GTM-MML4VXJ
Skip to main content

富士通マーケティング

English

Japan

  1. ホーム >
  2. ICTのmikata >
  3. コラム >
  4. 第06回 いまふたたび生協

第06回 いまふたたび生協

物流危機への処方箋

山田経営コンサルティング事務所代表
中小企業診断士
山田 健 氏

2019年02月18日更新

これまで5回にわたり現在の物流危機の現状とそれにかかわる歴史を紹介してきた。今回からタイトルの「処方箋」について筆者なりの考え方を示していきたい。

1. 物流の最大の敵は波動

物流(会社)の最大の敵は「波動」である。物量が少なければ戦力が余剰になって赤字を出し、多ければ作業がこなせなくなって重大なクレームを招く。必然的に戦力不足を避けるため、多めの人員や車両を確保しがちである。
その結果、物流コストは膨れる。かといってピーク時にはそれでも不足するので、作業がこなせない。最近の人手不足の状況では完全にお手上げとなる。物流コストは上がるうえに作業が滞るというダブルパンチである。

イメージ

一般的に量販店やホームセンターなどは週末に販売された商品を月曜、火曜に大量補充するので週初めの波動が大きくなる。週間波動が倍くらいになることはざらである。しかもオーダーが決まるのはよくて前日である。それに対応するために物流会社は常時トラックや作業員を多めに確保しておくのだが、余剰時は遊んでしまう。
以前かかわったある家電量販店の調達物流センター(メーカーや卸が商品を集中納品し、店舗へ配送するための物流センター)では、翌日の配送量が「明日の配送は1万個」という具合に個数でしかわからなかった。電池も冷蔵庫も同じ1個である。このオーダーに対し、物流会社は勘と経験で翌日の車両を手配するのであるが、多すぎたときは当日集荷に来たドライバーを帰してしまうという、いわばドタキャンが常態化していた。多かれ少なかれ、あちこちの現場でこのようなことを繰り返してきた結果が、昨今のドライバー不足の一因となっている。
製造原価を落とす最適な方法は、ラインの稼働率を常に一定に保つことだという。なるべく市場の波動をまともに受けずに一定の稼働率を維持するために、メーカーは在庫を保有する。卸もまた同じである。
残念ながら、荷主のオーダーによって物量が決まる物流は物流会社でコントロールできない。物流のようなサービス業は波動を吸収する在庫も持てない。ここにコストが下がらず、人手不足も招いてしまう本質的な原因がある。

2. リードタイムを伸ばせば平準化する

物量の平準化に役立つのがリードタイムの延長である。実際、オーダー翌日届けが翌々日になるだけで作業への負荷が大幅に減り、人手不足が緩和するという現場の声をよく耳にする。
重要な示唆を与えてくれるのが「生協方式」である。生協とは昔の呼び方であり、現在は地域ごとに「○○コープ」といった別会社として運営されているが、ここでは便宜上生協とひとくくりにする。
利用されている方も多いと思われるが、生協の特徴は1週間に1回商品を注文し、それを毎週決まった曜日に自宅まで配達してくれる、という点である。注文から配達までのリードタイムはほぼ1週間である。この仕組みにおいては、顕著なドライバー不足が起きているという話は聞かない。もちろん、ドライバーが足りないのはどこの業界でも同じであるが、少なくとも宅配業界のような危機的状況ではないのは確かである 。

生協の物流システム
図:生協方式の物流システム(首都圏の事例を元に筆者作成)

図は首都圏のある生協の物流システムである。注文された商品は各ベンダーから配達日前日までに常温食品、要冷などの温度帯別、商品別に設置された物流センターへ納品され、そこでパートの手により個人別のケースに仕分けされる。この仕分けには高度なIT、自動化機器が投入されている。
配達当日朝までに、3県合計32の配送センターへ移動されたケースは、配送車によってあらかじめ決められたルートで順番に家庭へ届けられる。不在の場合は玄関先へ置いていく。1コースの配達件数はおおむね5~60件である。
曜日ごとに配達先が定められているため、件数の波動はないし、不在置きが了承されているため宅配便で深刻な問題となっている持ち戻りもない。それもこれもリードタイムに1週間の余裕があるために可能となった物流システムである。
余談であるが、筆者は数年前、プラチナチケットとして入手困難だったポール・マッカートニーの来日公演のチケットを生協で手に入れることができた。
生協の宣伝をするつもりは毛頭ない。ただ、リードタイムに余裕ができれば、物流は安定して稼働でき、抜本的解消には至らないまでも人手不足は緩和できるということをこのモデルは示している。
物流危機が迫る中、生協方式は、その商品は本当に今日、明日必要なのか、1週間待てないのか、といった消費者行動の原点に対する問いかけをわれわれに投げかけている。

著者プロフィール

山田 健 氏

山田 健(やまだ たけし)氏

山田経営コンサルティング事務所代表
Webサイト:http://www.yamada-consul.com/Open a new window
流通経済大学非常勤講師

1979年 横浜市立大学 商学部卒業、日本通運株式会社 入社 。総合商社、酒類・飲料、繊維、アパレルメーカーなどへの提案営業、国際・国内物流システム構築に携わった後、株式会社日通総合研究所 経営コンサルティング部勤務。同社取締役を経て2014年、山田経営コンサルティング事務所を設立し、中小企業の経営顧問や沖縄県物流アドバイザー、研修講師などを務めている。
主な著書に「すらすら物流管理」(中央経済社)、「物流コスト削減の実務」(中央経済社)「物流戦略策定シナリオ」(かんき出版)などがある。

お問い合わせ

Webでのお問い合わせ

入力フォーム

当社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用しております。

お電話でのお問い合わせ

0120-835-554 お客様総合センター

受付時間 9時から17時30分まで
(土日、祝日及び当社指定の休業日を除く)
[注] お問い合わせ内容の正確な把握、およびお客様サービス向上のため、お客様との会話を記録・録音させて頂く場合がありますので、予めご了承ください。