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第08回 生鮮食品卸売業の業務オペレーション改革

SCM“人間系業務”にこそ改革の可能性あり!実践事例で解説

株式会社フェアウェイソリューションズ
代表取締役社長  殷 烽彦 氏

2018年02月09日更新

生鮮食品卸売業のサプライチェーンを取り巻く環境

前回のコラムでは、一般消費財メーカーの需給調整業務について、その課題とシステム化のポイントを解説しました。今回は、消費財のなかでも特徴的な一般消費財とかなり異なる「生鮮食品」の卸売業の業務について紐解いて行きましょう。

15兆円規模といわれる日本の生鮮食品市場では、人口減少や高齢化による近い将来の市場縮小をにらみ、企業間競争が一段と激しくなりつつあります。
今年の3月、セブン&アイHDが開始した生鮮食品PB『セブンプレミアム フレッシュ』や、11月に開始と発表された、アスクルとの提携による生鮮食品のインターネット通販サービスなど、生鮮食品の販売チャネルは、今後も多様化してゆく可能性が十分にあります。
こうした背景のなか、生鮮食品卸売業の企業様は、消費者(と得意先である小売業)からのシビアな納品要求を満たし勝ち残って行きながら、一方で社内の業務コストを抑えるための「業務オペレーション改革」を行わなければなりません。

物流業務が複雑かつ属人的になる理由

さて、食肉、鮮魚、野菜・果物など、生鮮食品のサプライチェーンには“鮮度”がキーポイントになるため、業務に極めて厳しいスピードが要求されることは想像に難くないでしょう。スピードが重要でありながら、“全自動”で行われているかというと、実は余りシステム化は進んでおらず、人間系業務が多数介在しています。その理由は何故でしょうか。

厳しい得意先要求

食品スーパーや総合スーパー、CVS、外食産業などが主な得意先である場合、鮮度が重要な生鮮食品は、「即日納品」かつ「毎日」が基本です。膨大な店舗数×商品点数で、取引量は非常にボリュームが多くなります。
時間的にも量的にも負担の大きいなか、更に業務を複雑化しているのは、「産地指定」「銘柄指定」などの属性指定注文です。昨今のブランド野菜や銘柄肉のブームにより、消費者の好みに合わせ、同じ小売でも各店舗がローカルの特色を出すため、それぞれ注文時に指定してくるケースが多々あります。しかし、システム上の在庫管理がその精度に追い付いていないと、物流現場の担当者が膨大で複雑な組み合わせのオーダーに対してその場で判断、指示せざるを得ません。当然、業務を知り尽くしたベテランでないと出来ない業務になってしまいます。

安定供給が必須命題

野菜類は特に、天候によって入荷量が変動します。生鮮食品は、他のビジネスと異なり、受注時に“今現在ある実在庫”を卸のところで残らず出荷しまうと、翌日の納品が出来なくなってしまうリスクがあります。スーパーの店頭から、ニンジンやジャガイモが消えてはパニックになります。このような困った事態にならぬよう、需要変化を見据えた「供給調整」を行わなければなりません。
得意先であるスーパー等もその点は協力的で、注文時に「むこう1週間分の発注予定量」を知らせて貰えることが多く、卸側は、1週間毎日在庫を切らさずに出荷出来るよう、在庫の出荷調整を行っています。
また、輸入食肉などは輸送に日数を要しますので、今ある在庫だけでなく、“入荷予定”を念頭に入れて割当を行う必要があります。
もしも注文総量に在庫が足りない場合は、産地・ブランド・ランクなどを考慮しながら各店舗に満遍なく行きわたるよう、配分数にも気を使います。
需要も供給も複数の予定があり、それが日々変わる…Excelなどの管理ではスピードが追い付かず、現場をよく知るベテラン担当者がKKD(経験とカンと度胸)でコントロールするしか無い、という現実があります。

賞味期限が極めて短い

受注納品リードタイムが短く、需給の変動がある場合、他の製品ならば「在庫を多めに持ってカバーする」という手がありますが、生鮮食品ですので長期間在庫することが出来ません。冷凍保存可能な商品であっても、なるべくフレッシュで売り切らないと商品の価値が下がってしまい、利益率の面で問題があります。

全体として、これらのファクターが掛け算式に複雑さを増し、人間系の業務の負荷が高く、ベテラン依存・属人化されやすい環境にあります。そして、これら業務上の課題を、従来型のERPシステムでは殆ど対処することが出来ない、というところに問題があります。

生鮮食品卸売業の在庫・需給コントロール

複雑な賞味期限、属性別の引当を自動化する

生鮮食品卸の業務が、ベテランに依存している現状を脱却することは、高齢化と労働力不足のなかで乗り越えなければいけない課題です。

ある食肉卸の企業様では、売上シェア拡大にともなって、長時間労働が問題になっていました。主な取扱商品は業務用鶏肉ですが、鶏肉は、フレッシュチルドと冷凍で賞味期限が異なります。国産と輸入では、調達リードタイムも大きく異なります。そして、得意先からは、注文時、店舗ごとに詳細な「産地」「銘柄」の指定があるため、在庫の割当てを行う際には、業務に精通したベテラン担当への負担がとても大きかったのです。

まず、システム化に際し、様々な条件の整理が必要でした。 注文時、ある店舗は「〇〇県産、もし無かったら△△県産」と指定して来ます。別の店舗は「〇〇県の□□ファーム産優先で」と更に細かく、他の店舗は「国産であればOK」という条件です。 さらに、「在庫不足の時はどうするか」についても、単純に店舗別の注文量に比例した配分をするだけでなく、例えば『土日はお客さんが多いので、金曜の出荷分は多く残しておく』といった曜日加重など、ベテランの方のノウハウを、きめ細かく整理する必要がありました。 これらの準備は簡単ではありませんが、合理的なルールとして整理し、システムに教えていったことで、条件に合わせて“利用可能な在庫”の範囲が瞬時に判明するようになりました。 最終的には、注文がEDIで来た段階で、ボタン一つで全注文に対して「どの倉庫の、どの棚番にある在庫を出せば良いか」まで自動的に表示されるようになり、業務スピードは格段に上がりました。 これらの徹底した属性別在庫管理により、業務人員をほぼ増加させることなく、売上は1.5倍を達成されました。さらに嬉しいことに、余剰在庫の廃棄ロスがほぼゼロになったとのことです。同時に、ベンテランの経験に依存していた業務ノウハウもシステムによってかなりの部分がルール化され、システムを通じて若手社員への業務ノウハウのスキルトランスファーが正確かつ簡単にできるようになりました。

生鮮食品の"在庫引当"を決めるファクター

複雑な人間系業務ほど、取り組む価値がある

経理業務や会計処理と違い、「業務系」というのは、およそシステム化から縁遠く、敬遠されがちな領域です。しかし、考えてみれば人間の判断業務は、一定の合理的なルールに基づいて行われているはずです。どれだけ複雑に見えても、ルールの整理によってシステム化の可能性は残されています。

生鮮食品の受発注や在庫引当、物流指示業務の“ややこしさ”の前で、到底システム化出来ないと諦めるか、効率化を追求するか、判断する時期が来ているのではないでしょうか。

著者プロフィール

殷 烽彦 氏

株式会社フェアウェイソリューションズ

代表取締役社長  殷 烽彦(いん ほうげん/Fengyan Yin)氏

1987年3月 京都大学工学部情報工学科卒
1989年3月 京都大学工学研究科 情報工学専攻卒
1992年4月 ウッドランド株式会社(現 フューチャーアーキテクト)入社。
PIM、CRM、マルチメディアなど様々な情報システムの設計・開発に従事。
1997年7月 Toona Softs Pty Ltd 入社。φ-Conductorのシステム設計責任者として、日本・オーストラリア両開発チームの指揮を担当 。
2003年4月 株式会社フェアウェイソリューションズ 入社。大手電子部品メーカー・商社などのプロジェクト責任者として導入に携わる。
2005年4月 同社 取締役 就任
2007年4月 同社 代表取締役社長 就任

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