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IT部門の存在価値を高めるには(下)

システム部門に求められる中長期のIT戦略

マネジメントテクノロジーズ、LLC
代表 尾田 友志 氏

2015年04月23日更新

「上編」では、これからのIT部門の役割と仕事を考えるために、IT部門自らが考える役割、技術の発達によって今後10年間になくなるであろうと考えられている職種、および外部環境からくる労働環境の変化を見てきた。「下編」では、労働環境トレンドの続き、ならびに技術トレンドを見ていく。あなたの会社では、これらの環境変化に対応できる準備ができているだろうか?

「高齢化とワークライフバランス」は、どの会社でもこれから直面していく問題である。「65歳定年」問題と一緒に語られることも多いが、最も懸念されているのは、現在退職年齢に差し掛かっている団塊の世代が介護年齢に達したとき、30~40代の働き盛りの社員が、親の介護のために退職・転職する怖れがあることだ。会社が投資・育成してきた中堅社員が、会社の利益に貢献している途中で退職をしてしまう。「暗黙知」という言葉に代表されるように、日本の会社は中堅社員の経験・ノウハウによって業務が支えられていることが多い。その中堅社員がもしも辞めてしまうことがあれば、多くの会社は機能不全になってしまう怖れがある。正社員と契約・パート社員という制度だけではなく、多様な勤務形態・評価制度がこれから考え出され、つくられていくことになるだろう。「働かないおじさん」や「グローバル社員の育成に苦労」しているのも、いずれも従来の勤務制度・評価制度の限界が出てきていることも一因である。
多様な勤務形態に対応していくには、新卒・中途を問わず、社員DBを構築する必要も出てくるだろう。社員の特性に合わせて育成したり、適性のある仕事に就かせるようなCDP(キャリア・ディベロップメント・プラン:社員育成計画)も求められてくる。

表1:ワークライフバランスの施策例

技術環境のトレンド

これからの企業経営に影響を及ぼす技術キーワードは、「クラウド」「ロボット」「センサー技術」「ビッグデータ」「A.I.(人工知能)」「IoT(モノのインターネット)」だと言われている。
近年の商品・サービス企画の潮流は、『既存の商品×インターネット(接続)×クラウド』である。身の回りのありふれた商品・サービスをインターネットに接続することで、新しい用途や従来にはなかった利便性を高めようというものだ。スマートフォンを自宅の玄関に近づけるだけで玄関のカギを開けたり、手首に付けた装置から かかりつけの医師にバイタルデータ(生命兆候と呼ばれる血圧などの身体データ)を送信して急な病状の悪化等に対応できるようになっている。この話はあなたの会社とは関係のないものではない。現在、多くの会社がインターネットと外部DBを使うことで、自社の既存商品を発展させようとしているのだ。

また、直接利用者と接しない企業現場では、「センサー技術」と「ロボット」が注目を浴びている。これまでは物の形状などの状態を人間が『認知』してコンピュータに入力しなければならなかった。ところがセンサー技術を使うことによって、人間が介在せずにセンサーによって直接認知された情報がデジタル化されるようになっている。あなたがスーパーで買い物をしたとき、値札に果物の糖度が書かれているのを見たことがあるだろう。気がつかないうちに、私たちの身の回りに次々と導入されている。
現在注目されているのは、物流センターでの活用だ。個人が保有するスマートフォン(iPhoneのiOS7以上)には、iBeaconというアプリケーションをインストールすることができる。物流センターの天井の数メートル間隔で電波を発信するビーコン器をつけることで、社員がどこにいるかが分かるのだ。社員が商品をピックアップする際、手許のスマートフォンに「XX番の棚へ行け」などの指示が表示され、短時間で商品をピックアップできるようになっている。
センサーは触覚・視覚・嗅覚であり、ロボットは手足となりうる。長崎のハウステンボスでは、2015年7月からフロントに3体のロボットを設置するホテルをオープンさせるという。また、ネスレが量販店のコーヒーマシン売り場にロボットを配置して、ロボットに来店客からの相談に応じさせている。

新しい技術を会社で活用すること-これは営業や生産の現場からの要望もあるだろう。しかし、現場の社員は技術の専門家ではない。ニュースなどを見て、アイデアレベルで提案してくることがあるかもしれないが、自分なりに実現可能性を検証してから提案してくることは、なかなかあるものではない。
あなたの会社のIT部門が、受け身で仕事をしていたらどうなるだろうか。現場や経営者からの提案がなければ、いつまでたっても技術を使った現場の業務改善がなされない。皆、知らないことは要求できないからだ。IT部門として新しい技術を学び、会社のどこに適用できるかを考え、経営者に提言していってはどうだろうか。現場からは「仕事が増える」として反発がくることもあるだろう。ただし、経営者から見れば、会社の業務の生産性を高めるのであれば、検討の価値があるものだ。10年も経てば、社内の職種も大幅に変わっているだろうから。

図1:情報化に対応する商品・サービスの方向性

これからのIT部門は、どのように活躍すれば良いか

手作業による業務とITは表裏一体のものである。システムを構築するとは、業務を構築することに他ならない。
まず基本スタンスとして、IT部門の仕事はシステムの導入が目的であってはならない。「システムを使う」すなわち「システム導入の目的を果たす」という視点が求められてくる。データ分析によって、自社の売上を上げるチャンスを発見するという仕事を手がけるのも良いだろう。どのようなデータをどのように分析すれば良いのかは、仮説-検証の手法で試行錯誤してもよいし、外部から知識を導入しても実施できる。メディアではビッグデータが話題になっているが、1MBの販売管理データがあれば、今まで気がつかなかった顧客特性や商品の販売特性を見つけることもできる。IT部門で分析のパターンを見つけたら、あとは営業企画部門や生産技術部に分析業務を移管していけばよい。今まで蓄積を重視していたDBも、使いやすくするには どのようなファイル形式が良いのか、仮想サーバが必要なのかなど、導入時のノウハウにもなってくる。

既存システムの入れ替えや新規システムの導入では、「社員個人の生産性を高める支援」「社員の創造性を支援する仕事環境の整備」などがポイントとなってくる。どのような会社でも、収益(儲け)を増やしていきたいと考えている。収益性を継続的に高めていくには、社内のあらゆる活動・業務の生産性を高めていく必要がある。

  • 人ではなく、コンピュータやセンサーやロボットに仕事をやらせる
  • データ入力や入力承認作業をミスの発生しない業務プロセスをつくることで不要にする

など、改善できる可能性はたくさんある。
特に、コンピュータを活用していけば、特別な知識や経験のない人でも、一定以上の水準の仕事ができるようにすることも可能である。

新しい技術の可能性を探ることも必要だ。もうすぐ製品金型を3Dプリンタで制作できるようになると言われている。これが実現すれば、国内海外を問わず、離れた工場に金型データを送り、その場で金型をおこすこともできる。金型の修繕も、かかるコストによっては修理せずに再度3Dプリンタで出力し直した方が時間もコストも安上がりになる。
業務システムの新しい活用方法や技術を調べていくだけでも、自社の変革や業務改善の役に立つだろう。

そして何よりこれからのIT部門に期待したい役割は、CIO(Chief Information Officer:情報技術担当役員)機能である。難しいことではない。経営者の方針や施策を聞いて、ICTをどのように使えば方針・施策の実現可能性が高まるか、現在採用していない技術を適用することでもっと高い目標を掲げることができないかを経営者に提言することである。間違えることや未熟であることを怖れる必要はない。企画段階のアイデアは、まだ投資もしていないのだから、仮に誤りがあっても実害はない。あなたの提案を基にして社内のさまざまな立場の人たちの知恵をもらいながら、より良いアイデアをまとめていくことだ。
多くの経営者が関心を持っている「社内の見える化」もCIO業務の一環ということができる。

これらのIT部門に期待される業務を実行するには、

  • IT部門の業務定義を広げること
  • 社内業務に問題意識を持つこと
  • 既存の情報システムの活用方法を考えること
  • 新しい情報を収集し、自社に適用できるか検討すること

である。
そして、既存システムを現場で今以上に活用してもらう「既存IT活用計画」、自社の業務効率化や成長発展に役立つ新しい技術を導入していくための「中期IT整備計画(またはIT化企画)」をまとめていく。各種計画を作成するにあっては、最近の技術トレンドや事業環境をおさえるだけではなく、他社事例を多く集めると良い。事例があると、実際に現場に導入するイメージを描きやすい。情報源は、インターネット・書籍・雑誌・セミナーなどがあるので、IT部門内で手分けをして集めると良いだろう。ただ、外部情報は一般的な内容しか書かれていない。最も知りたいことは、「自社がどうすればよいか」だ。自社にとって有用な技術の選定や活用については、外部の専門家の助けを借りる方法も検討しても良いだろう。外部のプロの眼によって、現場で気がついていない課題を発見することもできる。

国内市場の縮小と人手不足にさらされる一方、成長市場を求めてのグローバル化と国内諸制度のコピーではない経営体制が求められている現在、過去の延長ではない、将来を見据えた上でのIT化と活用が求められている。

著者プロフィール

尾田 友志 氏

マネジメントテクノロジーズ,LLC

尾田 友志 氏

マネジメントテクノロジーズ,LLC代表

日系コンサルタント会社コンサルタント、青山監査法人(現:あらた監査法人)/プライスウォーターハウス シニアマネージャー、日本マンパワーバリューマネージャー養成講座 主任講師、中央青山監査法人/PricewaterhouseCoopers ディレクターを経て、現在、マネジメントテクノロジーズ,LLC代表、株式会社アイロムホールディングス 監査役

所属:日本オペレーションズリサーチ学会

専門分野:経営工学(統計・オペレーションズリサーチ)、財務・管理会計

主な経験分野
 ・中期経営計画策定
 ・新規事業計画とフィージビリティスタディ
 ・マーケティング/セールスマネジメント
 ・企業価値/株主価値
 ・業務改善(ビジネス・プロセス改善)
 ・企業のフランチャイズ化
 ・内部統制整備(財務報告目的、内部監査)
 ・社員教育(企画・ツール開発・講師)
 ・システム化計画策定(事業分析・要件設定)

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