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第02回 介護リーダーシップにおける人材育成と業務改善

リハビリテーションの立場から見た介護経営

株式会社メディックプランニング 代表取締役
作業療法士/リハビリテーション颯 スーパーバイザー 三好貴之 氏

2017年08月23日更新

介護職員の人材不足は言わずとも知れた社会問題である。団塊の世代が75歳を迎える2025年に向けて、厚労省は地域包括ケアシステム構築を急いでいるところであるが、現時点のシミュレーションでは、2025年には約38万人の介護職員が不足すると言われている。
これは、マクロ視点の話であるが、各施設のミクロ視点で考えてもやはり人材不足と考えている施設は多いのではないだろうか。また、施設経営者からは、不足しているのは、現場の介護職員だけではなく、その介護職員を取りまとめる介護管理者の不足、もしくは、管理者育成に困っているとよく聞く。人材不足の介護施設においては、一般企業のように時間をかけて管理者を育成したり、病院看護師のように階段式に管理者に上っていく仕組みを作ったりしているのは稀なのではないだろうか。特に管理者教育を受けたことがない介護職員が介護部門の管理者を行っている場合も多い。そこで、今回は、介護管理者に必要なリーダーシップについて解説していきたい。

1.リーダーシップ行動の2つの次元

リーダーシップの定義は世界中にたくさんあり、介護業界に限らずどのようなリーダーシップを発揮すればよいかという唯一最善の方法は存在しない。現状、介護現場に必要な管理者のリーダーシップは、管理者もしくは、その上司の経験則に頼らざる得ない部分が多いのではないだろうか。筆者も介護施設を経営しており、このような経験則に頼る不確実性の高いリーダーシップでは、管理者の能力によって問題解決力や場合によっては、売上まで変わってしまうというリスクを背負っているのも事実である。
しかし、経験則しか方法がないかというとそうではない。経営学におけるリーダーシップの議論のなかでも、1940年代にオハイオ州立大学が提唱したリーダーシップ論や、1966年に三隅によって提唱されたPM(Performance Maintenance)理論は、経験則にありがちな「こうあるべきだ」にとどまらず、リーダーがどのような行動を取るべきなのかという視点での理論であるため非常に興味深い。
簡単に説明すると、オハイオ州立大が提唱したリーダーシップ論では、優秀なリーダーがとっている行動は、大きく2つの次元で構成されているとしている。それは「構造つくり」と「配慮」である。「構造つくり」とは、部下に対し、明確な目標設定と厳格に指示、管理することであり、「配慮」とは、部下とコミュニケーションを図ったり、励ましたりすることである。オハイオ州立大の研究においては、優秀なリーダーはこの2つの行動を高いレベルで取っていたということである。また、PM理論もほぼ同義な結論である。
筆者が多くの介護施設の業務改善を実施していくなかで、直面する問題として、「配慮」はされているが、仕事の「構造つくり」がされていない施設が多いことである。具体的には、業務マニュアルや業務分掌が存在しないことや、指示命令系統が規定されておらず「なんとなく」で行っている業務が多く、組織で働く上でのルール不足である。ルールが不足しているということは、サッカーで言えば、ボールに向かって全員が無秩序に動いている状態であり、これでは点を取るのは難しい。介護現場で言えば、各個人は利用者のために一生懸命に働いているにも関わらず、結果がでない状態である。このような構造作りが進んでいない介護施設の特徴は、現在の仕事の状況を誰もが印象的にしか把握していないため、改善することすら難しい。印象は改善できないのである。会議中も「なぜ、このようなやり方で行っているのですか」と聞いても「前からやっていたから」という意見が出るなど仕事が構造化されていないことで、見直しもできていない状態である。

2.仕事の構造つくり 成功する業務マニュアルの作り方

このような場合、筆者はまず、業務マニュアルを作成してもらうようにしている。マニュアルが形骸化せず、成功する業務マニュアル作成のポイントは、二点である。まず一点目は、「現在やっていることをそのまま書くこと」、二点目は「実際にやっている人が書くこと」である。
業務マニュアルが形骸化し、失敗する例の多くは、「実際に行っていないことを、行っていない人が作成」することである。他施設のマニュアルや専門誌に載っているやり方をそのままコピーして渡しても誰も取り組む人はいないだろう。マニュアル作成の目的は、「マニュアル通りに仕事をする」の前に、「現在、どのような仕事の手順(構造)になっているか」を明らかにすることである。筆者の経験では、現場で行っている仕事は、絶えずマニュアルよりも先行して改善されており、ここを暗黙知ではなく、みんなで共通してできるようにするために暗黙知から形式知に切り替えるのが、マニュアル作成の目的である。
さらに、日々、仕事に当たっている職員がマニュアルを作成することで、自らの仕事を客観的に見つめなおす機会となり、職員同士でマニュアルを見ながら「こうした方が良い」と業務改善の話が進めやすくなる。
このような形でマニュアル作りが進んでくると、人材育成の面では、マニュアルに基づいたOJT(On the job training)の指導体制が可能になる。今までの先輩職員の経験則に基づいた指導内容から、部門全体で共有された形式知としての指導内容となるため、指導者によって教える内容が統一化できる。特に、中途採用が多い施設では、「うちのやり方はこれです」というものがなければ、どうしても前の職場でのやり方で行うため、介護方法がバラバラになり、利用者にとってもリスクが高くなる。よって、例え経験者であっても基本的な介護方法は統一すべきである。
もちろん、介護の仕事をすべてマニュアル化することはできない。例えば、「ある利用者さんの車いす移乗」を完全にはマニュアル化できないが、「シーツ交換」「記録」「洗濯」など生活介助の仕事はマニュアル化が簡単にできる。

3.正しい目標管理への理解

次に、介護管理者のリーダーシップで重要なのは目標管理による一連の行動である。目標管理が機能していない施設の多くは、年度初めに目標を立てて、半期で面接して目標の進捗状況を確認し、年度末に総括するパターンである。これでは目標を達成したかどうかという「結果評価」をしているだけであり、目標管理の本質ではない。目標管理の本質は「組織が目標によって管理されている」ということである。日々の意思決定や業務プロセスにいかに目標が浸透し、管理(マネジメント)されているかという「プロセス評価」の話である。また、人材育成や介護の質の向上もすべて目標によって管理されているかどうかが重要である。つまり、結果を出すためにはそれに基づいたプロセスが必要であり、そのプロセスを見える化したのが「計画」である。
目標管理が形骸化している施設では、「結果評価」になっている以外にも、目標に向かう具体的な道筋である「計画がない」場合や、「チェックがされていない」等、目標だけが打ち出され、そのまま放置されているケースもある。
目標管理に一連の流れはケアプランと同様で、目標達成に向けて、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のPDCAサイクルを回していくことである。

以上、本稿では、介護管理者のリーダーシップ行動として、マニュアル作りと目標管理について解説した。もちろん、まだまだ介護管理者が行うべきことはあるが、まずは、この二つに着手していただければと思う。

著者プロフィール

三好貴之氏

株式会社メディックプランニング 代表取締役
作業療法士/リハビリテーション颯 スーパーバイザー
三好 貴之(Takayuki Miyoshi) 氏

株式会社メディックプランニング 代表取締役/経営コンサルタント/作業療法士
株式会社楓の風 リハビリテーション颯 FC事業部 スーパーバイザー
株式会社保健医療福祉サービス研究会 リハビリテーション事業講師

専門は、病院・介護施設におけるリハビリテーション機能強化による経営戦略立案で、「人と業績を同時に伸ばす」をモットーに全国多数の病院・介護施設のコンサルティングを実践中。現場の管理者・スタッフとともに業務改善・人材育成を行うことで業績アップに導いている。特に近年は、リハビリテーション機能を強化したなかでの地域包括ケアモデルを提唱し、年間1000名を超える医師・看護師・PT・OT・介護士など病院・介護施設の管理者へのマネジメントやリーダーシップに対する指導とアドバイスも行っている。平成26年5月に単行本「マンガでわかる介護リーダーのしごと」(中央法規出版)より上梓し大ヒットしている。また、平成26年6月に自ら経営するリハビリ特化型デイサービス「リハビリテーション颯(そう)倉敷」、平成27年9月に「リハビリテーション颯高松中央」をオープンしている。

<連載・特集記事>
「看護部長通信」「通所介護&ケア」(日総研出版)「全国自治体病院協議会雑誌」(全国自治体病院協議会)「おはよう21」(中央法規出版)「月刊デイ」(QOLサービス)CBニュースEXCUTIVE(キャリアブレイン)「最新医療経営フェイズスリー」(日本医療企画)「作業療法ジャーナル」(三輪書店)「臨床作業療法」(青海社)等多数
<単行本>
マンガでわかる介護リーダーのしごと(中央法規出版.2014)

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