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第09回 アパレルメーカーの資材発注システム化要点

SCM“人間系業務”にこそ改革の可能性あり!実践事例で解説

株式会社フェアウェイソリューションズ
代表取締役社長  殷 烽彦 氏

2019年05月14日更新

アパレルメーカーを取り巻く環境

近年のアパレル業界では、国内マーケットが伸び悩む中、海外での業績を拡大している一部の大企業を除きますと、大半のメーカー様を取り巻いている環境は、依然厳しい状態が続いています。
こうした中で利益を上げているアパレルメーカー様は、その製品力もさることながら、旧態依然とした業務のやり方を見直し、資材在庫の削減、工場との情報共有、納品リードタイム短縮、即時納期回答による顧客へのサービス向上など、様々な取り組みをされています。

資材発注がシステム化しにくい理由

一般的な組立品メーカーの場合、資材の管理は工場サイドで行われることが多いでしょう。製品の生産量が決定すると、生産計画に従って、部品の所要量が計算され、資材在庫と照合の上、必要量を補充することになります。常時使用する資材は、生産計画に関わらずある程度自動的に、常に一定レベルの在庫が保持できるようにコントロールして行きます。

一般的な組立品メーカーの資材発注業務

こうした組立品メーカーでは、資材発注業務は工場における生産管理システムの一部分として、BOM展開機能を用いている場合が多いでしょう。1製品に対する部品の種類は非常に多いかもしれませんが、古くからシステム化の対象とされてきた領域です。

一方、アパレルメーカーの場合は、システム化を阻む課題は主に3つあります。

アパレルメーカーの資材発注業務

1.外部委託工場に資材を“提供”

全製品を自社工場のみで生産される、という企業様もありますが、国内やアジアなど海外の工場に生産を委託し、ファブレス型の経営をされている企業様も数多く存在します。この場合、資材の管理は委託先工場で行いますが、主要な資材は、品質の担保のため、自社(委託元)責任で調達するケースが多いものです。委託元側では、資材の所要量を計算し、資材の調達リードタイムを考慮して発注をかける、という作業を行わなければなりません。単に発注をかけるだけでなく、発注残(入荷予定)を管理し、工場に残っている資材在庫量も考慮する必要があります。
この時、製造設備の無い委託元には、当然ながら生産管理システムはありませんので、BOMシステムの機能に替わる何か ――往々にしてExcelになりますが―― によって、これらの業務を行わざるを得ない、という状況が発生します。

2.製品寿命が短い

ファストファッションの台頭に伴い、目まぐるしく変わるトレンドに合わせ、シーズン途中でも次々と新製品が生み出されて行きます。
製品が変わると資材も一新されるため、資材マスタ(BOM)もまるごとメンテナンスしなければなりません。
もしも資材発注専用のシステム構築を検討したとしても、マスタメンテナンスの負荷に対して、システム化メリットが低ければ、結局のところ「Excel管理で我慢しよう」という結果になりがちです。

3.布地は「不定貫」管理が必要

更に、アパレル業界の資材である「布地」の在庫管理は、システムとしてはさほど単純ではありません。いわゆる「不定貫」といって、在庫数量を1個2個‥とカウントすることが出来ず、断裁を行う際の型紙の置き方によって残量が変わってしまったり、残量が数cmだったらもう在庫としては使用できない、という事態が起こるからです。
勿論、不定貫管理をシステム化する手法はあるのですが、外部工場に製品製造を委託している企業が、資材発注業務だけのために一からシステムを構築する、という判断はなかなか取りにくいものです。

経営的なデメリットは何か

さて、資材発注をシステム化せず、個人のExcel管理に任せていたとして、どのような経営への悪影響があるでしょうか。
まず業務面では、ご担当者はそれぞれ、資材マスタ(BOM)の管理、資材の所要量計算、発注、発注残管理の業務負担が大きくなります。点数も多いので、製品グループ別に担当者がつくことになり、それぞれの情報は共有・可視化出来ません。
在庫の面では、複数製品で共通の資材を使っている場合に、全体の利用可能在庫数がわからず、過剰に発注するケースが起こりえます。また、資材の入荷が遅延すると、複数の製品に影響が出てしまうため、ついつい安全をみて多めに発注してしまい、過剰在庫傾向になりがちです。一方で製品の入れ替わりが激しいので、製品改廃時に資材在庫が死蔵化する、という経営を圧迫するリスクも高いのです。
これは裏を返せば、資材発注をシステム化することにより、

  • 資材在庫の共有化による在庫圧縮
  • 資材在庫管理・発注残管理業務の大幅軽減

というメリットを享受できるということです。

資材発注業務 システム化の要点とメリット

あるアパレルメーカー様では、こうした難しい状況の中、資材在庫削減・業務効率向上・顧客サービスという3つの目的でシステム化を図りました。
実現のポイントは2点です。

1.労力少なく資材をマスタ化・更新する仕組み

このメーカー様の「資材発注システム」は、いわば基幹システムの外部付属ツールとして導入されています。
基幹系のマスタのようにじっくり登録することは出来ず、業務のご担当者が、適宜簡単にメンテナンス出来るようにしないとなりません。使い慣れたExcelシートからアップロード出来るようにするのが、現実的には一番リーズナブルと判断されました(下図①)。

2.システムで、資材発注量算出を正確に(実情に合わせて)できる仕組み

アップロードさえしておけば、製品の必要数に応じて「資材発注量」に展開し、発注量を計算します。この時、資材のロス率を加味し、ロット変換まで行って、出来るだけご担当者が加工せず発注データとして使えるようにすると良いでしょう(下図②)。
資材の在庫量を考慮して発注する際には、システムの資材在庫データと工場にある実際の資材在庫とのズレが大きくならないよう、注意が必要です。
海外の工場でも在庫数が簡単に入れられるようなWebベースの仕組みを持つこと、断裁完了時に“残在庫がどのくらいあるか”を入力可能にし、常にメンテナンスすることによって、大がかりな棚卸をせずに自然に在庫が合ってくるようにするなど、委託先工場と協力して管理する工夫が必要です。

資材発注システム化のポイント

この仕組みの構築により、以下のような改善効果がもたらされました。

(1)資材在庫コントロールによるキャッシュフローの改善

委託先と協力した徹底的な資材在庫管理、過剰発注の抑制、共通資材の在庫共有が可能に。

(2)お客様の小ロットオーダーに対してもQuick Responseの実現

受注時点で資材在庫の使用可能量がわかるため、生産リードタイムが計算可能になり、顧客へ即時納期回答を実現。

(3)社内業務の効率化

システム化により、資材発注業務を専任担当に集約可能に。

なかなか利益を出しにくい状況に置かれている中堅中小のアパレルメーカー様でも、こうしたピンポイントの工夫とシステム投資により、“人間系”とされて来た「資材発注」という業務にメスを入れ、業務プロセスを改革し、利益を創出することは十分に可能です。
現在は好調な企業様でも、改善の余地は、思いのほか残されているのではないでしょうか。

著者プロフィール

殷 烽彦 氏

株式会社フェアウェイソリューションズ

代表取締役社長  殷 烽彦(いん ほうげん/Fengyan Yin)氏

1987年3月 京都大学工学部情報工学科卒
1989年3月 京都大学工学研究科 情報工学専攻卒
1992年4月 ウッドランド株式会社(現 フューチャーアーキテクト)入社。
PIM、CRM、マルチメディアなど様々な情報システムの設計・開発に従事。
1997年7月 Toona Softs Pty Ltd 入社。φ-Conductorのシステム設計責任者として、日本・オーストラリア両開発チームの指揮を担当 。
2003年4月 株式会社フェアウェイソリューションズ 入社。大手電子部品メーカー・商社などのプロジェクト責任者として導入に携わる。
2005年4月 同社 取締役 就任
2007年4月 同社 代表取締役社長 就任

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