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第05回 予算管理が成功する条件 −20世紀初めの経済環境を振り返る−

その経営企画の仕事は正しいか?〜新時代にふさわしい経営戦略のありかた〜(全10回)

田中公認会計士事務所所長
田中 靖浩 氏

2016年09月01日更新

デトロイトからはじまった20世紀工業社会

いまや生活を豊かにするどころか、生活そのものとなったインターネット。そのはじまりはいつ頃だったか、覚えていますか?
Yahoo!JAPANがわが国でインターネット検索サービスを始めたのは1996年。ちなみにこの年には「ぐるなび」もスタートしています。振り返れば、この1996年あたりが「ネット元年」といえそうです。
さて、ここから時計の針を戻すこと100年、1896年のアメリカ。この19世紀の終わりにヘンリー・フォードが自らの試作自動車でデトロイトの街を走りました。
ヘンリー・フォードは20世紀になってから世界初の量産自動車T型フォードを完成させ、大量生産・大量販売を始めました。ここから工業社会の幕が開いたのです。

工業時代の申し子、予算管理

ヘンリー・フォードがフォード社を設立したのは1903年。フォード社はその後に続く「工業社会の模範」となる生産システムを完成させました。それがベルトコンベアーによる大量生産です。顧客から舞い込む注文に応えるべくたくさん作る。またたくさん作ることでコストを削減し、低価格での販売を実現する。こうした大量生産&スケールメリットはフォードから始まったと言っても過言ではありません。
フォードが自動車を大量生産・大量販売した20世紀の前半は、人々が「自動車を求めている」環境にありました。
第一次世界大戦による短期的な需要の変化はあったものの、基本的に需要は右肩上がり。自動車に対する需要は旺盛で、「作れば売れる」環境だったわけです。
そこでは「販売と生産の数量調整」が重要な経営課題でした。この「販売と生産の数量調整」を行うために用いられた管理ツールが「予算」です。
あらかじめ「何台売れるか」を予測し、そのために「何台作るべきか」を決める。それに沿って顧客からの売上と、支払いのコストを予測しておく。こうした「あらかじめの計画=予算」をつくって現場を管理すれば、経営はうまくいく−−これが予算管理です。

崩れつつある予算の前提

私たちにとってビジネスの「常識」となった予算管理は、20世紀初頭の製造業から始まりました。
その頃は「モノを持たない」人々の多い「作れば売れる」環境だったのです。このような環境では、どれだけ売れるかという販売予測を比較的正確に行うことができました。
ここは非常に重要なポイントです。「販売予測の正確性」は予算を成立させる、もっとも重要な前提なのです。販売予測、つまり売上高をある程度正確に予測できるからこそ、そこから逆算してコストを見積もることができるわけです。
そして時は流れて現在の21世紀。産業の主軸が情報やサービスに移るにつれて、販売予測がだんだん困難になってきました。これは予算が成立する、そもそもの前提が崩れてきたことを意味します。

もの余り時代に求められる予算の見直し

「予算」の背景には、計画から始まるPDCA思考があります。まず計画を作って、それに沿って実行を管理すること。20世紀の初めにはPDCAに基づく予算管理がうまく機能しました。それは販売予測が可能だったからです。
しかしいまのようなモノあまり時代には、すべての製造業で「作っても売れない」現象が発生しています。そこでモノ余りによる値下消耗戦が勃発している事実は、すでにこの連載でも指摘した通り。21世紀の今、私たちは根本的な発想の転換を求められているように思います。
ここで軍事に目を向けてみましょう。すでに米軍では、PDCA的に単純な「計画による管理」に修正を加え、新たなOODA(ウーダ)と呼ばれる思考様式を開発しています。
OODAは(Observe:観察、Orient:方向付け、Decide:決心、Act:実行)のループです。OODAは機動戦を戦う上で重要な役割を果たします。
次回、OODAに基づく機動戦の内容を説明しつつ、それをビジネスに活かす方法について考えることにしましょう。

著者プロフィール

田中 靖浩 氏

田中公認会計士事務所所長

田中 靖浩 氏

公認会計士、東京都立産業技術大学院大学 客員教授

1963年三重県四日市市出身。早稲田大学商学部卒業後、外資系コンサルティング会社を経て現職。中小企業向け経営コ ンサルティング、経営・会計セミナー講師、執筆、連載を行う一 方、落語家・講談師とのコラボイベントも手がける。 難解な会計・経営の理論を笑いを交えて解説する「笑いの取れる異色会計士」として活躍中。
主な著書に「良い値決め 悪い値決め」「米軍式 人を動かすマネジメント」「経営がみえる会計」「クイズで学ぶ孫子」(以上、日本 経済新聞出版社)「40歳からの名刺を捨てられる生き方」(講談社) ほか多数。最新刊は「値決めの心理作戦 儲かる一言 損する一言」(日本経済新聞 出版社より2017年3月発行)

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