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Japan

「戦略人事サミット -イノベーション創出に向けた人事の取り組み-」開催レポート(2/7)
第1部 特別講演レポート 2

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日本人は長時間労働をしているのか?

勤勉なイメージで語られることの多い日本人ですが、そもそも「日本人はそんなに長時間労働をしているのか?」ということが気になり、調べてみました。その結果によって、「どの程度投入量を削減する必要があるのか?」が分かるし、削減する程度によって「やるべきことの内容」も当然変わってきます。
2016年のOECD(経済協力開発機構)のデータによると、就業者1人あたりの年間労働時間でトップは何とメキシコ。日本は、あのイタリアよりも労働時間は短く、第22位です。(図1参照)

図1:OECD加盟国の労働時間

図1:OECD加盟国の労働時間


1990年の同データと比較してみると、アメリカが28年前の労働時間1800時間からほぼ変化がないのに対し、日本は2100時間から1713時間へとかなり減少しています。この日本人の労働時間はそんなに長くないという数字を見ると、実際の感覚からはしっくりこないのではないかと思います。

実は、OECDの出している数字には「男女を区別しない」というからくりがあって、総務省統計局「労働力調査」からの推計で、男性と女性を分けると「男性2,340時間、女性1,768時間」(※正規・非正規を分けていない時間)です。日本人男性だけの労働時間を先ほどのOECDのデータにあてはめてみると、メキシコを抜いてトップに躍り出ることになります。しかも、この調査は正規社員と非正規社員を分けておらず、正規社員のみで言えば、おそらく2700時間程度働いていると推測されます。男性の正規社員の労働時間は、週50~52時間で過去20年以上変化なく、欧米諸国と比較すると年間500時間くらい長く、やはり、日本人の男性は長時間労働をしているというのが実態だと言えます。

ではなぜ、男性社員の労働時間が長いままなのか。その答えは、非正規社員の割合が増えているからです。ここ10年ほどで、非正規社員の割合は25%から40%へ増加しています。バブル景気崩壊後、人件費を最大のコストと見なし削減を目指したことが、非正規社員が急速に増えた最大の要因ですが、さらに言うと、削減した人件費を再出量の増大に投資すれば良かったものを、値下げに回してしまった企業が多かったために労働生産性の向上が相殺されて、経済の停滞が長引くという結果を生んでしまいました。

講演風景 過去20年もの間、変化なく続いている男性正規社員の長時間労働を、働き方改革の名のもとに、効率化だけで是正しようとしてもかなり無理があるのです。間違いなくIT技術は発達し男性正規社員の業務効率性は高まっているはず。それにも関わらず、非正規社員が増えたために抱えている仕事が増え、せっかく効率化されたものが相殺されていると考えられます。男性正規社員の長時間労働是正については、やはり思い切った業務の廃止や統一化が打開策になるでしょう。一方、非正規社員については、正規社員と全く同じ仕事をしているのに賃金が低いという方が少なくなく、それが労働生産性を低下させている原因となっていると考えられます。仕事内容とそれに応じた賃金の見直しが、優先度の高い課題です。

優秀な労働者を活かし切れていない日本企業の経営

“日本の男性正規社員の労働時間が長い“と聞くと「だらだら仕事をしているだけで、能力は低いんじゃないか」と評する人も少なくありません。しかし、「日本人の労働者は世界一優秀」で、それを示す調査データもあります。OECDが2013年に実施した「国際成人力調査」(読解力、数的思考力、ITの活用による問題解決能力、背景調査の4項目で調査)によると、日本人労働者は「読解力」と「数的思考力」でトップの成績で、全体でも参加24ヶ国の中で最上位です。

一方で、日本の労働生産性は、世界一優秀な労働者が存在しているのにもかかわらず、かなり低いというデータがあります。公益財団法人日本生産性本部が2017年12月に発表した「日米産業別労働生産性水準比較」によると、
日本の労働生産性はOECD加盟35ヶ国の中で第21位 (米国は3位)、先進国と言われる加盟国の中では最下位です。製造業でアメリカの約7割、サービス業でアメリカの約5割の労働生産性で、卸売・小売業にいたってはアメリカの約4割の労働生産性です。しかも製造業においては、1995年、2000年の1位から14位へ大きく後退しており、実質労働生産性上昇率のランキングでも日本は28位とかなり下位です。

この2つの、ある意味、矛盾する調査結果からは、優秀な労働者を活かし切れていないという日本企業の残念な現状が導き出されていると思います。厳しい言い方をすれば、世界一優秀な労働者から先進国最低の労働生産性しか実現できていない日本的経営はもう破綻しています。仕事の要求より学歴の高さを優先した採用を続けているために、「学歴の高すぎるミスマッチ率」が31%に達しており、また、製造業では、スキルの高い中間層が日本のものづくりの原動力と言いながら、生産拠点はどんどん国外へ移転しています。

「働き方改革」は現場の問題ではなく、経営の重要な戦略的課題になっていることに、経営者は一刻も早く気づき、手を打つべきなのです。

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