都度、手入力するようにしてしまうと、現場の内部業務負担が発生してしまいます。

例えば、アパレル業界の場合なら、どんな商品がどれだけ売れたかというデータとは別に、商品の展示方法の情報、服のデザイン、色合いなどの情報も、現場で収集して管理会計システムに入力しておくと、経営層が店舗ごとの売上推移や前年同期比での増減などの理由を判断・検討するのに有効に活用できるでしょう。

ただし、それらの情報を現場で手入力してもらうのでは、現場の業務負荷が増大します。それを避けるためには、付随的なデータを付加項目として管理会計システムに取り込めるような設定をカスタマイズで追加したり、マスタを用意しておいて、それと紐づけた項目を自動セットしたりすることが必要です。

それによって現場の負担を減らしながら、経営層が管理会計で「見たいデータ」を集計することができるようになります。

とはいえ流通業の現場では、カスタマイズなどで対応しても、どうしても管理会計システムでは取り込めないデータが存在することも事実です。そうしたデータをどう処理したらよいのでしょうか。

管理会計に必要なデータかどうか判断に迷うこともよくあります。その判断では、まずは管理部門が、経営層は「何のために」「どのようなデータを必要としているのか」を改めて整理すること、そして、そのデータについて、現場の負担をかけてまで入手する価値があるかどうかを見極めるようにします。

その上で、管理会計システムで取り込めないが、管理会計で重要なデータであると判断した場合には、現場に協力を要請して、現場で入力して貰う必要があります。そのデータがなぜ必要なのかを現場の従業員と共有し、納得を得た上で実行に移してください。現場の了解を得ることなく無理やりデータを取得しようとしても長続きしないだけではなく、データの信憑性にも疑問符がつき、正確な経営判断に活用できないことにもなりかねません。

経営目標からブレイクダウンして具体的なKPIを設定する

経営陣には、持続的な成長を実現するために、売上や利益を拡大するという社会的な使命があります。当然、多くの場合は売上や利益を前年比○△%上げる、といった経営目標を掲げます。これを実現するために、流通業では各店舗の売上の目標値や経費の削減目標が課されるかもしれません。

しかし、これでは管理するためのKPIが具体的ではなく、絵に描いた餅になりかねません。売上や経費を削減するために、具体的にどの部門のどの従業員がどのような数値目標で仕事をおこなう必要があるのかを明らかにする必要があるのです。

管理会計システムの中には、設定した経営目標を段階的にブレイクダウンし、具体的なKPIにまで落とし込むことができるものもあります。例えば、ある会社で営業利益を前年比20%増加するのであれば、A店舗の売上は15%増加させる必要があるため、A店舗の従業員は顧客接点活動を20%増加させる必要がある、といった分析が瞬時にできるようになるのです。A店舗の売上目標を10%に設定した場合は、経費の削減率を5%増加させないと目標が達成できない、といったシミュレーションも簡単に行うことができる管理会計システムもあります。

管理会計は今後の経営戦略を導くためのデータを提供してくれるだけではなく、経営目標を達成するための具体的なKPIも導き出してくれます。導入した管理会計システムを最大限に活用して、経営目標を達成するために役立ててください。

意思決定に役立つ情報を提供するための管理会計業務を意識する

管理会計業務は、数値と向き合い見える化を実現することで、そこから意思決定に役立てることができる傾向や情報を与えてくれます。ときには、分かりやすいグラフや表を作成することもできるでしょう。重要なことは、こうしたデータを抽出し、グラフや表を使ったレポートを作成することが、管理会計ではないということです。いくら、見やすいレポートを作成できたとしても、経営判断に役立つデータでなければなんの意味もなしません。

管理会計は、企業の課題解決や今後の戦略を立案する際などに、数値データから判断を後押しするものです。このため、管理会計に答えはなく、業種業態はもちろんのこと、企業が直面する課題やライフステージに応じて必要な管理会計データは異なります。

自社において管理会計が必要な理由は何なのでしょうか。なんとなく管理会計が必要と考えているようであれば、管理会計の仕組みは企業に浸透せず、導入した管理会計システムも無駄になってしまうかもしれません。実用性の高い管理会計を定着させるのであれば、自社の課題や今後の経営目標を明らかにすることから始める必要があるでしょう。

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著者プロフィール

株式会社富士通マーケティング
ソリューション事業本部 GLOVIA会計・人事給与事業部 会計ビジネス部 プロジェクト課長 稲田 智

2000年、富士通株式会社入社。業務パッケージGLOVIAシリーズの設計・開発に従事。
2010年より株式会社富士通マーケティング。経営管理、会計の製品企画や拡販に従事。
現在は次世代ERPであるGLOVIA iZの構想立案・製品企画に取り組む。

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