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「戦略経理サミット -番頭から参謀への変革!次世代経理幹部の未来を読む-」開催レポート(2/6)
第一部 特別講演 後編

第一部 特別講演
「次世代を見据えた経理部門に求められる変革」レポート(後編)

イメージ 後編は、前編でご紹介した「CFOを支援する経理部門がなすべきこと」の詳細をご紹介します。

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コーポレートガバナンスと経理部門

連結決算を内部統制に活かす

コーポレートガバナンスや経営判断に直結する予算管理のあり方についても、経理部門は大きく関与すべきです。コーポレートガバナンスは、企業がきちんと経営(業務執行)されているかどうかを監視するシステムのことです。日本企業は、日本人の性格や企業に対するロイヤルティーの高さなどから、比較的ガバナンス体制はしっかりしていますが、それでも不祥事は起きてしまいます。

コーポレートガバナンスのポイントは、

  • 組織内に自浄能力が存在するか
  • 組織運営の透明性が確保できているか
  • 組織の中に偏りを正す制度が組み込まれ、機能しているか

企業内にこれらの復元力が組み込まれてないと、問題が生じても歯止めが効かず後戻りができなくなり、会社は倒産の危機に直面する可能性が高まります。特に、海外に子会社や関連会社を持つグループ企業は、経理部門が核となってガバナンスを機能させる役割を担う必要があります。つまり、海外子会社を定量的にモニタリングする役割、具体的には、連結決算を内部統制に役立てる仕組みを作ることです。

それでも、不祥事が起きる時は起きてしまう。行きつくところは企業文化によるのではないかと私は考えています。そのためには、企業理念やビジョンを末端までいきわたらせること、規律を求める継続的な教育も必要でしょう。そして事件が起きてしまった時に、組織的な復元力が発揮できるかが重要です。企業が意識すべきは、事件が起こってから対応に動くのではなく、事件が起きる前にコントロールすることです。その役割の一部を経理部門が担うことで、企業経営を支えるのです。

戦略的な予算管理

誰が生きた財務情報を欲しているか?

今日の本題ともいえる予算管理の話に入ります。従来の伝統的な経理業務は、決算書や税務申告書など、過去の財務情報の取り扱いでした。しかし、これからの経理部門に求められるのはCFOをサポートする情報、すなわち現在から将来に向かう財務情報の取り扱いです。

従来、予算と実績は分離して管理されていました。しかし、急速に変化するマーケットに対応するには、事業計画に基づく検証と、見通しや予実の分析をタイムリーに行い、実行計画に反映していくスピード感が必要です。そのためには、経理部門と事業計画を策定する企画部門が連携し、一体となってPDCAサイクルを回していくことが必要になります。

図3:管理会計と財務会計の一体的運営

図3:管理会計と財務会計の一体的運営

特に大切なのが、月次の財務報告に伴って行われるべき「見通し分析」や「予実分析」です。これは、現場から生の数字が情報として上がってこなければできません。着地見込みの予測は、経理部門に最新の数字が集まるしくみ作りが必須です。

ある会社の中期事業計画と月次財務報告を例にとってご紹介しましょう。
C社では、2013年度の実績をもとに、3年後(2016年度)の中期事業目標を策定しました。その際、勘定科目としては「売上高(Top Line)」、「売上原価」「売上総利益」「販管費」「営業利益(Bottom Line)」の5項目に対し、各年度での金額、伸びしろ、構成比を、具体的な数字で提示しました。

策定にあたってのポイントは以下の3点です。

  1. 中期事業計画は策定するがあくまでも期待値。重要なのは次年度の計画達成への活動である
  2. 事業現場への目標設定は売上から営業利益までであり、営業外損益から純利益までは責任を持たせない(これらはCFOと経理部の責任)
  3. 3年後の目標は金額よりも構成比が重要(100:50:30=20)。特に営業利益率を2013年度の9.9%から20%に引き上げること

目標に対して、評価体系を明確にしました。結果責任、責任の権限移譲は可能な限り定量化し、結果は賞与に反映する、つまり、結果がすべてであることを明確にし、予算管理のプラットフォームとしたのです。全社的に数字への意識が変わり、経理部門が提出する月次財務報告を元に、翌期以降の着地見込みを立てる重要性を認識することにつながっていきます。また、数値はできるだけ簡略化してビジュアルで見せる工夫も必要です。経営企画部門や営業部門が知りたいのは、「今現在どのような状況で、今後どのような展開が見込まれるか」です。データが経理の自己満足とならないよう、必要な人に生きた情報として受け取ってもらう工夫も必要です。

常に業績の将来予測を通して経営トップの経営判断が為されています。この経営判断を支えているのが、経理部門による予算管理です。

Book Keeperからの脱却を目指して

経理にかかわる皆様には、Book Keeperの役割で終わるのではなく、ぜひ経営の意思決定や企業の業績を加速させる支援につながる役割を意識していただきたいと願っています。その役割こそ、このあとのパネルディスカッションのメインテーマでもある、戦略経理のあるべき姿であろうと思います。最後に、ダーウィンの有名な言葉を引いて、まとめとします。

最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びるわけでもない。

唯一生き残るのは、変化ができる者である。

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プロフィール

カルビー 石田氏

石田 正 氏

カルビー株式会社 常勤監査役
一般社団法人日本CFO協会 主任研究委員
公認会計士

1972年から25年間、アーサーヤング東京事務所(現アーンストアンドヤング)及び朝日監査法人(現あずさ監査法人)にて日本及び米国基準の会計監査、財務アドバイザリー業務に従事、代表社員。監査法人在籍中に通算10年間、アーンストヤング、シンガポール及びロンドン事務所に駐在。1996年にロンドン駐在から帰任後、日本マクドナルド株式会社代表取締役副社長(CFO)、セガサミーホールディングス株式会社専務取締役(CFO)を歴任。2010年より日本CFO協会、主任研究委員。2011年2月、カルビー株式会社 常勤監査役に就任、現在に至る。
著書に『包括利益経営』共著(日経BP社)、『CEO/CFOのためのIFRS財務諸表の読み方』共著(中央経済社)、『「経理・財務」実務マニュアル』編著(税務経理協会)がある。 「国際会計基準IFRS完全ガイド」(日経BP社)への寄稿、「日経BP際会計基準フォーラム」講師など、セミナー講演多数。

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