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Japan

第06回 「就業規則、今のままでは問題あり」

社労士に学ぶ「社員トラブルなどの労務相談を通じてアドバイスしてきたノウハウ」

社会保険労務士事務所 SRO労働法務コンサルティング
代表 杉本 一裕(スギモト カズヒロ) 氏

2011年11月22日更新

社員がクレーマーに

イメージ 今回は、社員のクレーム対応について、お話します。

例えば食品の注意書きを例にして、ラップ類やごみ袋などには通気性がないため頭から被らないように、また食品の入った容器は食べられない事など、当たり前の内容が記載されている事を見かけます。

社内においても、考えられないようなクレームをつける社員が現実に存在しています。

何か問題が起こった時に、ある社員は「どこに規程がある?」と言って、もめるケースも起き、注意書きレベルまで書かないといけないような状況が訪れるかも知れません。

社員からのQAやクレームの内容が非常識化しているものがあり、このような事案に人事部門は対応していかなければなりません。
そのためにも、合理的な論理で対応するために就業規則を整備し、また就業規則は一度作ったら終わらずに時代に即して変化修正を加え、さまざまな社員トラブルも含めて対応できるように、日頃から見直していく事が必要です。

就業規則、簡潔が良いとは限らない

経営者の中には、「当社の就業規則は簡潔で、ページ数も少なく見やすい」というような話をされる時があります。
「社長、それは違います。簡潔は良いのですが、会社の実情に即して規制すべきことは、全部書かないといけません」と私よりアドバイスします。
就業規則を簡潔に書くのはOKなのですが、省略してボリュームを少なくしてはいけません。
必要と思われることは全て記載しておかなければ、労務問題が起こった時に対応できないのです。

何故なら、就業規則は会社の法であり、規則に書かれていることがルールとなるからです。
会社と社員との間のトラブル解決においては、法律と同様に就業規則に書かれていることが判断材料とされます。

具体的に記載しないがゆえに、トラブルになるケースと就業規則の修正例を紹介します。

休職、復職の繰り返し(休職期間満了か否かでトラブルになるケース)

規程に、休職可能日数しか書かれていない場合によく起こるトラブルです。

休職している社員が休職可能日数以内に出勤し、再度すぐに休職に入った場合に、社員は休職可能日数が、ゼロクリアされるはずだと主張し、会社内でトラブルになる事があるのです。
出勤をはさむ前後の休職期間は、休職を通算できる規程が良いでしょう。

規程化ポイント

  • 欠勤した者が出勤後、再び類似の事由により欠勤した場合、前後の欠勤は連続しているものとみなす。

というような文言が必要です。

退職前のまとまった年休請求でトラブルになるケース

社員が休職取得日数ぎりぎりの日に退職を申し出て、しかも年休取得を主張した場合、法律上社員の請求日数は与えなければなりませんが、業務の引継ぎ等ができないのでトラブルになる場合があります。

規程化ポイント

年休取得の権利を奪うことはできませんので、退職願いの時期や引継ぎを明確に義務化し、労務の提供を促します。

  • 退職は○○カ月前までに申し出ること
  • 退職までに引継ぎを行うこと

また、急な長期休暇の取得も同様にトラブルになるケースが多いので

  • 連続する3日以上の休暇取得の場合は、1週間前までに所属長に申請すること
  • 休暇前までに、引継ぎを終了し業務に支障がでないようにすること

などを規程化し、身勝手な休暇取得をけん制します。

退職予定(賞与支給前)の社員から請求

賞与支給日前に退職予定の社員から「賞与査定期間は在籍していたので賞与を支払って欲しい」と求められ、トラブルになるケースです。
賞与支給の規程で「在籍日要件」が書かれていないために、トラブルになる場合があります。

規程化ポイント

「賞与は支給日当日に在籍する社員に対して支給する」などを記載すべきです。

賞与支給 入社1カ月目の社員より賞与がないとクレーム

支給対象の社員の在籍期間などが規程化されていないため、トラブルになるケースです。

規程化ポイント

「賞与は雇用後6カ月間は支給しない」など、その在籍期間の要件を記載すべきです。

賞与支給 支給額が少ないとトラブルになるケース

就業規則に「基本給の○カ月を支給する」と記載している条文の規程も見かけることがあります。
昔は多かった雛形パターンです。しかし、具体的に○カ月分と記載がある限り支払わなくてはなりません。実態と合わないなら修正が必要です。

「昇給がない!」とトラブルになるケース

よく見受けられる規程に、 「昇給は年1回行う」。

これでは、誰が見ても昇給する、また給与が毎年上がるイメージです。
それはおかしいと思う経営者層も多いですが、会社は会社が有利なほうに、社員は社員が有利なほうに解釈します。

規程化ポイント

昇給は「賃上げ」というイメージが強く、また昇格降格があるなら、昇降格とすべきです。

就業規則は社内における労務の法律と同様です。

今回は、社員トラブル例と就業規則の修正について書かせて頂きました。
就業規則は内容が多いため、リスクを回避するポイントを説明するため数例を挙げましたが、他にも多々あります。 考え方を参考にし、就業規則の見直しに役立てて頂ければ幸いです。

著者プロフィール

杉本 一裕(すぎもと かずひろ) 氏

社会保険労務士事務所 SRO労働法務コンサルティング

杉本 一裕(すぎもと かずひろ) 氏

社会保険労務士事務所 SRO労働法務コンサルティング 代表

取得資格
・特定社会保険労務士(社会保険労務士/裁判外紛争手続代理人)
・衛生工学衛生管理者
・第1種衛生管理者
・SAP HRコンサルタント

社労士略歴
1989年 社会保険労務士試験に合格、社会保険労務士会に入会
2006年 日本弁護士会の司法担保能力研修終了、特定社会保険労務士試験合格
2006年 特定社会保険労務士として付記登録(紛争解決手続代理業務を行なえる社会保険労務士)
2007年 総務省 年金記録確認/第三者委員会にて専門調査員として活動

著訳書
「よくわかる人事給与業務とコンピュータ活用」(翔雲社)

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