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第02回 「タレントマネジメントシステム」の波が押し寄せてきた

今、マネジメントに必要なシステムについて考える

インフォテクノスコンサルティング株式会社
セールス・マーケティング事業本部長 大島 由紀子 氏

2012年11月22日更新

今、「タレントマネジメントシステム」が話題に

今、日本のIT業界では「タレントマネジメントシステム」が大変ホットな分野になっています。2012年に入って、世界的な大手IT企業が「タレントマネジメントシステム」「人事関連システム」を専門的に手掛けていた企業を次々に買収しました。そうした企業も含め、海外ベンダーが日本に進出してきており、積極的なマーケティング・営業攻勢をかけています。

一方、日本の人事システムベンダーも「タレントマネジメント」の分野に注目し、これに対応しはじめました。さながら「タレントマネジメントシステム」戦争勃発前夜といった様相を呈しています。この状況は、この分野が一気に成熟する大きなチャンスであると同時に、ユーザーが賢くその本質を見極めていかないと、様々な情報に流されて、思っていなかった落とし穴に落ちる危険性もあるということでもあります。今回は、この「タレントマネジメントシステム」について考えてみたいと思います。

そもそも「タレントマネジメント」とは?

「タレントマネジメント」という概念自体は欧米から入ってきたものです。その定義については、以下のようなものが挙げられます。

  • 人材の採用、選抜、適切な配置、リーダーの育成・開発、評価、報酬、後継者養成等の各種の取り組みを通して、職場の生産性を改善し、必要なスキルを持つ人材の意欲を増進させ、その適性を有効活用し、成果に結び付ける効果的なプロセスを確立することで、企業の継続的な発展を目指すこと。(米国人材マネジメント協会(SHARM)より)
  • 仕事の目標達成に必要な人材の採用、人材開発、人材活用を通じて、仕事をスムーズに進めるために最適な職場風土、職場環境を構築する短期的/長期的、統合的な取り組み。(米国人材開発協会(ASTD)より)

これらを読んでみると、欧米から入ってきた概念とはいえ、従来から人事部を含む人材マネジメントに関わる部署・人が担ってきたこと、もしくは担うことを期待されてきたことが、簡潔に明確にまとめられているという印象を持つのではないでしょうか。つまり、これまでに見たことも聞いたこともない、まったく新しい世界の話ではない、ということです。

ただ、「タレントマネジメント」が語られる際には、欧米企業において、もしくはそこから派生してグローバルな環境に適用したときに選択される施策についての話になっていることがあります。そのため、一般的な「タレントマネジメント」の概念を自社に当てはめた場合に取るべき施策について考える余地が、気がつかないうちになくなってしまっているケースが少なくありません。この点については、常に自覚的である必要があります。

現在の「タレントマネジメントシステム」に対する留意点

現在(2012年10月)、「タレントマネジメントシステム」の名称で呼ばれるシステムは欧米発のものが主流です。そこで提供される機能は、欧米の多くの企業で採用されている施策を反映しています。それに対して国内のベンダーが、これまでの資産や新機能を活用して、「タレントマネジメント」(欧米/グローバル企業の手法および一般概念)の分野へのサービス提供を急速に進めているというのが現状です。

「タレントマネジメントシステム」の導入を検討するにあたって、3点の落とし穴が潜んでいることを覚えておく必要があるでしょう。

ひとつは、欧米型の「タレントマネジメント」の機能が、現在および近未来の自社の「タレントマネジメント」「人材マネジメント」をカバーできるのか(適合するのか)、という点です。

確かに「グローバル化」が多くの企業にとっての大きな課題となっている昨今、欧米のグローバル企業での「タレントマネジメント」のベストプラクティスが集められた「タレントマネジメントシステム」は魅力的です。グローバル化に向かう自社にとって必要となる「タレントマネジメント」は何なのかを考える際に、システムが提供する各種機能を参考にしてみようと思うことは、自然の流れでしょう。これを否定するものではありません。

この点については、次のセクションで、先月シカゴで観てきた欧米型システムの最新事情を交えてご説明します。

二つ目が、パッケージソリューションの本質は、ベストプラクティスの集合体。つまり、多くの企業にとって最適であるものの集まりである、ということです。一方、自社の人材(タレント)をマネジメントしていくことは、それぞれの会社の戦略であり、本来、他社と横並びのベストプラクティスをそのまま適用できる世界ではないはずです。そうした「戦略」を、どこまでパッケージソリューションに任せることが可能なのか。冷静に判断しなければ、本来実現したかったことと、実現できることに大きなギャップが生じる危険性があります。

三つ目が、制度としての「タレントマネジメント」(欧米/グローバル企業の手法および一般概念)のPDCAを回せるような環境を持つことができるのか。つまり、そもそも自社に最適な「タレントマネジメント」とは何かを思考するためのツールとなりえるのか。更には一旦確立した「タレントマネジメント」を評価し続けていくための手段を持っているのか、という点です。

欧米発であっても国産であっても、パッケージソリューションが提供する多くの機能は、あくまで「『タレントマネジメント』(欧米/グローバル企業の手法および一般概念)に対するひとつの解決策」です。その評価、それに基づいた修正ができる環境も伴わなければ、形骸化した運用を続けることになったり、システムが使われなくなったりする危険性をはらんでいます。

アメリカの人事関連システムのコンファレンスに参加してみて

今年の10月8日から10日にかけて、米国シカゴで開催された「HR Technology」に参加してきました。今年で15年目を迎える、人事関連のシステムに関する大規模なカンファレンス+展示会です。そこでホットな話題となっていたことの一つが、ソーシャルメディアを活用した採用システムです。

FaceBookやLinked inなどのソーシャルメディアと、自社の採用システムを連携して、応募中のポジションに対して適切な人を、どれだけ早く採用するかに注力した機能が積極的に紹介されていました。これは、「雇用側では中途採用が恒常的に行われており、それぞれのポジションに対するジョブ・ディスクリプションが明確に定義されている」「働く側には”ステップアップできるポジションがあれば、積極的に挑戦する”という意識が常にある」、という場合には有効なソリューションのひとつです。将来的、もしくは特定の地域ではわかりませんが、この仕組みが今の多くの日本企業で投資効果に見合うだけの成果を上げるメージはまだありません。この仕組みは、国毎の環境によって必要とされる機能が異なる例のひとつでしょう。

ここまで明確に判断できるケースは少ないかもしれませんが、グローバル展開をしていく将来に向けて「あるべき機能」「あったらいい機能」は何なのか。自社の運用に適合するのかしないのか。一方、今そして近い将来、日本国内の人材マネジメントを行っていくために「必要な機能」は何なのか。それらは、一致しているのか、異なる方向を向いているのか。冷静に判断していく必要があると改めて考えさせられました。

例えば、65歳までの雇用延長も含め、長期にわたる雇用維持の力が強い環境に置かれている日本企業において、人事戦略を、立案・運用・改善のサイクルを回し、ビジネスに貢献していくためにどんなツールが必要なのか。先入観やイメージに流されず、こういった視点を持ってシステムとその機能を評価してくことが、システム導入成否の鍵を握るでしょう。

「タレントマネジメントシステム」と正しく向き合うために

上記のような点を十分理解しないままに「『タレントマネジメント』の強化」を掲げ、「そのためにはシステム(IT)の活用が必要となる」→「タレントマネジメントシステムを検討してみよう」→「機能がたくさん揃っているシステムがいい」という流れに入ってしまうと、実際に運用を始めてみたら例外運用が多くなってしまった、結局は基本的な人材データの単純な参照にしか使えていない、という悲劇を引き起こしかねません。

実際、自社独自のタレントマネジメントを構築していくためのシステムを導入しようと思っていたのに、いつの間にか、購入したタレントマネジメントシステムでできることが「タレントマネジメント」だという認識に陥ってしまっていた、というケースを聞いたことがあります。

様々な企業の方とお話をしていくと、「タレントマネジメントシステム」を、国内はさておおき「グローバル人材マネジメント」がメインのシステムだと捉える向きもありますし、「後継者育成」のため、つまり選抜された人材を管理するためのシステムだと考えている企業もあります。また、現在国内にいる人材・組織の生産性の上げるためのシステム、つまり従業員全員のためのシステムと位置づけられるケースもあります。これらのどれが間違っている、合っているということではありません。自社にとって、何が優先順位の高い「タレントマネジメント」で、そのためにどうITの力を活用するのか。しっかりと見極めることが大事だ、ということです。

最終回の次回は、経営層に求められる「人材マネジメントシステム」を構築するために必要なことについて考えていきたいと思います。

著者プロフィール

大島 由紀子 氏

インフォテクノスコンサルティング株式会社

大島 由紀子 氏

インフォテクノスコンサルティング株式会社 セールス・マーケティング事業本部長

早稲田大学大学院修了・モナッシュ大学大学院修了。大学卒業後、株式会社リクルートに入社。人事部採用担当、経営企画室、「就職ジャーナル」編集部を経て、フリーランスの編集者及びライターとして独立。その後渡豪、モナッシュ大学大学院終了後、Hewlett-Packard Australia LtdのAsia Pacific Contract Centreにて、アジア地域の契約業務に携わる。HPとコンパックの合併時には、日本における契約システム統合のリーダーを務めた。2004年よりインフォテクノスコンサルティング株式会社に参加。自社開発のRosic人事情報システムをベースにした提案・導入を担当する。また、人事でのIT活用の推進をテーマとした活動にも積極的に関わる。その一貫として、2009年7月から「人材・組織システム研究室」を立ち上げ、従来の「人事情報システム・パッケージの提供」に留まらない人事へのIT活用の形を探っている。

米国CCE,Inc.GCDFキャリアカウンセラー、組織人事監査協会認定パーソネルアナリスト

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