Skip to main content

Japan

ダイバーシティ推進を経営戦略として取り組む
【前編】初年度は経営層の意識醸成による「土台作り」から

株式会社富士通マーケティング

人事総務 介護
経営力強化 制度対応 事業継続対策 人材活用

2017年03月06日更新

富士通マーケティングでは、2016年4月より人事部内に「ダイバーシティ推進室」を設置し、専任組織としてダイバーシティ推進活動をスタートさせました。女性活躍推進法の施行や働き方改革の推進など、国策として掲げられたテーマに企業はどう応えていけばよいのか、真の「働きがいのある職場風土」を醸成するにはどのようなステップを歩めばよいのか、試行錯誤を重ねながらダイバーシティへの取り組みを進める弊社の実践事例をご紹介します。

トップからの発信「ダイバーシティ推進を経営戦略の一つに位置づける」

弊社がダイバーシティに取組むことになったのは、「社内ゼミナール」の一テーマとして取り上げたのがきっかけです。富士通マーケティングには、次世代リーダーを育てる独自の取り組みの中に、「社内ビジネススクール」と「社内ゼミナール」と呼ぶ育成プログラムがあります。「社内ゼミナール」の一つに、「ダイバーシティマネジメントの実践」をテーマとした講座がありました。

2015年6月に、この講座のアドバイザーを務めた一橋大学大学院の西野文子准教授(当時)による、「ダイバーシティ推進と働き方改革」と題した講演を、労使共催で開催しました。講演には、弊社社長や常務以下、幹部社員ら120名が参加し、これをきっかけにダイバーシティ推進の必要性を認識することとなりました。さっそくワーキンググループを立ち上げ、2016年1月に経営層に活動報告と提言を行ったところ、翌2月には社長より「ダイバーシティ推進を『経営戦略』の一つとして実行する」と強いメッセージが発信されたのです。(図1参照)

図1 社長からのメッセージ(抜粋)
図1:社長からのメッセージ(抜粋)

総務人事本部 人事部 担当課長 兼ダイバーシティ推進室員 鈴木清志
総務人事本部 人事部 担当課長
兼ダイバーシティ推進室員
鈴木清志

社長からの宣言を受け、富士通マーケティングでは、ダイバーシティを個々の「働き方」を調整する施策ととらえず、「経営戦略」として企業活動のパフォーマンスを高める視点から活動することになりました。そして、ダイバーシティの専任組織として2016年4月に「ダイバーシティ推進室」がスタートしたのです。

施策のスピード感を持つため、人事部内に「ダイバーシティ推進室」を設置

ダイバーシティ推進室の立ち上げにあたっては、すでに運用を進めている親会社である富士通や、富士通グループ数社にヒアリング、アドバイスを受けました。特に組織をどこに置くか、その立ち位置については社内でも議論を重ねました。企業によっては、社長直轄のセクションや経営企画部門などに設置されるケースが見受けられます。

ダイバーシティはもともと働き方、ワークライフバランスなど労務的な側面が強く、人事業務と密接な関係があります。一方で、人事部が強くなると、社員にとっては評価や査定を意識して、多様な働き方への相談がしにくいのではないかという懸念がありました。しかし、施策はスピード感を持って実行されなければ意味がありません。具体的な施策との連動性を第一に考え、富士通マーケティングでは人事部内に専任部署を設置することに決まりました。

人事部内に置かれた「ダイバーシティ推進室」は、人事部から2名の兼務者とダイバーシティ推進業務専任のスタッフ3名、計5名で活動しています。

現場との一体感をもつため、有志によるコミュニティサイトを立ち上げる

また、社内各部門からダイバーシティに関心があるメンバーを募り、有志による専用のコミュニティサイトを立ち上げました。ダイバーシティ推進室だけがリーダーシップをとって進めるのではなく、職場にとって最適な施策は何か、その施策は職場にどう受け止められるのかなど、現場と一体感を持ち進めていく必要を強く感じたからです。ダイバーシティ専用のコミュニティサイトでは、営業、SE、労組と様々な職務から、性別、年齢に偏りなく約20名のメンバーが集まり、活動しています。コミュニティサイトを利用した発信や交流、月1回の情報交換会などを通じて、現場の意見や実態を把握しながら活動しています。

多様な価値観や働き方を受容できる職場風土への意識改革と4つの取組み

具体的な活動を計画する上で重要だったのは、男性が圧倒的に多い社員の意識改革、組織風土改革でした。土台となるこの部分をしっかり根付かせなければ、どのような施策も絵に描いた餅になりかねません。「ダイバーシティを受容できる職場風土を目指すこと」を初年度の最重要課題とし、その上で、長時間労働に頼らない仕事管理や働き方の実現、仕事と生活の両立を図る制度やインフラ整備を目指すこととしました。(図2参照)

図2 ダイバーシティ推進における課題解決のステップ
図2:ダイバーシティ推進における課題解決のステップ

初年度に取組んだことは以下の4点です。

  • (1) 経営幹部の意識醸成
  • (2) 女性リーダーの育成
  • (3) 介護に関する実態調査
  • (4) 在宅勤務型テレワークの推進

(1) 外部の専門家による経営幹部の意識醸成

第一に力を入れたのが、経営層に対する啓発活動でした。ワークライフバランスやダイバーシティ経営に知見の高い、中央大学大学院の佐藤博樹教授を迎え、「誤解の多いダイバーシティ経営~経営層のコミットメントと管理職の役割が重要~」をテーマに、役員や本部長クラスを対象に経営層向けダイバーシティ講演会を開催しました。

講演会の終了後には推進室メンバーが各職場を回り、ヒアリングや情報交換をしながら具体的な課題の検討を促しました。さらには、ダイバーシティに関するDVDの視聴を行うなど、経営層の理解促進を図りました。福利厚生ととらえられがちなダイバーシティを、まずは経営層に正しく理解してもらおうという活動に力を入れたのです。特にDVDの効果は高く、専門家の意見に影響を受け、自らが何を行うべきかを考え、職場での行動に移していただけるようになりました。

「ダイバーシティ推進は経営戦略」であることから、各部門のダイバーシティへの取り組みを発表する会議には、役員はもとより、社長も出席しました。経営トップのコミットメントにより、本部長クラスも本気でこの課題に取り組むこととなり、社内の意識醸成を進めているところです。

(2) 女性リーダー向け研修で職場の悩みも共有化

弊社では、女性活躍推進法への取り組み目標の一つとして、「2020年度に幹部社員候補における女性比率10%以上」を目指すことを掲げています。女性リーダーの育成も急務であるとして、幹部社員向け研修制度の一つである「Coaching Ourselves(コーチング アワセルブズ)」のエッセンスを取り入れたカリキュラムで、女性リーダー向け研修を実施しました。自社のみでは人数も限られるため、富士通グループ5社含め全員で15名が参加、うち富士通マーケティングからは6名の女性社員が参加しました。

このカリキュラムでは、2週間に一度、約90分のセッションを10回行います。職場の悩みや経験を共有する「マネジメントハプニングス」に30分、セッションに60分の時間配分で実施しています。セッションで学んだことを次回までに各自職場で実践、内省して、次回のマネジメントハプニングスで共有する、というサイクルで回していきます。(表1参照)

【カリキュラム構成】マネジメントハプニングス(30分)+セッション(60分)
No. 日時 内容
1 6月10日(金曜日) マネジメントスタイル
2 6月24日(金曜日) 一皮むけた経験
3 7月8日(金曜日) 偶然のキャリア理論
4 7月22日(金曜日) サーバントリーダーシップ
5 8月5日(金曜日) フォロアーシップ
6 8月19日(金曜日) メンターの一皮むけた経験
7 9月9日(金曜日) 組織の見えない壁
8 9月16日(金曜日) 対話
9 10月14日(金曜日) 7つの習慣
10 10月28日(金曜日) 成果発表

表1:「女性リーダー向け研修」のカリキュラム

男性社員が圧倒的に多い職場がほとんどで、中には職場の中で女性は自分1人、話す相手は男性社員だけという人もいました。上司に対する悩み、部下に対する悩み等、職場における様々な悩みや迷いを、立場の近い女性と共有し関係性を作ることができた学びの場は、非常に有意義であったようです。

女性リーダー向け研修
女性リーダー向け研修

10回目の成果発表で印象的だったのは、リーダー像への気付きでした。プログラムの4回目に「サーバントリーダーシップ」というテーマがありました。サーバントとは奉仕の意味で、サーバントリーダーシップは、部下の成長やチームメンバーが仕事をしやすい環境を整え、チームとしての成果を上げていくリーダーの姿を示しています。男性的な強いリーダーシップイメージに抵抗を感じる女性は多く、「自分はリーダーには向かない、なれない」と思っていたところ、「サーバントリーダーシップなら私にもできそう」と感じた参加者が多く見られました。

通常の職場では、サーバントリーダーシップに触れる機会はなかなかありませんが、「誰かの役に立ちたい」という考え方でアプローチするリーダーシップがあり、強いリーダーシップと合わせて、人それぞれにあった手法があるという気付きがもたらされたことは、企画したダイバーシティ推進室にとっても大きな成果となりました。女性リーダー向けの研修は、来期も引き続き行う予定です。

後編では、働き方改革のしくみづくりに取り組んだ2つの施策と、さらにダイバーシティ推進室の2017年度のテーマについてご紹介します。

ページを移動

  • 1
  • 2

次へ イメージ

関連情報

お問い合わせ

Webでのお問い合わせ

入力フォーム

当社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用しております。

お電話でのお問い合わせ

0120-835-554 お客様総合センター

受付時間 9時から17時30分まで
(土日、祝日及び当社指定の休業日を除く)
[注] お問い合わせ内容の正確な把握、およびお客様サービス向上のため、お客様との会話を記録・録音させて頂く場合がありますので、予めご了承ください。