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IT部門の存在価値を高めるには(上)

システム部門に求められる中長期のIT戦略

マネジメントテクノロジーズ、LLC
代表 尾田 友志 氏

2015年04月06日更新

IT部門も仕事の内容を変えていく時代になっている

あなたの会社のIT部門では、どのような仕事をしているだろうか? 会社規模にもよるが、多くの中堅クラスの会社では、「システム導入のために、ユーザー部門の要望を分析し、開発ベンダーへのRFP(Request for Proposal:システム開発のための提案依頼書)を作成」「ベンダーの開発プロジェクトの内容・進捗の管理(プロジェクトマネジメント)」「完成したシステムの運用・保守」「セキュリティ管理」「ヘルプデスク」「ユーザー部門でのデータ活用のためのDB整備」などが主なところではないだろうか。
基幹系システム・情報系システムを問わず、社内の情報システムの役割とは

  • 経営者・管理者の意思決定に貢献する
  • スムーズな現場業務を実現する (そのための改善課題の発見も含む)

ことだ。

現在のビジネスは、ITがあることが前提となっていることが多い。ビジネスモデル(儲かる仕組み)然り、国際会計基準(IFRS: International Financial Reporting Standards)も同様である。近年、企業活動に影響する情報技術(ICT)として、物のインターネット(IoT)やビッグデータ、ロボットなどが挙げられている。各種メディアも新しいICTの解説や事例紹介で賑わっているのを、あなたも目にしているだろう。自動車業界などは、電気自動車によって制御が簡単になり、A.I. (人工知能)を使った自動運転技術が本格的に活用されると、業界の競争環境が一変してしまうともいわれている。

あなたの会社のIT部門の仕事の内容を振り返ってみてほしい。5-10年前と変わっているだろうか。あなたの会社を取り巻く経営環境・技術環境が急速に変化していくのに、IT部門の仕事があまり変わっていないとしたら……果たして、今のままで大丈夫なのだろうか。
あなたの会社のIT部門が今後ともなくてはならない存在・会社の発展に貢献する存在でありつづけるには、何をすれば良いのだろうか? 以下、

  • IT活用によって解決したい課題
  • 今後なくなると予想されている職種
  • 労働環境トレンド
  • 技術トレンド

の視点を通じて、社内IT部門がどのような仕事をしていけば良いかを考えていく。あなたの会社の状況を加味しながら、一緒に考えていただければ有難い。

IT活用によって解決したい課題

IT部門が考える「IT投資で解決したい中期的な経営課題」というものが、一般社団法人 日本情報システムユーザー協会から速報が発表された(「企業IT動向調査2015」)。この調査は会社のIT部門を対象にして行われたもので、ITを使ってどのような側面で自社の成長に貢献していきたいかをとりまとめたものである。
回答が多かった選択肢は、

  1. 業務プロセスの効率化(省力化、業務コスト削減)
  2. 迅速な業績把握、情報把握(リアルタイム経営)。いわゆる「見える化」
  3. 営業力の強化(売上向上、データ活用、ビッグデータ)
  4. 業務プロセスの質・精度の向上(ミス、欠品削減)

である。いずれの課題も、IT部門だけでは完遂することは難しく、経営企画部門や営業部・生産・物流部門などの現場部門と協働を欠かすことはできない。
筆者が現場に入ってよく感じることは、IT部門の多くが 自分たちの業務は「情報システムの導入と保守運用」と定義していることだ。そのため、会社としての本格的な改善や会社の成長に貢献できる業務になりきっていない。
IT部門が会社を取り巻く環境の変化に合わせて、自分たちの業務定義を見直す必要が出てきていると思われる。

図1:IT投資で解決したい中期的な経営課題

あと10年でなくなる職種

2014年11月に、英国オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授の「雇用の未来」という論文Open a new window  が、日本で紹介された。オズボーン准教授はA.I.の研究者で、コンピュータや機械の発達によって、702の職種についてなくなる可能性を算出した。内容がセンセーショナルだということで、各種メディアでも取り上げられたので、読んだ方も多いだろう。表1は論文中で今後10年以内になくなる可能性の高い職種のうち、私たちに関係しやすいものを抜粋し、代替技術を書き加えたものである。論文を読んでみると、費用対効果やヒューマンタッチの面から、必ずしもコンピュータ等に代わられてしまうとは考えられないものもある。
このような研究が発表されると、「今の仕事/自分の仕事がなくなるかもしれない」という不安にかられがちだ。しかし、よく考えてみれば、現在社内にある業務のかなりの部分が、10年間20年間とは様変わりしているのだ。2011年8月に米国デューク大学の研究者であるキャシー・デビッドソン女史が「2011年度にアメリカの小学校に入学した子供の65%は、大学を卒業するときには、現在存在していない職業に就くだろう」とニューヨークタイムス紙に語った。このインタビューでは、10年前には情報セキュリティマネージャーという仕事は、世界に存在しなかったと例を挙げている。

ICT技術などが発展することで、その影響を受けて社内業務も変化していく。IT部門は人事部門からの要請を受けて適切なソフトウェア・アプリケーションを探したり、開発をするスタイルのまま仕事を続けていいのだろうか。人事部門は技術には詳しくない。また、自分たちの仕事を、給与計算・人事考課のとりまとめ・教育であると狭く定義していることが多い。本来ならば、社員を育成・活用して、ひとりひとりが活き活きと活躍できる職場環境を整備することが望ましいのである。IT部門は現場業務の専門家ではないが、人事部門や現場部門を巻き込みながら、新しい技術によって社内の既存業務をどのように変えて、生産性を高めていく可能性があるかを議論しても良いのではないだろうか。また、経営者の方針を受けて、ICTを活用することで何ができるのかを逆提案していくCIO(Chief Information Officer:情報技術担当役員)の役割も果たしていくことが望まれる。

表1:なくなる可能性の高い仕事

労働環境のトレンド

人手で行う仕事とICTを利用した仕事は、表裏一体のものである。労働環境が変われば業務やICTも変わるし、ICTが変われば業務も変わる。
労働環境の変化で話題になっているのが、「マイナンバー制度」への対応と「残業代ゼロ(ホワイトカラー・エグゼンプション)」だろう。この他にも注目しておきたいものが、「高齢化とワークライフバランス」「65歳定年」「働かないおじさん論」「求められる能力と保有能力のアンマッチ」「日本企業のグローバル化」「ビジネスモデル競争」だ。

「マイナンバー制度」は、既に検討を開始している会社も多い。国民ひとりひとりに固有の番号を付与して、社会保障・納税・災害対策に活用していこうというものだ。IT部門としては、人事管理システム・給与システムの入れ替えや修正、および業務フローの簡易な変更で済むだろう。ただ、業務量が社員数に比例するために、初期的な作業量は多くなる。

「残業代ゼロ」として悪名高くなったホワイトカラー・エグゼンプション。現時点の案での適用対象職種は、年俸1,075万円以上の高度専門職だが、5~10年のうちには他の職種にも及ぶだろう。そもそもホワイトカラーの仕事には、成果と勤務時間が比例関係にはなく、残業代に見合った売上・利益が上がるとは限らない。利益が出にくい中、人件費負担(労働分配率)を引き下げたい会社の意図も見え隠れしている。残業代ゼロが一般的になってしまうと、会社はどうなるか。上司に自己アピールしたい社員が無給の長時間労働をする一方で、稼げる社員の何割かは社外に飛び出してしまう可能性がある。会社の中には十分に稼げない社員とそこそこの給料とそこそこの仕事量で満足してしまう社員、そして会社に対して忠誠心の高い社員だけが残ることになる。現在、正社員と契約・パート社員といった二極分化が進んでいるが、今後は正社員の二極分化が進むことが予想される。 対処方法としては、

  1. 経営者が、自社が勝てる事業領域を選別し、常に会社を成長させつづける
  2. 競合他社よりも抜きんでる、儲かるビジネスモデルを構築する
  3. 自己成長・スキルアップできる挑戦的な仕事を社員に提供し続ける
  4. 心から尊敬できる上司がいる(いわゆる「師匠」と呼ばれる存在)
  5. 売上・利益に結びつく業務プロセス設計がなされている

ことなどを挙げることができる。
IT部門としては人事制度や給与制度を設計することはしないが、経営者・人事部門・各部門長を支援、時にはリードしながら労働環境の変化に対応していくことはできる。具体的には、

  1. 社内の見える化の促進
  2. 経営判断資料への外部データ取り込み(広い視野での経営判断)
  3. 経営方針・ビジネスモデルに対して、ICTを活用するアイデアを提示
  4. 社内データの分析・活用の促進
  5. 売上・利益が上がる業務プロセス設計

などである。5の業務プロセス設計は、本来ならば業務部門に行って欲しいが、「業務プロセス」という言葉が出たとたんに、「IT部門の仕事」と決めつけられてしまうことが多いので、どうしても関わらずにはいられないだろう。

著者プロフィール

尾田 友志 氏

マネジメントテクノロジーズ,LLC

尾田 友志 氏

マネジメントテクノロジーズ,LLC代表

日系コンサルタント会社コンサルタント、青山監査法人(現:あらた監査法人)/プライスウォーターハウス シニアマネージャー、日本マンパワーバリューマネージャー養成講座 主任講師、中央青山監査法人/PricewaterhouseCoopers ディレクターを経て、現在、マネジメントテクノロジーズ,LLC代表、株式会社アイロムホールディングス 監査役

所属:日本オペレーションズリサーチ学会

専門分野:経営工学(統計・オペレーションズリサーチ)、財務・管理会計

主な経験分野
 ・中期経営計画策定
 ・新規事業計画とフィージビリティスタディ
 ・マーケティング/セールスマネジメント
 ・企業価値/株主価値
 ・業務改善(ビジネス・プロセス改善)
 ・企業のフランチャイズ化
 ・内部統制整備(財務報告目的、内部監査)
 ・社員教育(企画・ツール開発・講師)
 ・システム化計画策定(事業分析・要件設定)

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