Skip to main content

Japan

人工知能開発で実用化が期待される量子コンピュータは何がすごいのか?

酒井 麻里子 氏

2016年12月01日更新

イメージ IBMがプラットフォームをクラウドで公開し、注目が高まっている量子コンピュータ。情報処理の基本素子に「量子ビット」を利用することで情報処理能力が飛躍的に向上し、従来のコンピュータと比べて圧倒的に高速な計算ができることから活用が期待されています。人工知能の開発には欠かせないといわれている量子コンピュータに関する基礎知識とその可能性を紹介します。

量子コンピュータとは?

量子コンピュータとは、量子力学の原理を応用して計算を行うコンピュータのこと。従来のコンピュータで情報の基本単位として使われる「ビット」が0または1のいずれかの値を取るのに対して、量子コンピュータの基本単位である「量子ビット」は、0である場合と1である場合の両方の状態を同時に計算できるという性質をもっています。このため、従来のコンピュータに比べて大幅に短い時間で計算を行えるのです。

量子コンピュータは1990年代から開発が進められていたものの、実用化するのは数十年先になるのではといわれていました。ところが、予測より大幅に早い2011年に、カナダのD-Wave Systems社が「量子アニーリング方式」の量子コンピュータの商用化に成功します。

量子コンピュータが注目される理由は?

米航空宇宙局(NASA)と米Google、米大学宇宙研究連合が共同で設立した量子人工知能研究所(QuAIL)は2015年12月、D-Waveの量子コンピュータ「D-Wave 2X」を2年間にわたって運用した結果として、既存のコンピュータに比べて最大1億倍高速に「組み合わせ最適化問題」を解いたと発表しました。

この「組み合わせ最適化問題」が適用される分野に、人工知能の開発で使われる「機械学習」や「ディープラーニング」があります。つまり、D-Waveで最適化問題を解くことによって、機械学習やディープラーニングにおける計算処理を大幅に高速化できる可能性があるということです。

各国で開発が進められている

量子コンピュータを大別すると「量子ゲート方式」と「量子イジングマシン方式」に分類でき、さらに量子イジングマシン方式は「量子アニーリング方式」と「レーザーネットワーク方式」に分けることができます。先述のD-Waveは「量子アニーリング方式」ですが、他の方式の量子コンピュータへの期待も高まっています。

日本発の量子コンピュータである「レーザーネットワーク方式」の開発を手がける国立情報学研究所(NII)の山本喜久教授の研究チームは、2014年3月に実マシンを使った動作原理の確認に成功したと発表しました。2019年までの実用化を目標としており、「2の5000乗回の繰り返し計算を10マイクロ秒で完了できる」マシンの実現をめざしているとのこと。

また、「量子ゲート方式」の量子コンピュータの開発を手がける米IBMは2016年5月、量子コンピューティングプラットフォーム「IBM Quantum Experience」を公開しました。パソコンやスマートデバイスからIBMの量子プロセッサにアクセスすることで誰でも実験に参加でき、アルゴリズムの実行や個々の量子ビットの操作、量子コンピューティングで何を実現できる可能性があるかに関するチュートリアルやシミュレーションの探索などが可能です。

人工知能開発を支える存在に

さらに、米Googleは2016年6月に科学誌『Nature』にて、現在の「量子アニーリング方式」の量子コンピュータが抱える課題の解決につながる技術を開発したという論文を発表しました。

各国が開発を急ぐ量子コンピュータは、人工知能の開発において非常に重要な位置を占めています。量子コンピュータの開発と実用化が今後さらに進むことで、同時に人工知能技術もさらに発展していくことが期待できるのです。

著者プロフィール

酒井麻里子 氏

酒井 麻里子 氏

IT系コンテンツを多数手がけるライター。著書に『これからはじめるスマホユーザーのためのLINE Facebook&Twitter安心・かんたんスタートブック』(秀和システム)など。
初心者ユーザーに向けたスマホやPCソフトの使い方から業界最新ニュース、Webマーケティングまで、ITに関することを幅広く扱っています。

関連情報

参考リンク

お問い合わせ

Webでのお問い合わせ

入力フォーム

当社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用しております。

お電話でのお問い合わせ

0120-835-554 お客様総合センター

受付時間 9時から17時30分まで
(土日、祝日及び当社指定の休業日を除く)
[注] お問い合わせ内容の正確な把握、およびお客様サービス向上のため、お客様との会話を記録・録音させて頂く場合がありますので、予めご了承ください。