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Japan

第10回 儲かる仕組みを作り上げる

儲かる仕組みを作り上げる―企業経営に求められる継続的収益力の創造―

マネジメントテクノロジーズ、LLC
代表 尾田 友志 氏

2013年07月09日更新

「品質さえ良ければ、モノは売れる」という考えは、モノ余りの現代においては、成り立たちません。図1にあるように、確かに優れた技術・商品は必要です。しかし、技術と商品があれば、自動的に優良企業になれる訳ではありません。もうひとつ必要なもの─それは優れたマネジメントなのです。マネジメントにはさまざまな活動がありますが、「自社の儲かる仕組みを作る」ことこそ、日本企業にとって今 最も求められていることです。

図1:優良企業になるにはマネジメントが重要

儲かる仕組みとは?

Amazonやインターネット音楽配信で莫大な利益を上げているiTunesの成功をきっかけに、新たなビジネスモデルが注目されています。従来にはなかったビジネスの進め方を仕掛けることで、自社の利益を拡大していこうというものです。

ここ2年くらいの米国経営者のスピーチには、共通のフレーズが含まれています。それは、「経営者としての私の仕事は、ゲームのルールを変えることである」というものです。つまり、技術は米国より日本などのアジア諸国の方が進んでいるものが多い。しかし、業界の競争ルール・利益獲得の仕方を変えることによって、自社が最大の利益を得ることができるという意味です。音楽業界は、従来では、作詞・作曲などの著作権を保有している人が最大の利益をとりました。しかしiTunesでは、アップル社が著作権を保有していないにも関わらず、全体の30%の利益を得ています。

ただ忙しく働くことが、ビジネスではありません。ビジネスとは、仕組み・システムです。事業を成功させるためには、成功する仕組み・儲かる仕組みを作る必要があります。成功している企業を見てみると、それぞれ儲かる仕組みが存在していることが分かります。

儲かる仕組みの条件

皆さんの会社にも、儲かる仕組みはあります。もしも仕組みがないとすれば、売上は運任せ、最終損益は赤字になりやすいといった状況でしょう。ただし、社内から見ていては、自社の儲かる仕組みを意識することは難しいです。それが当たり前のことになっており、意識されていないからです。創業社長の場合には、事業を成功させるために、意識的に儲かる仕組みを作っておられます。現在は、その仕組みをさらに発展させたり、時代に合わせて変えていくことが必要となっています。

さて、皆さんが儲かる仕組みを作る/見直すにあたり、次の6つの条件と照らし合わせて、現状を評価したり、施策を考えてみてください。(図2)

図2:儲かる仕組み6つの条件

1. 新規顧客を招き続ける仕組みがあるか

新規顧客の獲得のために、皆さんの会社の営業担当者が靴の底を減らして商談に行くだけではなく、顧客の側から引き合いをいただけるような仕組みを作るということです。

2. 一度取引をした顧客が、自動的にリピートする仕組みがあるか

また、それらの顧客に対して、取引の都度 自社から提案をするのではなく、顧客自ら繰り返し購入してくれる仕組みを作ることです。

3. 顧客があなたの会社の商品・サービスを買い続ける「必然性」があるか

ここでのキーワードは「必然性」です。「あったらいいな」という商品・サービスは、意地悪く言うと「無くてもすむ」のです。「無いと困る」と顧客に言わせるのは、商品・サービスだけではなく仕組みの問題です。これで成功したのが、SONYの初代PlayStationです。

4. 上記の結果として、固定客層を形成しているか

取引の結果、皆さんの会社の固定客、すわなちファンをきちんと作っているかどうかです。取引や購入を繰り返していればファンだということではありません。ファンであれば、少々良い条件を出されても浮気をせず、口コミで皆さんの会社の商品・サービスを広めてくれるものです。

5. 事業の不安定性などのリスクを回避する仕組みがあるか

事業の不安定性などのさまざまなリスクが発生する都度、社内でプロジェクトチームを組むのではなく、あらかじめリスクを回避できるようなポジショニングになっていることです。

6. 競合企業からの攻撃を防ぐ仕組みがあるか

皆さんの会社が優れたことを行うと、必ずといっていいほど競合企業が模倣や対抗策を講じてきます。5.と同様に、その都度対処するのではなく、競合が対抗できないようなポジショニングを創り上げます。業界の競争ルールを変えてしまい、先行企業の優位性を崩すことも含まれます。「業界の競争ルールを変えるのは、自社では不可能」と思われるかもしれません。しかし過去の例を見てみると、中小企業が大企業の創り上げたルールを崩した事例は数多くあります。

米国 中古車会社の儲かる仕組みの事例

図3:中古車会社の儲かる仕組み日本では新車が好まれる傾向がありますが、米国では新車市場よりも中古車市場の方が、圧倒的に大きな市場です。ただし、中古車ビジネスには、大きなリスクが存在しています。それは、売れ筋のブランドの車種を購入しても、中古車相場が存在するために、自社に価格決定権がなく、必ずしも目標利益が得られるとは限らないということです。米国のある中古車会社の経営者は、このリスクを避けるために図3のような仕組みを作りました。

まず、新車ディーラーを作ります。そして米国ビッグスリー(GM、フォード、クライスラー)のディーラー権とよく売れているトヨタとホンダのディーラー権を入手しました。自社の店舗には、これら5社の売れ筋のブランドを並べます。新車を購入する人は、通常いくつものディーラーを周り、比較をしなければなりません。時間が掛かります。これに対してこの会社のディーラーに来れば、1箇所で気に入った車種を比較することができます。しかも、ディーラーはどこのメーカーのブランドでも売れればいいので、評価の善し悪しを包み隠さずに話してくれます。(メーカーから訴訟を起こされましたが、後に和解しています。)

顧客が自動車を購入すると、18ヶ月後に買い戻す契約を結びます。新車に乗りたい人は、1台を5年も6年も乗るのではなく、次々と気に入った自動車に乗りたいので、多くの顧客が契約をしました。高い下取り価格で異なるメーカーの自動車を乗り回します。

下取りした自動車は、グループ企業のレンタカー会社が買い取ります。ここで3ヶ月から1年間レンタカーとして使用します。その後、この自動車を中核である中古車会社が購入して、販売します。この仕組みでは、新車が出されてから早ければ1年9ヶ月後には、中古車会社で販売することができます。
通常、このような短い期間では新車が中古車市場に出てくることはありませんので、相場は存在しません。中古車会社は好きな価格をつけることができ、利益が守られるのです。また、新車ディーラーと中古車会社の間に、わざわざレンタカー会社を入れるのは、3ヶ月から1年という期間で、各自動車の走行距離をすべて合わせてしまうためです。そうすれば、ブランド・色・走行距離が同一になりますので、同一の価格をつけることができます。中古車を購入したい顧客は、車の選定に時間をかけることはなくなり、販売活動もスムーズに行うことができます。

最後に、中古車会社も販売時に18~24ヶ月後の買い取り契約を結び、最後はメキシコなどに売却します。 中古車相場に左右されずに利益を確保でき、1台の自動車で4回売上をたてることができます。

ビジネスは何となくやるものではありません。考えぬき、仕組んで行うものです。ここに掲げた事例は米国のものですが、日本国内の事例も数多くあります。
さて、皆さんの会社には、どのような儲かる仕組みがあるでしょうか。またどのような新しい仕組みを創り上げれば良いのでしょうか。

経営者としてのチェックポイント

次回、第11回は社内のデータ活用の方法について解説します。

著者プロフィール

尾田 友志 氏

マネジメントテクノロジーズ,LLC

尾田 友志 氏

マネジメントテクノロジーズ,LLC代表

日系コンサルタント会社コンサルタント、青山監査法人(現:あらた監査法人)/プライスウォーターハウス シニアマネージャー、日本マンパワーバリューマネージャー養成講座 主任講師、中央青山監査法人/PricewaterhouseCoopers ディレクターを経て、現在、マネジメントテクノロジーズ,LLC代表、株式会社アイロムホールディングス 監査役

所属:日本オペレーションズリサーチ学会

専門分野:経営工学(統計・オペレーションズリサーチ)、財務・管理会計

主な経験分野
 ・中期経営計画策定
 ・新規事業計画とフィージビリティスタディ
 ・マーケティング/セールスマネジメント
 ・企業価値/株主価値
 ・業務改善(ビジネス・プロセス改善)
 ・企業のフランチャイズ化
 ・内部統制整備(財務報告目的、内部監査)
 ・社員教育(企画・ツール開発・講師)
 ・システム化計画策定(事業分析・要件設定)

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