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Japan

「戦略人事サミット -イノベーション創出に向けた人事の取り組み-」開催レポート(1/7)
第1部 特別講演レポート 1

2018年2月14日に開催された富士通マーケティング主催の「戦略人事サミット」には、人事部門を中心に約80名の方々にご参加いただきました。当日は、特別講演とパネルディスカッションの2部構成にて、これから人事部門がいかに働き方改革に取り組んでいくのか、戦略人事であるにはどう対応するべきか、人事部門のあるべき姿や担うべき役割について、活発な議論が繰り広げられました。

第一部 特別講演レポート

第二部 パネルディスカッションレポート

戦略人事サミット 詳細はこちら

第1部 特別講演 「経営者が持つべき『働き方改革』の視点」

  講師  

清水 泰志 氏 清水 泰志 氏

株式会社ワイズエッジ 代表取締役/経営コンサルタント

1986年アーサーアンダーセン&Co.(現アクセンチュア)入所。コンサルタントとして製造業、金融業、放送業、国・地方公共団体等をクライアントとするコンサルティング業務に従事する。
1992年後継者として同族経営の建築資材商社に入社。新規事業起ち上げを担当し、2003年代表取締役就任。(2008年に同社は法的整理)
2009年企業再生コンサルティングを目的とする株式会社アスピレスを設立し代表取締役就任。2010年戦略コンサルティングを目的とする株式会社ワイズエッジを設立し代表取締役就任、現在に至る。

働き方改革に混在する4つの視点

講演風景 現政府が積極的に推進する「働き方改革」。長時間労働の是正など、どこをどうやって改革すべきなのかといった各論の議論は今や日本企業で盛んに行われていますが、反面、きちんと全体像を捉えた議論は少ないように感じています。そこで今回は、大局的に経営者の目線で「働き方改革」をどう捉えていくべきなのかを考えていきたいと思います。

この場に「働き方改革」という言葉をご存じない方はいらっしゃらないとは思いますが、「働き方改革とは、何なのか?」という問いに対して、簡潔かつ明瞭に答えられる方は案外少ないのではないでしょうか。無理もありません。世の中に「働き方改革」という言葉が登場して以来、実に様々な意味を込めて語られる場面が多くあり、「これが、働き方改革」という概念が確立していないのが現状だからです。

なかでも代表的な視点に
1.一億総活躍プラン
2.過労自殺
3.人手不足
4.労働生産性
の4つが挙げられます。

1.一億総活躍プラン

「働き方改革」が世の中に登場する発端となったのは、2016年に首相が私的諮問機関として設置した「働き方改革実現会議」です。その中では、一億総活躍社会を実現することが重要なテーマに掲げられています。策定された「一億総活躍プラン」を実行していくことが働き方改革なのだ、という視点が1つあると思います。

2.過労自殺

政府が働き方改革を提唱し始めた2016年に、大手広告代理店の新入社員の方が自殺。原因は過労によるものだと労災認定されました。精神的に追い込むような過重労働は止めるべきだと働き方改革の重要性が強く叫ばれるようになりました。

3.人手不足

昨今、介護福祉業や運送業、飲食業などで、人手不足が原因で業績不振、あるいは倒産に追い込まれてしまうケースが増えています。いわゆるブラックな職場環境が人手不足の原因となっており、魅力ある職場に変えて人材を確保する、少ない人数でも仕事が回るように仕組みや進め方を変えるなどの視点から働き方改革が語られています。

4.労働生産性

日本のGDPは今、世界で第3位ですが、労働生産性は20位あたりに沈んでいます。日本経済の再生には労働生産性の改善が必要不可欠であるという意味で、働き方改革がどの企業でも重要なテーマになっています。

余談になりますが、政府が始めた「プレミアムフライデー」という施策、この2月でちょうど1年になりますが、当初の目的は個人消費の拡大でした。それが途中から、どういうわけか「働き方改革」というキーワードが紛れ込んできたがために、目的があいまいになってしまい、「プレミアムフライデー」はうまく浸透していないと思います。目的があいまいだと、期待したほどの効果が得られない一例でしょう。

「長時間労働の是正」をどう捉えるか

このように様々な視点から語られる働き方改革ですが、目的を達成するための“手段”の話になると、ある1つの共通したキーワードが浮かび上がってきます。それは、「長時間労働の是正」です。というと、「働き方改革とは何ですか?」という質問に対して、「働き方改革とは長時間労働を是正することです」と答える人が現れてくるのですが、ここでいう「長時間」は、先ほど挙げた4つの視点によって異なってくることに気づかなければいけません。例えば「一億総活躍プラン」では「子育てをしながら働ける労働環境を整えることで女性が活躍しやすい社会を実現する」ことに大きなウエイトがかけられています。一方、「過労自殺」を防止するという視点では、「労働者の健康的な生活を守るための最低限の基準を定めることが必要」と言われています。つまり、女性の活躍など社会の活力を維持するためにあえて労働時間を抑制することと、労働者の健康的な生活を守るための労働時間抑制は全く次元の違う話なので、「長時間」の捉え方が異なるのは、当然のことなのです。

働き方改革が「働かない改革」になっていないか

働き方改革を進める上で、重要なのは「自分の会社に必要な働き方改革は何か」をきちんと考えることです。働き方改革において、全ての会社に共通する正解はありません。自社の現状を把握した上で、必要な働き方改革を定義することが経営者の重要な仕事になります。この仕事を経営者がさぼると、どうしても長時間労働の是正という手段が前面に出てきてしまい、残業削減、時短などを実現することが目的化してしまうことになります。

長時間労働の是正では様々な施策が実行されつつあり、最近ではドローンを飛ばして残業していないか監視するといった話もありました。20:00になると従業員をオフィスから追い出す、あるいは自動的にパソコンをシャットダウンする企業もあると聞きます。ただし、自分の会社に必要な働き方改革を定義せずに、長時間労働の是正だけが目的となってしまうと、それは働き方改革ではなく、単なる「働かない改革」なのです。

働き方改革に最も重要な視点は「労働生産性の向上」

経営者の方々と話をしていても、残業時間の削減を現場に丸投げし、働き方改革が「働かない改革」になってしまっている企業は、少なくありません。働き方改革を進めたい企業にとって、最も重要な視点は、「労働生産性の向上」です。

労働生産性とは、産出量(アウトプット)を、労働時間や人数などの投入量(インプット)で割った数値で、1時間あたり、1人あたりの産出量が多ければ多いほど生産性は高いということになります。

労働生産性  =   産出量(アウトプット) 
 投入量(インプット) 

この数式から単純に考えて、生産性を高めるための方法は3つあります。
①産出量を維持したまま、投入量を減らす
②投入量はそのままで、産出量を増やす
③投入量を増やし、なおかつ産出量をさらに増やす

長時間労働の是正は、投入量を削減して労働生産性を高めようとするもの。労働生産性の向上に取り組む場合、投入量の削減は避けて通れない施策ですが、問題は「どういう方法で投入量を削減するか」ということです。これまでの業務を効率的にこなすことで、もっと短時間でできるようになり、結果、投入量は削減されていくという方法をとるべきで、むやみに時短に走らないことが大切です。しかし、もっとまじめに働けば時間が短縮できるし、もっと優秀な人が業務を担当すれば早く仕事が終わるという労働者個人に頼った方法では、働き方改革はやる気と能力次第ということになりかねません。一時的な効果はあっても、抜本的な効果は得られないということは、これまでの多くの実践例が物語っています。

投入量を削減して労働生産性を高めるには

では、どうやって投入量の削減を図るのか。それは、業務のプロセスや仕事の進め方を見直すことです。例えば、営業部門であれば、成約までの商談回数を減らすことで時間は短縮できます。それまで5回だった商談回数を4回にすれば、生産性は20%アップすることになります。また、同行営業をやめることによって業務を担当する人数が減り、生産性は高められます。人事部門の場合は、4月の一括採用をやめて通年採用にして業務の平準化を図る、求める人物像を明確に発信することで書類選考の手間を省くなどの効率化が考えられるでしょう。

このように、業務の標準化や効率化を図ることが、投入量の削減では近道です。具体的には、
・必要な業務以外の廃止、重複している業務の集約化
・バラバラに行われている業務や作業の統一化
・仕事量の季節変動や月内業務の平準化
・コア業務以外の外部化
などが挙げられます。
さらに、このように整備された業務を将来的にはRPA(Robotic Process Automation)やAIやコグニティブ・コンピューティングなどのITシステムに置き換えることが、投入量の削減の必要要件になってきます。

しかし、このように投入量の削減がなされるというのはとても良いことである反面、時間が余る、人が余るという状況を生み出し、企業側が利益に結び付けようした場合には、残業代を減らす、人を減らすといった方法しかなくなってしまうものです。生産性の向上による働き方改革のゴールが、それなのかと言えば私は違うと思います。真の労働生産性の向上とは、投入量の削減よりも、どう産出量を増大させていくかということです。投入量の削減というのは、産出量を拡大するためのいわば準備段階に過ぎず、事業戦略を変えたり、ビジネスモデルを再構築したりすることで、産出量の増大を図ることこそが、労働生産性の向上に直結すると私は考えています。

では、投入量削減の目標をどこに置いたらよいかというと、社員全員が定時退社出来るようになるとか、有休消化率が100%になるということで留まっていては、産出量増大につながる仕事の内容の変化を起こすことが出来ません。例えばグーグルでは、業務時間の20%は現在の仕事とは違う業務に取り組むことを1つの目標として、全従業員が投入量の20%を産出量の増大に向け、新しいビジネスの創出に取り組んでいる状態が非常に望ましいと言えます。

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