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Japan

第01回 葡萄と長くよい関係を維持するための「剪定(せんてい)」

IoTを活用したワイン葡萄栽培の1年間を体験リポート ~美味しいワインができるまで~

2016年04月15日更新

IoTを活用したワイン武道栽培の1年間を体験リポート ~美味しいワインができるまで~

富士通GP2020ワインファーム 活動スケジュール 誘引(ゆういん) 芽かき(めかき) 副梢(ふくしょう) 傘紙かけ 収穫(しゅうかく)

イメージ 2016年の「富士通GP2020ワインファーム」最初の作業は、葡萄の剪定です。剪定は、単に枝を切る作業ではなく、長期にわたって葡萄の木を最良の状態に維持し、品質を維持するためにとても大切な役割を務めます。
剪定作業に入る前に、セラーの中で奥野田ワイナリーの中村社長より、剪定作業の役割と種類について講義を受けました。

「剪定」の役割は、樹形を維持して葡萄の収穫を何十年も継続させること

いい葡萄を毎年収穫するためには、樹形を維持することが重要です。そのため古い枝や生長を妨げる枝等、不要な枝を切り詰める剪定が必要になります。剪定は、一つひとつの木と相談しながら進めていきます。慣れていないと、今年葡萄が採れない、あるいは今年は採れても来年以降が採れないといった切り方になってしまいます。毎年ほうきを逆さまにしたような形に戻すのが、葡萄を収穫する必勝パターンです。何年、何十年経っても葡萄が収穫できるよう同じ樹形を保つには、剪定の技術を磨くことが必要なのです。

奥野田ワイナリーが積極的に進める「長梢剪定」

剪定には、「短梢剪定(たんしょうせんてい)」と「長梢剪定(ちょうしょうせんてい)」の2種類があります。
短梢剪定は、昨年伸びた長い梢を2つ目の芽まで残して短く切り詰める方法です。寒い地方では、昨年成長した細い枝を長い梢で冬を越させることが困難になるため、短く剪定し、そこから芽を育てていきます。
一方、長梢剪定は、残す枝の芽数は5~10数芽と多く残します。南の温暖な地域では、短く剪定してその下の芽を使おうとすると、昨年より以前の枝が葡萄の木の皮の下に存在しているので、皮の中にたくさんの越冬菌がおり、その菌が夏の間悪作用を及ぼしてしまいます。そうならないために、長い梢を使おうとするのが長梢剪定です。

短梢剪定と長梢剪定

山梨は日本列島の南北で言えば真ん中あたりなので、両方の剪定方法が選べますが、奥野田ワイナリーで積極的に選んでいるのは長梢剪定です。5月から葡萄の芽が出ますが、この芽は昨年の5月から7月の間に作られたものです。5月から8月にかけて1メートル20センチから30センチも伸びます。この時期は一年中で最も日差しの強い時期にかかるので、その間に光合成をしながら出来あがった芽は、翌年の葡萄を実らせるのに一番多く養分を蓄積している芽です。前年5月に作られた芽とその年の6月に作られた芽を比べると20倍くらい違います。
今年の葡萄を収穫するのに、昨年5月の大きい芽を積極的に使ってあげようというのが長梢剪定です。長梢剪定は、いくつかの条件のもとに今年芽をつける長い梢を選抜する技術が必要です。短梢剪定に比べ難易度が高くなります。

葡萄の剪定種類

  短梢剪定(たんしょうせんてい) 長梢剪定(ちょうしょうせんてい)
推奨地域 寒い北のエリア 温暖な南のエリア
方法 芽を2つほど残し、長い枝を短く切り詰める 位置や太さなど一定の条件に合った枝を選び、5から10の芽を残す
難易度
メリット 作業が楽に早く済ませられる 養分を多く蓄積した大きい芽を積極的に使える

長梢剪定の枝を選抜する3つの条件

イメージ 講義の後は、実際に剪定作業をしながらの実技指導を受けました。剪定の道具は、はさみ、のこぎり、太枝切りが3点セットです。そして長梢剪定の3つの条件の説明を受けました。

■ 長梢剪定の3つの条件

  1. 位置:主幹から下15センチくらいのエリアにある枝を選ぶ
  2. 太さ:鉛筆以上三色ボールペン以下くらいの太さの枝を選ぶ
  3. 間隔:芽と芽の間が短い枝を選ぶ

この3つの条件が整っていないものは選びません。また、3つの条件を満たす枝が2本あれば理想ですが、1本しかない場合は片側が短梢剪定となります。1本もない場合は両側とも短梢剪定になります。最初から短梢剪定にすれば楽ですが、長梢剪定できるものがあるかどうか見極めるのが難しいところです。

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大きい芽を使う方がいい葡萄が採れますが、樹形が維持できない場合は躊躇せず短梢剪定を選びます。今年いい葡萄を採るためではなく、将来の樹形維持のための枝を残すというのが剪定の基本の考え方です。

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この日の最後は、奥野田ワイナリーが葡萄の自然栽培と野生酵母を使ったワイン醸造を一気通貫で取り組むことで、ワインの品質向上につなげていることを説明いただきました。

高ミネラルの地下水を吸い上げて葡萄の実にミネラルを蓄える

葡萄の木は、本当は地面の中で横に広く根を張りたいのですが、狭い場所で植え付けられると、横に根を張りたくても隣の根とすれ違ったり重なったりするので仕方なく下に伸びていきます。夏から秋にかけて熱くなった葉の熱を冷ますために、根から水を吸い上げますが、横に張った根からは地面近くにある雨水を吸い上げます。一方、仕方なく下に張った根からは高ミネラルの地下水を吸い上げます。この吸い上げる水によって葡萄の品質が違ってきます。
高ミネラルの地下水を吸い上げ、葉で水分を飛ばすと高ミネラルが残ります。残ったミネラルは、成長する葡萄の実の中にたまっていき、葡萄の品質も向上するのです。

ミネラルの蓄積で酸化防止剤不要の葡萄を工場へ

イメージ 葡萄の実は、花が咲いて2ヶ月くらいで実が大きく膨らんで成長する過程(7月下旬ごろ)と、成長を止めて熟す過程(7月末から9月上旬まで)の2過程があります。成長を止める瞬間を「ベレージョン」と言いますが、この時の葡萄の実は、食べてみると硬くて酸っぱく、pHが低い状態になっています。それまでに充分なミネラルの蓄積量があると、熟していく過程でpHが上昇しないで維持したまま収穫の日を迎えることができます。工場に運び込みワインを作るとき、pHが低い葡萄は酸化が起こりにくいので、酸化防止剤の量が少なくて済みます。その結果、葡萄の皮にくっついて運び込まれていた発酵力の弱い野生酵母たちに、ダメージを与えずに済みます。酸化防止剤が不要な、pHが低い状態の葡萄を工場に運ぶことで、良い状態の発酵を実現するというのが、奥野田ワイナリーの葡萄の栽培とワイン醸造を一体化させた、一定の品質を保つための全体アプローチです。

葡萄の生態を熟知し、葡萄と長く共存しながらいかにおいしいワインを作っていくか、葡萄栽培とワイン造りの奥深さを学んだ1日でした。

コラム:奥野田ワイナリーの挑戦 詳しく見る
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