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Japan

富士通マーケティングの働き方改革:
富士通マーケティングがRPAの全社導入に乗り出した理由 後編

RPA導入・運用に欠かせない「内部統制」の観点

もう1つ、同社のRPA導入・運用を進める上で重要な役割を果たしているのが、社内の内部統制を統括する「内部統制室」だ。同社 CIT推進本部 プロジェクトエキスパートの河崎恭一郎氏は、RPA導入・運用における内部統制の重要性について次のように述べる。

「財務処理やJ-SOX法などと関係がある業務にRPAを適用する場合には、業務プロセスの変更がそのまま内部統制リスクに直結する恐れがあります。そのため、そうした業務にRPAを適用する際は事前に必ず内部統制室に相談するようルールを定めました。また、RPAは人間に代わって業務システムにログインすることも考えられますから、ID管理の観点からも内部統制のルールに従った運用が求められます」

加えて、RPAを導入したPCを適切に管理する安全管理措置を講じる上でも、内部統制の観点が欠かせない。こうした課題点をあらかじめ内部統制室に相談し、すべてクリアした上で導入を進めるよう、社内でルールを定めているという。

こうして、RPAを自部門に導入する業務部門、技術面をサポートするシステム本部、内部統制の観点からアドバイスを行う内部統制室、そして事務局として全社横断でRPA導入・運用の取りまとめを行うCIT推進室の各部門が適宜連携しながら、現場の自由度を損なわず、かつ全社的なガバナンスも適切に維持したRPA導入・運用のための体制やルール作りを、現在急ピッチで行うとともに、実際にRPAソフトウェアを実装する際の開発手順の標準化や、導入するツールの標準化などの作業も並行して進めている。

「デスクトップ型のRPA製品は比較的安価で導入しやすいのがメリットですが、複数のロボットを一括管理できないという弱点があります。一方、ロボットを集中管理できるRPA製品のほとんどが大規模な企業向けの高価な製品で、当社が主にお付き合いしている中堅・中小企業に提案するにはあまり適していません。こうした点を考慮しつつ、社内の関係部門と協議を重ねながら当社ビジネス市場に合わせて社内利用に最適な製品を選定していく予定です」(内橋氏)

CIT推進本部の池田優仁氏(左)、内橋一氏(中央)、河崎恭一郎氏
CIT推進本部の池田優仁氏(左)、内橋一氏(中央)、河崎恭一郎氏

中堅・中小企業でも導入可能な「コストを抑えたRPA」を目指す

同社では数多くの中堅・中小企業の顧客を抱えていることもあり、極力コストを抑えたRPAの導入・運用を心掛けていきたいと池田氏は話す。

「多くの中堅・中小企業のお客様は、情報システム導入に多くの予算を割けないため、私たち自身がコストを抑えたRPA導入・運用の方法を研究・実践し、その成果をお客さま向けのサービスに反映させていきたいと考えています。そのために今後は、なるべく少ないITリソースで効率的にソフトウェアロボットを稼働させる方法を模索していくつもりです。例えば、ロボット1体につきPC1台を用意しなくてはいけないような製品より、PCやサーバのリソースを複数のロボットで共有できるような製品の方が、よりコストを抑えることができるでしょう」(池田氏)

同氏いわく、RPA製品は他のICT製品より比較的安価で、導入ハードルが低いため、放っておくと各部門の判断でばらばらに購入され、投資の無駄が生じる可能性が高いという。そのため今後は、ソフトウェアライセンスの購入もCIT推進室が全社で一括して行う体制を整えていくという。

もちろん、CIT推進室自身も、RPAを使った業務効率化に積極的に取り組んでいる。特に、深夜や休日に人手による作業が発生することもあるシステム監視作業には、RPAを適用する価値が高いと河崎氏は述べる。

「サーバ監視作業の多くは既に自動化されていますが、中にはまだ管理者がサーバに1台1台ログインして、情報を取得しなければいけない作業も残っています。こうした手作業を自動化するためにRPAを適用し、現在適宜運用を始めているところです。ゆくゆくはRPAも介在しない完全自動化を目指したいと考えていますが、そこに至るまでの暫定措置としてRPAは極めて適していると感じています」

なお現在、同社におけるRPA導入の取り組みは本社の各部門で進められているが、同社は全国に数多くの拠点を構えており、今後はこうした地方拠点に対しても積極的にRPAを適用していきたいとしている。

「本社で現在進めているRPA導入プロジェクトは、今年度中には一通り本稼働まで持っていく予定です。その後は、本社と同様に多くの非効率な手作業が残っている地方拠点の業務にもRPAを展開していくことができればと考えています。もちろん社内展開だけでなく、社内での実践を通じて得られたノウハウを生かしたお客さま向けサービスも近く提供開始する予定です。そのためにもまずは、社内でのRPA活用のためのしっかりとしたフレームワーク作りに注力したいと考えています」(池田氏)

次回からは、富士通マーケティングの各ビジネス部門によるRPAの具体的な導入・活用ケースについて紹介していく。

※記事中の職制・役職等は取材時点のものです。
※本記事は「ITmedia ビジネスオンライン」スペシャルサイト掲載内容を再録したものです。

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