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Japan

第03回 今年の樹形を決定付ける重要な作業「芽かき(めかき)」

IoTを活用したワイン葡萄栽培の1年間を体験リポート ~美味しいワインができるまで~

2016年09月02日更新

IoTを活用したワイン葡萄栽培の1年間を体験リポート ~美味しいワインができるまで~

富士通GP2020ワインファーム 活動スケジュール 剪定(せんてい)  誘引(ゆういん) 副梢(ふくしょう) 傘紙かけ 収穫(しゅうかく)

2016年5月の「富士通GP2020ワインファーム」3回目の活動は、葡萄の芽かき(めかき)という作業です。2016年3月に「誘引(ゆういん)」で訪問した際には、若干肌寒く、葡萄の葉も無い殺風景な畑でしたが、今回は気持ちの良い天候で畑一面が新緑に溢れていました。
今回の芽かき作業は不要な芽を摘み取る作業です。今日も奥野田ワイナリーの中村社長から芽かきの説明を受け、理解を深めてから畑に出て作業を行います。
講義では剪定、誘引の復習をしつつ、樹形維持活動の重要作業とされる芽かきについて詳しく教えていただきました。
また、今回は芽かきで摘み取った葉っぱを天ぷらとして食べる人気の特別企画です。
葡萄の芽で天ぷら!?どんな風味、食感なのか今からとても楽しみです!

暖冬による葡萄生育への影響

イメージ 中村社長曰く、今年(2015年~2016年)は暖冬だったので、少し心配なことがあるそうです。全ての植物は、冬の間はしっかり寒くなることで成長のための全てのスイッチがOFFになり最低限の生命維持活動のみが行われます。気温の上昇と共にそれぞれのスイッチが秋の収穫に向けて順番どおりにONになり、発芽して開花、実が成長して熟していく。冬に全部のスイッチがしっかり切れていないと、収穫に向けたスイッチがONになる順番や時期が狂ってしまい、葡萄の品質や収穫量に大きく影響します。収穫まで葡萄園の状態を注意深く見守っていく必要がありそうです。今年も葡萄園に設置したセンサー機器が大活躍の年になるかもしれません。

奥野田ワイナリーの挑戦

芽かきの目的

剪定、誘引に加え、芽かきは樹形維持(キャノピーコントロール)の中で、今年最も重要な作業になります。
収穫後の樹形をイメージしながら不要な芽を除去、葉数を制限する芽かきによって、新梢は同じ条件で成長し、それぞれの芽に供給される養分が均等化されます。
新梢は先端にいくほど勢いが強く、放置すると新芽が枝を伸ばし枝や葉に養分が集まってしまいます。植物を自由に成長させるのではなく、適切な芽かきという人手のコントロールによって、芽はムダな養分獲得競争をすることがなくなり、秋には高品質の葡萄が収穫できるのです。

芽かき作業のポイント

イメージ 芽かきは来年の樹形を決める最終的な作業ですが、どのようにして不要な芽を選べば良いのでしょうか?
中村社長の講義でなんとなく理解できましたが、実際に畑に出てみると一本一本がまったく違っていて、不要な芽を見つける作業の答えは複雑で、まるで難解なパズルに挑戦しているような錯覚を起こしました。
芽かきは誘引と一緒に行うこともありますが、素人にはとても難しい作業になります。現時点で葡萄の花芽、葡萄の実を付けますよという強い意志表示がない枝は、これから花芽をつけることはありませんが、それが素人でも比較的わかりやすい今日のタイミングまで芽かきを待っていたわけです。
今年2月の剪定では、葡萄の主幹(地上70cmのところ)から半径15センチぐらいのエリアに来年実を付けるための枝で、節間(芽と芽の間)が10cm以下の葡萄を収穫した痕跡のある枝を2本選びましたが、その条件に見合った枝をその15cmエリアに残しました。
葡萄の実を付ける意思のある花芽を持っている枝と花芽を持っていない枝(不定芽)。この不定芽を勘違いすると、来年剪定する人に間違ったメッセージを送ってしまうことになってしまいます。来年1月に去年の5月にここに実を付けているいい枝がある、これを来年の剪定のときに残しなさいというメッセージを葡萄の木に残してあげる。来年剪定を行う自分や他の方にメッセージを残すのが今回の芽かき作業になります。残すべき枝を誤らずに選ぶ、簡単なようで難しい作業ですね。

さらに、芽かきは今秋の収穫のことだけ考えれば良いというわけではありません。
不定芽はすべて除去しないで、主幹から15㎝下にあるものを結果母子として残しておきます。不定芽(花芽を持っていない枝)は、葉を2枚ほど残して短く切り詰めます。そうすることで、来年1月の剪定時に予備子になります。
迷わず除去してしまっていい枝は、地面から1本目の針金、この間の木の半分より下の芽は使わないため、迷わず除去します。

芽かきは樹形維持を意識して行いますが、一番大事にしているのは樹形ではありません。
今年計画している収穫量を予定どおり得ることが最も重要なことです。
去年に比べて1株から収穫できる葡萄の量が多すぎたり、少なすぎたりすると、その1株の成長が狂います。葡萄の房数がその木の樹勢に対して多すぎると、当然その力が足りなくて、上手く収穫ができなくなってしまいますし、逆に少なすぎても力が余ってしまって新梢が想定以上に伸びてしまいます。
新梢が想定以上に伸びてしまうと、もっと養分をくれと誤ったシグナルを出してしまい、葡萄の木を大きくすればいいと勘違いして、葡萄の実を熟させることを忘れてしまうので伸びすぎてしまった先端はカットします。
葡萄の木や葉には多少の負荷、ストレスがかかって実を熟させるのは荷が重い、と思わせる領域に葡萄の木を追い込むことで、必要以上に樹勢の高まりを防ぎ、葡萄の実は熟させることに集中してくれます。

畑の中の一株一株は同じ樹勢ではありません。隣の木と比べると樹勢があったり、なかったり。元気がありすぎる木には芽を多く残し、元気がない木の場合には通常よりも少なめの芽にして養生してあげ、それを2年ぐらい続けると樹勢が出てきます。それぞれの葡萄の木と対話をしながら作業を行っていきましょう!

太陽光線の角度センサー

葡萄に限らず、全ての植物は太陽光線の角度センサーによってスイッチが働きます。
太陽の角度は春から夏に向けてだんだん上昇していきますが、夏至を境目に日が短くなり、今度は太陽の角度がだんだん下がっていきます。太陽の確度が上がり続ける期間は生育を成長ステージとして、太陽の確度が下がり始めるタイミングからは実を熟させる熟成ステージへと変えていく。太陽光線の角度が大きなスイッチ(転換のタイミング)になっています。
葡萄はそのスイッチによって芽が出て、葉が開いて、展葉(たたまれて発芽した葉が開くこと)します。花芽は一粒一粒の花のつぼみになって、花芽から実際に花が咲く瞬間が5月中旬から約2週間の間にやってきます。
この花が咲く瞬間までは、葡萄は昨年の秋に蓄積した養分で活動しています。
真夏の強い日差しを浴び続けて非常に疲労している葡萄の葉っぱが、昨年、収穫を終えてから秋のわずかな太陽の光で光合成を行って、養分を蓄積していました。その蓄積した養分を使って春に芽を出し、蕾を出し、そして花を咲かせる。開花以降、初めて根から養分を吸い始めて、新たな成長を続けていきます。
イメージ 春の木の芽がとても美味しい理由を端的に言うと、蓄積した養分で成長したからだと考えられています。春以降、根から吸った養分で光合成を始めると、地面の中にある一般的に体に良くないとされる分解前の窒素成分を吸い上げて葉に届けて光合成を行います。そのため葉には未分解の窒素成分が多く含まれてしまうため、あく抜きをしないと食べられないという状態になります。
ところが、昨年秋に吸収した窒素成分は冬の間に分解され、春の芽はその分解された養分を使って成長した葉になるため、窒素成分は含まれず、それが今日時点の葉の状態です。
みんなが芽かきで摘み取った芽をタラの芽に見立て天ぷらに、珍しい春の味覚を味わいました。

葡萄の芽で天ぷら!

葡萄の葉を生のまま食べてみましたが酸味があって渋くて少しだけ苦い。それを天ぷらとして揚げてみると、人それぞれ感じ方は違うかかもしれませんが、トマトのような甘酸っぱい味覚に変わります。蕾のある芽はプチプチした食感で、とても美味しかったですよ。
また、葡萄品種のシャルドネとカベルネ・ソービニヨンの芽を比べてみると、どちらかというとシャルドネの方が美味しいと感じました。
ちなみにシャルドネは白葡萄ですが、意外なことに茎の部分に赤い色素が含まれています。

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