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第07回 近い未来を示すAIは使い方が重要 ~将来予測~

AI活用の「いろは」

株式会社チェンジ 執行役員
株式会社ボイスタート 取締役
高橋 範光 氏

2019年03月20日更新

ここまでAIが果たす役割を6つに分けて紹介してきましたが、今回はその6回目、役割の紹介についての最終回となります。6つ目の役割は、「補助」「提案」の中で、製造業や金融などさまざまな分野で期待が寄せられている支援的な役割「将来予測」について紹介していきます。

AIが示す近未来

アメリカでは、Predpol社が提供する同名の「Predpol」と呼ばれる犯罪発生予測サービスが5年以上前から存在しています。これは、アメリカの連邦捜査局、FBIが公開する犯罪データベースを活用し、「犯罪タイプ、発生場所、日時」をAIが予測するもので、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で研究・開発されました。

実際に、アメリカの警察では、このPredpolを導入して、パトロール当日のルートを最適化するのに使用しており、すでに犯罪発生率を低減する効果を生み出しています。

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また、その後アメリカでは、過去の犯罪情報に加え、周期、天候、施設、経済状況などの情報も組合せて、犯罪発生を良くするサービス「Hunchlab」なども公開されました。日本国内でも、京都府が2016年ころから犯罪発生予測システムの開発・導入を進めており、今後の導入拡大が予測されます。

もう少し身近なAIによる予測の事例でいうと、気象予報が挙げられます。気象予報は、天候や気温などを予測するものですが、最近はとくに異常気象のためか頻繁に発生するゲリラ豪雨の予測なども行われるようになってきており、1時間先までの5分ごとの降水量を高精度に予測することが可能です。

すでにWebサイトやスマホアプリなどにも搭載されている機能を使うことで、一時的なゲリラ豪雨を回避することも可能なため、筆者もしばしば移動時に利用しています。

一方で、気象予報といえば他によく出てくる台風の進路予想や週間予報などは、なかなか当たらないという印象を持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際、ゲリラ豪雨予測は、1時間先までなので比較的予測しやすいのに対して、台風や週間予報の場合、予測するための外的要因が多く、また、その影響が時間を追って大きくなり、どうしてもなかなか予測が当たらないというのが原因と考えられます。

この事例からもわかることですが、AIを用いた未来予測に高い精度が期待できるのは、近い未来における予測の場合であり、遠い未来やいつ起こるか不明確な状態を予測する場合はまだまだ精度が上がらないということを前提として取り組む必要があります。

未来の予測はその情報の使い方が重要

冒頭、犯罪予測AIについて書きましたが、トムクルーズ主演の映画「マイノリティレポート」を思い出した方もいらっしゃるのではないでしょうか。「マイノリティレポート」に登場する犯罪予測システムは、犯罪発生場所や時間だけでなく、犯罪者が誰かまで特定し、犯罪が発生する前に逮捕されてしまうというものでした。

しかし、この利用方法は、人権侵害につながる危険もあり、実際に適用されることは現時点ではありえないでしょう。AIを用いた予測は、前の章で記載した精度の問題とともに、どのように利用するかを考える必要があります。

たとえば、製造業において工場における故障の予測、すなわち故障の予兆把握への期待は大きなものがあります。予兆把握ができれば、故障を回避でき、歩留まりを上げることができるからです。ただし、予兆を把握できたとしても、故障前にメンテナンスができる体制や仕組みが整備できなければ、この情報は価値を生み出しません。

金融業界では、株などのさまざまな金融商品の価格予測AIに取り組んでいます。たとえば価格が下がることが予測できれば、その前に売ればいいわけですが、これを実現するには、競合他社よりもいかに早く売れるかという仕組みの開発が重要です。というのも、もし、他社が同じようなAIを開発し、先に売れる仕組みを開発していたとしたら、結局予定していた価格から下がってしまい、利益が得られないからです。

一方で、先述したゲリラ豪雨の予測のようなデータは、雨の回避行動や防災の観点からの利用以外にも、タクシー会社では、流しのタクシーをゲリラ豪雨発生予測場所に集結させることで売上拡大につなげたり、コンビニでは倉庫にある傘を店舗に出すことで売上拡大につなげたり、さまざまな活用方法が検討されています。

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予測AIの導入を検討するには、まず、その予測結果の活用方法できる限り具体的に検討してから始めることをおすすめします。

「ニーズの予測提案」と同様に、よい意味での「割り切り」が重要

前回の「ニーズの予測提案」では、「よい意味での『割り切り』」が重要であると記載しましたが、今回の「将来予測」においても、同様のことが言えます。

将来の予測には、必ず限界があります。犯罪の発生予測サイトが公開されないのは、公開してしまえば、だれもがその情報にアクセス可能となり、犯罪者がもしその情報に触れれば、そこで犯罪をおこそうとしなくなるからです。結果、その場所での犯罪は抑止されるかもしれませんが、別の場所で犯罪が起きるかもしれませんし、いずれにせよ予測は外れてしまうことになります。

また、金融商品の将来予測でも同じことがいえるでしょう。本来、株や商品の売買においては、全員が得をすることはなく、また全員が損をすることもなく、損をする人もいれば得をする人もいて相殺されるという状態になるはずです。全員が買うのであれば、そこに売り手は存在しないですし、逆も然りなのです。

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そして、工場での予兆段階での故障発見についても同様です。もし予兆がみつかり、それによってメンテナンスを事前におこなうとすると、その後本当に故障が発生したのかどうかはもう誰にもわからない次元の話となってしまうのです。

だからこそ、ある程度よい意味での「割り切り」をもって利用しない限り、いつまで経っても実用化できないということになりかねません。

次回からは、AI実装の2つのポイントをご紹介

ここまで、AIの6つの役割を紹介してきましたが、次回からは実際にAIを実装していく際に気をつけるべき2つのポイント「AIを作るか使うか」「AIと寄り添う」について紹介していきます。

次回の第8回は、「AIを作るか使うか」をご紹介していきます。AI実装において重要な「教師用データの有無」と密接に関連するテーマとなります。また、クラウド利用に関するヒントもご紹介していきます。

著者プロフィール

高橋氏

株式会社チェンジ 執行役員
株式会社ボイスタート 取締役
高橋 範光 氏

株式会社チェンジ執行役員として、ビッグデータやAI(人工知能)に従事

  • 株式会社ボイスタート取締役
  • ビッグデータマガジン編集長
  • 総務省統計局データサイエンス・オンライン講座「社会人のためのデータサイエンス演習」講師
  • 独立行政法人情報処理推進機構 第4次産業革命に対応したスキル標準検討WG委員
  • (一社)オープンガバメント・コンソーシアム 高度IT人材育成分科会理事
  • (一社)データサイエンティスト協会 スキル委員
  • 大阪府立大学 非常勤講師
  • 著書:道具としてのビッグデータ(日本実業出版)

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