GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. ICTのmikata>
  3. 第06回 売れないブドウをバカ売れさせた「たった一言」 −PDCAからOODAへ発想の転換−

第06回 売れないブドウをバカ売れさせた「たった一言」 −PDCAからOODAへ発想の転換−

その経営企画の仕事は正しいか?〜新時代にふさわしい経営戦略のありかた〜(全10回)

田中公認会計士事務所所長
田中 靖浩 氏

2016年10月03日更新

ある地方スーパーの売り場にて

ある地方都市で店を構えるスーパーマーケットのお話です。
とても美味しくて、価格も安いブドウを売ろうとしますが、思ったほど売れ行きがよくない。お客さんはブドウを手には取るものの、すぐ棚に返してしまう。
「なぜだろう?」
店長はそんな顧客の様子を観察しながら、「買ってもらえない理由」について考えました。そして、ブドウの値札に「たった一言」を書き加えたのです。結果としてそのあと、ブドウは飛ぶように売れていきました。
読者の皆さんも考えてください。店長さんは、いったい何を書いたのでしょうか?

お客さんに対する観察眼が商売の分かれ目

店長はブドウの値札に「タネなし」と書き加えました。
答えを聞けば「な~んだ」という話です。しかし、これを思いつくかどうかが勝負の分かれ目ならぬ「商売の分かれ目」なのです。
この店長さんのお店は、不況下にあって業績を伸ばしています。これは大げさな経営計画や予算管理のおかげではなく、店長さんの顧客に対する観察眼がゆえだと思います。
近年、スーパーの売り場でもレジにPOSが導入され、さまざまなデータを入手・分析することが可能になりました。
しかし商売の一番の根本は「目の前のお客さんに対する観察眼」です。それは自分を主人公に「売れない理由」を探すのではなく、お客さんを主人公に「買わない理由」を探す姿勢です。

米軍の生み出したOODAループ

黙っていては売れない時代、また何が売れるのか読めない時代。
そんな「先行き不透明な環境」はビジネスよりも先に軍事において発生しています。
ゲリラやテロリストとの戦いでは、敵がどこで何をしてくるか全く分からず、「事前に綿密な作戦計画をつくって対応する」ことができません。
だからこそ米軍はOODAという新思考を生み出しました。OODAは(Observe:観察、Orient:方向付け、Decide:決心、Act:実行)のループです。OODAの特徴は、我々が知るPDCAと比べることによって明らかにできます。

「売れない理由」から「買わない理由」への発想の転換

もっとも重要なポイントはPDCAが自らの計画から始まるのに対して、OODAは相手の観察から始まっている点です。
これはPDCAの主人公が「自分」であり、OODAの主人公が「相手」であることを意味します。
たとえば先ほどのスーパーでいえば、自らの売上予算を立て、これをどうやって達成しようかと「自分」中心に考えるのがPDCAです。そこでは「売れない理由」を考えることになりがちです。
これをさらに一歩進めて、お客さんを主人公に「買わない理由」を考えるのがOODAです。そこでは何よりお客さんの行動に対する「観察(Observe)」から始まるというわけです。

PDCAからOODAへ

わが国のビジネス界において、いまやPDCAは「反論しようのない常識」となった感があります。
PDCAは自らが主人公となって各種データ分析を行い、それをもとに立派な計画(P;Plan)をつくります。それを組織全体で実行する。もしうまくいかなかったときは原因を分析して将来に活かす。
そんなPDCAサイクルは、とくに20世紀ものづくり型産業において効果的に機能しました。
しかしものづくりから一歩進んだ情報・サービスなどの新産業において、「立派な計画とその実直な実行」プロセスは実効性を失ってきたのもまた事実。
「ここを目指そう」と将来の計画を掲げるPDCAに対し、「顧客の行動」を観察するOODAは「いまここ」に意識を集中する思考プロセスです。主人公の違い、いつの時点に意識を向けるのかの違い、そのほかさまざまな点でPDCAとOODAは異なります。
従来のPDCA的な経営計画・予算管理でうまくいくなら問題ありません。しかし、それでうまくいかないことが起こっているとしたら、PDCA的「計画による管理」を見直すことが必要です。そこでOODAは大きなヒントを与えてくれます。
次回はPDCAとOODAの使い分けについて考えてみることにしましょう。

著者プロフィール

田中 靖浩 氏

田中公認会計士事務所所長

田中 靖浩 氏

公認会計士、東京都立産業技術大学院大学 客員教授

1963年三重県四日市市出身。早稲田大学商学部卒業後、外資系コンサルティング会社を経て現職。中小企業向け経営コ ンサルティング、経営・会計セミナー講師、執筆、連載を行う一 方、落語家・講談師とのコラボイベントも手がける。 難解な会計・経営の理論を笑いを交えて解説する「笑いの取れる異色会計士」として活躍中。
主な著書に「良い値決め 悪い値決め」「米軍式 人を動かすマネジメント」「経営がみえる会計」「クイズで学ぶ孫子」(以上、日本 経済新聞出版社)「40歳からの名刺を捨てられる生き方」(講談社) ほか多数。最新刊は「値決めの心理作戦 儲かる一言 損する一言」(日本経済新聞 出版社より2017年3月発行)

経理部門応援プロジェクト 戦略経理フォーラム 詳細はこちら

お問い合わせ

Webでのお問い合わせ

入力フォーム

当社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用しております。

お電話でのお問い合わせ

0120-835-554 お客様総合センター

受付時間 9時から17時30分まで
(土日、祝日及び当社指定の休業日を除く)
[注] お問い合わせ内容の正確な把握、およびお客様サービス向上のため、お客様との会話を記録・録音させて頂く場合がありますので、予めご了承ください。