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Japan

「戦略経理サミット -番頭から参謀への変革!次世代経理幹部の未来を読む-」開催レポート(4/6)
第二部 パネルディスカッション2

戦略経理サミット第二部のパネルディスカッションでは、富士通マーケティングのCFOならびに経理部長と、特別講演講師の石田氏、日本CFO協会専務理事の谷口氏を交え、富士通マーケティングの決算早期化の取り組み事例をご紹介しながら、戦略部門として経理部門が目指すべき取り組みについて議論を展開しました。熱のこもった発言が交わされた当日の模様を4部構成にてご紹介します。

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第二部 パネルディスカッション
決算早期化実現のための「業務改善」の勘所-「戦略経理」となるために-
レポート

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第2章 決算早期化の取り組み ~経理の守りを固めるには?~

村上 秀次 氏
村上氏

第2章では、まずは富士通マーケティングが2011年から取り組んだ「決算早期化プロジェクト」の詳細を、上村部長にご説明いただきます。


 

富士通マーケティングの決算早期化プロジェクトの概要

富士通マーケティング 上村
上村

富士通マーケティングの決算早期化の取り組みは3期にわたります。(図5参照)最初から計画立てて進めたわけではなく、取り組んだ結果、3期に分けられたかたちです。
まず、会計システムのリプレース時期を迎え、財務管理一致のシステムへの変換を図りました。第1期は、とにかく以前と同じことができるようにすることで精一杯。あいかわらず作業中心の業務で、新しいシステムをどのように事業に役立てていくかまでは、考えが及びませんでした。このままではいけないということで、「経営に貢献する経理になろう」と決め、そのために決算日程の短縮に取り組んだのが第2期です。

決算日程の早期化には2つの大きな効果があります。1つは、経営者や現場にいち早く情報を提供できること、もう1つは経理部自身が新たなプロジェクトに取り組む時間が確保できることです。当時、親会社の決算日程4営業日に対し、弊社は6歴日かかっていました。まずは5営業日にすることを目標に、経理部門内を中心に業務改善を図りました。第3期は、5営業日を4営業日へと短縮すべく、関連する複数の部門を巻き込みながら業務改善を行いました。最近では、決算が確定した5営業日の朝には、各現場が財務情報を確認できるようになっています。


図5:富士通マーケティングの決算早期化プロジェクトの概要

図5:富士通マーケティングの決算早期化プロジェクトの概要

求められた「実行管理力」と「他部門との調整力」

富士通マーケティング 上村
上村

このプロジェクトが順風満帆だったわけではありません。経理部門は、前例主義的志向が強い人材が集まっています。特に年齢が高くなると、より一層この傾向が強くなります。プロジェクトリーダーに若手を据えたり、社内コンサルの力を借りたりしながら、紆余曲折ありつつここまで来たというのが現状です。

最初は、財管一元管理システムを導入したものの、それで何をしたいのかという本質的な目標がありませんでした。そこで「作業から分析へ」という目標を立てましたが、プロジェクト業務に慣れていないこともあり、目標を日々の行動に落とし込んでいく「実行管理力」や、「他部門との調整力」に乏しいという現実に直面しました。特に第3期の関連部門との業務改善は、13部門59名が参加する大がかりなプロジェクトとなり、調整に手間取りました。経理部にとって、決算の早期化は経営上大きなメリットとなることがわかって取り組む目標です。しかし、関連部門にそのための業務改善を促すことは、一筋縄ではいきませんでした。話が合わない、理解してもらえないのです。業務改善が相手の部門にとってもメリットがあることを、時には相手の業務領域まで踏み込んで、根気よく伝えていく要がありました。全社的な大きなメリットになるという、価値の共有ができるところまで粘りました。


 

参考:社内実践事例

 

3つの「業務改善」の勘所

富士通マーケティング 上村
上村

この活動を通じて肌で感じた、「業務改善」の勘所について、図6にまとめています。


図6:「業務改善」の勘所

図6:「業務改善」の勘所

富士通マーケティング 上村
上村

ポイントは3つあります。

  1. 目標を明確にする
    今考えると、「作業から分析へ」という目標は抽象的だったと思いますが、「作業に時間を費やすのはNG、効率化して分析業務の比率を高めよう」という、経理部の価値判断基準には合っていました。
  2. 価値基準を高める
    その価値判断の基準を、経理のみならず「全社最適」に高めていくことも重要です。同じ価値基準を共有できないことには関連部門を巻きこめないことを、この取り組みの中で学びました。
  3. 目標と行動をつなぐ
    大きな目標からチームの目標、個人の目標へと具体的なところに落としていくこと、またそれを繰り返すことにより、実行可能性や自主性が高まりました。

これら3つのポイントは、仕事の基本です。ところが、作業に追われていた時には、こんな基本も気づきませんでした。会社の大きな価値判断基準に向けて、経理が現場を引っ張っていく活動を通じて学べたのです。


 

「経理のためにやる」から「会社のためにやる」へ

村上 秀次 氏
村上氏

実際のプロジェクトの苦悩は臨場感がありますね。経理業務の改革をやろうとした場合、まず経理部自身がやることは具体的にどんなことか、そして、前例主義の志向が強い中、正反対の性質のプロジェクトマネジメントを進めるために意識をどう変えていくか、このポイントを踏まえて議論していきましょう。まず、プロジェクトを見てきた立場として、渡邊常務からお願いします。


渡邊 基
渡邊

着任当時に感じた経理部門の課題は、経理だけの問題ではなく、もっと大きなくくりで見る必要があると思いました。そこで、上を巻きこもうと考えたんです。社長から「決算早期化プロジェクトは全社プロジェクト」というお墨付きをもらいました。大義名分ができると、「経理のためにやる」ではなく「会社のためにやる」と、関連部門の意識が変わります。そうすると経理は動きやすくなると思います。


村上 秀次 氏
村上氏

現場や関連部署を巻き込んでプロジェクトを進めるには、責任のある人からのコミットは重要ですね。上村さんは、経理部自身でやれることから実際に取り組まれたわけですが、具体的にはどのように進められたのでしょうか?


富士通マーケティング 上村
上村

最初の2年間は、経理部だけで業務改善に取り組みました。これは社内コンサルタントと業務の洗い出しをした時のエピソードです。ある経理担当者が、原価計算の業務に8時間かかっていたのですが、社内コンサルタントがその人の後ろで1日仕事を観察することにしました。すると、社内コンサルタントは後ろに立っていただけなのですが、それだけで8時間かかっていた原価計算が3時間で終わってしまいました(笑)。その経理担当者がそれまでさぼっていたわけではありません。決算作業が最優先だという期間にも、ファイリングをしたり、横やりが入ったりと雑務が生じて、結果的に8時間かかっていたことが判明したんです。そこで、決算を締めた後でもできる仕事は後でやろうと、雑務を切り分けました。これだけで5時間が生まれたわけです。人に仕事を見られるのは嫌なものですが、業務改善や効率化は図れると思います。


石田 正 氏
石田氏

全社を巻き込んだことが大きなポイントですね。結果として経理部のスタッフの意識改革にもつながった。次のステップとして私が望むのは、積極的に前に進めばもっとおもしろい仕事があることを、経理部員たちに見せてあげてほしい。たとえば、M&A作業にプロジェクトマネージャーとして経理部門が関与すれば、従来の過去の数字を扱う業務から生きた数字を扱う業務に変わっていきます。ファイナンスの分野に関われば、もっとおもしろい仕事や世界があることを、特に若い人たちに教えてあげたらよいと思いますね。そうした学びや経験は、結果として会社の資産にもなります。


渡邊 基
渡邊

事業提携、アライアンスを組む、新たな投資をする、そういう局面にも経理は参加するべきでしょう。決算、決算と忙しくしている経理には、経営側も声をかけづらいですから、余裕を持つように変えていかないといけません。決算業務で一番時間がかかるのは、エラーによる手戻り、修正作業です。現場からできるだけ正確でクリーンなデータを得て手戻りをなくすことを経理が心がけるだけで、お互いの業務効率が上がります。


 

活動の見える化が意識を変える

村上 秀次 氏
村上氏

「攻めの経理」の話にもなってきましたが、それは次章で議論するとして、経理部員の意識を変えるという点について、もう少しお話を伺います。「前例主義」という言葉も出てきましたが、上村さんはこうした意識改革の面で具体的にどのようなことをされたのでしょうか?


富士通マーケティング 上村
上村

雰囲気を変えようと考えました。年配の管理者に前例主義志向が強いのに対し、若い人たちは比較的柔軟な考え方を持っています。このプロジェクトでは、若手で意識の高い人をリーダーにしました。すると、「一番若いやつが頑張っているんだから」と周りが変わっていくんですね。また、改革のやる気をどうしたら持てるかということについては、のろしだけ上げていても動きません。具体的な各自の行動にまで落としこんで管理していくことが大切でした。これは管理職にとっては非常に大変で、音を上げた者もいたほどです。それでも若手のリーダーが頑張っていましたので、部内の雰囲気が変わり、次第に行動管理ができていきました。


 
村上 秀次 氏
村上氏

自分が何をやればいいのか、というイメージがきちんとつかめるようにすること、KGI・KPI設定による活動の見える化を丁寧にやることが重要ですね。


渡邊 基
渡邊

月並みな話ですが、飲み会、懇親会などで労をねぎらうことも必要かと思います。このプロジェクトでも、キックオフ・中間報告・完了時に、関連部門全員を呼んで懇親会を行いました。それからもう一つ、全社プロジェクトでしたので、道筋が見えた時から「社長賞を狙おう」とメンバーに働きかけました。弊社では年に一度、大きなプロジェクトの達成を表彰する「社長賞」制度があり、それを狙ったのです。結果、見事に受賞し、喜びを分かち合いました。


石田 正 氏
石田氏

先程エラー、手戻りの話がありましたが、社内で定型業務の標準化がはかられていないことが原因である場合が多いものです。
私の個人的経験になりますが、カルビーに入ってしばらくして、全国の地域事業本部や工場に出向いて事業現場のスタッフを対象に「「簿記はやさしい」と題した勉強会を行いました。個々人にとっては簿記の検定試験につながる勉強になり、大変好評でした。会社にとっては定型業務の標準化につながり、手戻りを少なくして時短につながったという実例があります。


村上 秀次 氏
村上氏

経理部門の意識改革の実践は難しさがあるだけに、テーマも広がりました。この辺で、次のセッションへと移りたいと思います。


 

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登壇者プロフィール

渡邊 基
株式会社富士通マーケティング
取締役兼執行役員常務・CFO・コーポレートグループ長

渡邊 基

1983年富士通株式会社入社。本社経理部配属。経理をコアに海外駐在を含め、財務会計、管理会計、監査の領域を経験する。2010年富士通株式会社経営監査本部長、2012年株式会社富士通システムズ・イースト取締役・CFO、2014年6月より株式会社富士通マーケティング取締役兼執行役員常務・CFOに就任、現在に至る。


上村 勉
株式会社富士通マーケティング
財務経理本部経理部 部長

上村 勉

1997年株式会社富士通ビジネスシステム(現株式会社富士通マーケティング)入社。経理部配属。一部上場プロジェクトを経て、経理制度改革や各経理システム導入等を担当。2007年経理部担当部長、2013経理部長、現在に至る。GLOVIA SUMMIT導入、決算日程早期化等に携わり、現在は経理部2020VISIONに取り組む。


石田 正 氏
カルビー株式会社 常勤監査役
一般社団法人日本CFO協会 主任研究委員
公認会計士

石田 正 氏

1972年から25年間、アーサーヤング東京事務所(現アーンストアンドヤング)及び朝日監査法人(現あずさ監査法人)にて日本及び米国基準の会計監査、財務アドバイザリー業務に従事、代表社員。監査法人在籍中に通算10年間、アーンストヤング、シンガポール及びロンドン事務所に駐在。1996年にロンドン駐在から帰任後、日本マクドナルド株式会社代表取締役副社長(CFO)、セガサミーホールディングス株式会社専務取締役(CFO)を歴任。2010年より日本CFO協会、主任研究委員。2011年2月、カルビー株式会社 常勤監査役に就任、現在に至る。
著書に『包括利益経営』共著(日経BP社)、『CEO/CFOのためのIFRS財務諸表の読み方』共著(中央経済社)、『「経理・財務」実務マニュアル』編著(税務経理協会)がある。 「国際会計基準IFRS完全ガイド」(日経BP社)への寄稿、「日経BP際会計基準フォーラム」講師など、セミナー講演多数。


谷口 宏 氏
一般社団法人日本CFO協会 専務理事 事務局長
株式会社CFO本部 代表取締役社長
元IAFEI会長(2011年~2012年)

谷口 宏 氏

1989年東京大学経済学部卒業、住友銀行(現・三井住友銀行)入行。
同行にて事業調査、人事、企業金融を経験した後、2000年に株式会社CFO本部、日本CFO協会を設立。CFO、経営財務部門のネットワーク構築や各種セミナーや研修の開催、資格・検定試験の実施など、企業財務のプロを育成する教育事業を展開する。世界のCFO協会の国際組織・国際財務幹部協会連盟(IAFEI)のアジア代表及び会長を歴任後、現在は諮問委員を務める。


村上 秀次 氏
エーキューブ総合会計事務所
公認会計士・税理士

エーキューブ総合会計事務所 村上氏

2005年、監査法人トーマツにて、中堅企業を対象とした法定監査、IPO業務に従事。その後、システム監査、JSOX導入支援、連結決算支援、IFRS導入プロジェク卜など、コンサルティング業務にて多数の企業を支援。2011年、エーキューブ総合会計事務所の代表に就任。会計、税務の専門家として、ベンチャー企業から上場企業まで幅広く支援をするほか、コンサルティング業務として、マーケティング支援、業務改善支援、情報システム構築など多くのプロジェクトにも関与する。

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