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第02回 「2018年同時改定、そして2025年へ向けた自院病棟の再編成」
~地域包括ケア病棟がうまくいかない3つの理由~

今を生き抜く病院戦略

株式会社MMオフィス 代表取締役  工藤 高 氏

2017年08月09日更新

7対1は2015年10月から2016年11月で10,154床減少

2018年度は診療報酬と介護報酬の同時改定だけではなく、他にも地域医療構想を含む医療保険計画、第7次医療計画、新専門医制度、新たな介護保険事業計画など様々な制度が開始される「惑星直列」となる。

  • 診療報酬改定の入院関係では7対1入院基本料のさらなる絞り込み
  • 地域包括ケア病棟は入棟経路による段階的な点数の検討
  • 回復期リハビリ病棟ではアウトカム評価の要件強化
  • 療養型では介護療養病床廃止にともなう新類型の介護医療院の創設

などの大変革が予定されている。
病院経営にとっては地域医療構想をはじめとする厚労省行政の方向性との整合性と地域のニーズにあった経営方針、とくにマクロ(外部環境)とミクロ(自院)のデータ分析に基づく病棟運営、再編成が経営安定への最大の途となるのは改めて言うまでもない。

日本アルトマークが調査した7対1入院基本料の届出病床数は図表のように2015年10月と改定後の16年6月を比較すると4,049床減、さらに16年6月と「重症度、医療・看護必要度」の経過措置が切れた同年11月時点を比較すると6,105床減となって減少が加速した。一方、地域包括ケア病棟は16年6月と11月を比較すると1万497床増加しており、計5万5,398床となった。確実に地域包括ケア病棟は届出要件が厳しくなった7対1や10対1等からの転換で増加している。ただし、地域包括ケア病棟を立ち上げたが、稼働率があまり高まらないという病院がある。一方、病床稼働率100%を超えている病院もある。午前中、退院すれば午後に違う患者さんが入院して地域包括ケア病棟ベッドが1日2回転するため、退院患者を含む計算式である病床稼働率は必然的に100%を超える。

7対1の病床数の変化 16年6月→11月で6,105床減少「一般病棟入院基本料の病床数推移 ((株)日本アルトマーク調査)」

地域包括ケア病棟への転換にあたっての課題

地域包括ケア病棟の転換にあたっての課題は大きくわけて3つある。
第一は経営陣および職員の「当院は急性期だ」という急性期至上主義になる。
地域包括ケア病棟への転換は急性期病院からの撤退を意味するという考えだ。なかには「転換したら急性期志向の医師や看護師は辞める」とまで言い切る経営幹部もいる。しかし、そもそも1日平均入院単価、看護必要度がともに低く、厚労省が考えている診療報酬上、地域医療構想上の「急性期」の指標とは乖離があるわけだ。3月15日の中医協総会において7対1届出病院の1日平均入院単価5,215点(n=10,419人)、10対1入院基本料の1日平均入院単価3,748点(n=2,995人)とのデータ公表があった。この平均入院単価を大きく下回る病院は「自称急性期」の可能性が高くなろう。

第二は① 医師、② 看護師、③ 入院患者の問題となる。
まず、地域包括ケア病棟は多くの診療科の患者が入院する混合病棟になり、ポストアキュート(急性期後)機能では転棟患者が多くなる。

① 医師の問題

診療科別病棟編成の病院では医師の回診が大変という問題が発生する。
これはなぜ地域包括ケア病棟が自院に必要なのかをきちんと医師へ説明して、転棟に対する理解を得る必要がある。

② 看護師の問題

看護の専門性と転棟の申し送り等の手間等の問題になる。
これも①と同じ理由で理解を求めないといけない。内科系患者の看護しか行っていない病棟で外科系の患者が入院すると対応できないことへの解消が必要になる。ある急性期トップランナー病院では診療科別の病棟編成は行っているが、救急入院患者は空いているベッドがあるどの病棟でも入院可能になっている。そして、どこの病棟からでも全診療科患者の手術出しが可能なトレーニングを行っている。整形外科病棟は満床で内科病棟は空いているが、大腿骨頸部骨折の救急車搬送患者は入院できないといった事態は発生しない。一方、診療科別患者定数制の病棟編成を行ってテリトリー意識が強い病院では改善が必要になる。

③ 入院患者の問題

患者が転棟を嫌がることは入院時の説明不足に由来することが多い。
急性期症状を脱して症状が落ち着いたら転棟があることを十分にインフォームド・コンセントしておく必要がある。

データ提出加算とリハビリ平均2単位以上が一部の病院ではネック

第三は施設基準の問題になる。
要件の中で「データ提出加算の届出」と「リハビリ提供患者には3ヶ月平均で1日平均2単位以上」は特に難易度が高い。データ提出加算は厚労省が実施する「DPC導入の影響評価に係る調査」に準拠したデータが正確に作成及び継続して提出されることを評価した点数である。同加算が要件なのはDPC対象・準備病院、7対1入院基本料の出来高算定病院、地域包括ケア病棟(病室単位も含む)を届出する病院になる。本年4月からは1年間の経過措置が終わり、許可病床のうち一般病床200床以上の10対1入院基本料を届出する病院も必須になった。おそらく2025年までには全ての病院が必須になると思われる。地域包括ケア病棟を届出しようとする病院は加算を先に届出する必要があるため、診療情報を管理する職員の配置が必要になってくる。

また、リハビリは包括だが、「直近3か月に疾患別リハ等を提供した患者のリハビリ総単位数 / 直近3か月間におけるリハビリ提供患者の当該病棟の入院延日数=2単位以上実施」という下限がある。分母の入院延日数には休日も含むため、土曜、日曜にリハビリを未実施病院では1日1人当たり平均3単位(60分)以上実施しないと平均2単位はいかない。リハビリセラピストの「定数制」があって人数が少ない公立病院などでは、これがネックになっている。他の「13対1看護配置」や「在宅復帰率7割以上」については7対1,10対1等の一般病棟から転換する場合はクリアできる。ただし、看護配置20対1、25対1の療養病棟から転換する場合は上記の他に「正看比率70%以上」も高いハードルになる。いずれにしても地域包括ケア病棟への転換は自院のビジョンを明確にした上で、地域のニーズをふまえて行う必要がある。

サブアキュートは評価されるのか?一方、ポストアキュートはどうなるのか

一部の論調で7対1を持つ病院が地域包括ケア病棟を設置してポストアキュート患者に転棟を行って看護必要度をキープすることがアンフェアという見方もある。しかし、連携先が少なく人口が少ない地方の病院になるほど、「急性期」と「回復期」という自院内での病棟機能分化が必要になってくる。それをマクロの二次医療圏内で策定するのが地域医療構想になっており、ミクロの病院内でも7対1(急性期)と地域包括ケア病棟(回復期)との機能分化は必須だと思われる。

そもそも全国の病床機能報告の結果を見ても「急性期」が多く、大部分の地域包括ケア病棟が該当する「回復期」が足りないわけだ。サブアキュート(亜急性期)として肺炎等の入院患者を在宅等から直接受け入れる地域包括ケア病棟や他の急性期病院からの転院のポストアキュートは評価して、一方、院内転棟のポストアキュートは評価を下げたらどうかという一部の論調もあるようだ。やがては医療資源投入量に応じた段階的な点数評価は必要であろう。ただし、国としてはまだまだ7対1を減らしたいのだから、その受け皿となるポストアキュート機能の院内転棟の地域包括ケア病棟へ逆風を吹かすのは時期尚早ではないだろうか。

著者プロフィール

工藤氏

株式会社MMオフィス
代表取締役  工藤 高 氏

1982年、日本大学経済学部卒業後、都内の(社医)河北総合病院に入職。
その後、複数の病院を経て1999年に現在のMMオフィス設立。
診療報酬制度の分析に基づく病院経営戦略コンサルティングを得意としている。
日経ヘルスケア巻頭コラム「病院経営最前線」を連載しており、関東学院大学大学院で医療経済学の講義も担当している。

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