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第05回 最適行動の提案 ~ベテランによるアシスタントAI~

AI活用の「いろは」

株式会社チェンジ 執行役員
株式会社ボイスタート 取締役
高橋 範光 氏

2019年01月18日更新

前回までは「自動化」(第4回 コラムはこちら)、すなわち「AI」が自律的に答えを出し、時には作業を自動化してくれる活用事例をご紹介してきましたが、この第5回からは、もう1つの役割にあたる「補助/提案」に移っていきます。これは、「自律的」というよりは「支援的」な役割を担っており、我々の意思決定や作業を「補助/提案」してくれると考えるとよいでしょう。今回はそのうちの1つ目「最適行動の提案」について紹介していきます。

プロの勘や経験を示してくれるAI

現在、私は出張で沖縄に来ています。ほぼ土地勘がなく、約15年ぶりの沖縄なのですが、たとえば有名な観光地である守礼門に行きたいと思ったとしても、どうやって行けばいいか皆目見当がつきません。このような時、宿泊しているホテルの受付で聞くこともできますが、Googleで「守礼門の行き方」と検索をすれば、1秒も待たずに、現在地から守礼門への行き方を、車、電車、徒歩のそれぞれの方法でのルートと時間を表示してくれます。

このように、経験を積んだ人であればその経験から簡単に答えを導き出せるような問題に対して、AIが同様の答えを示してくれるのが「最適行動の提案」です。
たとえば、日頃から車に乗る人はよく行く場所への車での移動は難なくおこなえるでしょう。しかし不慣れな場所への移動の場合、当然、地図を見てルートを確認したり、カーナビを利用したりするはずです。このカーナビというシステムは、まさに「最適行動の提案」であり、AIを活用したシステムです。

しかも、冒頭でご紹介したGoogleによるルート検索や最近のカーナビは、単に距離上の最短ルートを提示するのではなく、現在の道路の混雑状況や電車の運行状況などを加味した上で最速となるルートを表示してくれるようになっており、旧来の仕組みに比べるとさらに高度化されたものとなっています。
実際、経験の浅いタクシードライバーが、最速で目的に到達するためのルートを検索するのにAIを活用する実証も行われています。

経験値の差が結果の差につながるような業務での利用が最適

では、「最適行動の提案」はどのようなときに利用を検討するとよいのでしょうか。
野菜農家の事例で考えてみましょう。経験を積んだ農家では、肥料や水やりのタイミングを心得ており、収穫量を最大化できます。一方で新規就農の農家では、最適なタイミングがつかめず、その結果収穫量が半分程度にとどまってしまったり、時には病害によって収穫ができない事態になることもあったりするといわれています。

もちろん、経験者のアドバイスを得られればいいのですが、実際には畑の状況を観察しながらのアドバイスが必要となるので、継続的なアドバイスは困難でしょう。そこで、最近では新規就農者の最適行動を支援するようなAIが登場してきています。
このように、経験の差が結果の差に大きく影響を及ぼすような業務において、「最適行動の提案」は有効であるといえます。

他にも、執筆業務なども、経験の差が現れる業務です。文字や表現に誤りがないかを確認する校正作業や、内容に不備や誤認がないかを確認する校閲作業などをおこなうAIもあります。私も最近原稿を書く際には、このようなAIを利用する機会が増えてきていますが、基本的な文章の誤りなどを簡単に見つけられるので、非常に役立っています。

マシンの高速化が「最適行動の提案」に価値をもたらす

ここまでご紹介した「最適行動の提案」で扱われる問題のいくつかは、「組み合わせ最適化問題」と呼ばれ、その組み合わせが増えると爆発的に計算量が増加するため、本来解決が困難であった問題に対して、計算量をおさえる仕組みとして以前からAI(アルゴリズム)が検討されてきました。
とはいえ、以前は、非常に大きい計算量を前にどうしても結果が出るまでにある程度の時間を要したため、瞬時の判断を求める多くの業務ではAIの利用が現実的ではありませんでした。

これが最近のマシンの高速化によって、瞬時に最適解を導き出せるようになったことで、ルート検索や農業などのあらゆる場面での利用が進み、価値をもたらすようになってきたといえます。
よく、AIの議論において、「昔からある技術だ」という意見を聞くことがありますが、実際にはアルゴリズムとして新しいか古いかは重要ではなく、実用的になったかどうかが重要であり、その観点においては「マシンの高速化」がもたらした価値は非常に大きいといえます。

最適行動の提案は、“専門家不足の補完”や“経験の浅い人の成功体験”に活用

「最適行動の提案」の役割によって、「プロや専門家を代替できるようになるのでは?」という意見を耳にすることもあります。しかし、これは、プロや専門家の一部である「経験によって知り得た知識」についての役割を代替するだけであり、プロや専門家の全てを代替できるわけではありません。
実際、ここまでご紹介した事例でも、専門家が不足している現場における業務推進や、初心者の成功体験創出などが多く、今後もこのようなケースで役立てられる事例が増えてくることでしょう。

ただし、「経験によって知り得た知識」だけで勝負をしている専門家がいるとするならば、それだけでは確実に太刀打ちできなくなるのは確かでしょう。そして、今後、AIが人と共存する世界において、プロや専門家に求められる本当の役割とは何かについても議論されてくることになるでしょう。

第5回では、6つの役割の4つ目「最適行動の提案」を紹介しました。
次回は、6つの役割の5つ目「ニーズの予測提案」について紹介していきます。今回の「最適行動の提案」と非常に似ているように感じますが、それらの違いをわかりやすくお伝えしていきます。

著者プロフィール

高橋氏

株式会社チェンジ 執行役員
株式会社ボイスタート 取締役
高橋 範光 氏

株式会社チェンジ執行役員として、ビッグデータやAI(人工知能)に従事

  • 株式会社ボイスタート取締役
  • ビッグデータマガジン編集長
  • 総務省統計局データサイエンス・オンライン講座「社会人のためのデータサイエンス演習」講師
  • 独立行政法人情報処理推進機構 第4次産業革命に対応したスキル標準検討WG委員
  • (一社)オープンガバメント・コンソーシアム 高度IT人材育成分科会理事
  • (一社)データサイエンティスト協会 スキル委員
  • 大阪府立大学 非常勤講師
  • 著書:道具としてのビッグデータ(日本実業出版)

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