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知らないと恥ずかしい!?減損会計の基本の「キ」

丸の内とら 氏

2017年10月02日更新

イメージ 「減損会計」という言葉をご存じですか? 現状、全ての上場企業に義務付けられ、中小企業に対しても積極的に適用が求められている会計処理でありながら、具体的な意味や適用の目的を明確に把握できていないという方は少なくないようです。

この記事では減損会計について、経理や財務の担当者が最低限押さえておきたい基本的なポイントを紹介します

減損会計とは?

減損会計とは、所有する土地や機械などの固定資産の収益性が低下した結果、その固定資産に対して投資した金額を回収できる見込みがなくなった場合に、一定の基準に基づいて資産の価値を帳簿上で減額する会計上の手続きです。

平成15年、企業会計審議会により「固定資産の減損に係る会計基準の運用指針」が公開され、平成17年4月1日以降に開始した事業年度より導入されました。「減損」という言葉からも想像できるように、この制度はあくまでも資産の評価額が「下がった場合」に資産価値を減額する処理であり、「資産価値が上がった場合」に増額する処理は含まれません。

減損会計の制度は、上場企業は強制適用、非上場企業であっても、会計監査が義務付けられている大企業については事実上強制適用となります。また、強制ではないものの、中小企業の会計に関する指針においてその他の中小企業においても積極的に適用することが求められています。

減損会計の対象となる資産は?

減損会計の対象となるのは、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産です。有形固定資産には土地や建物、機械、無形固定資産には営業権や特許権、商標権、ソフトウェアなどが含まれます。また、投資その他の資産には、投資有価証券などが含まれます。

ただし、他の基準において減損会計に関する指針が定められている資産は減損会計の対象から除外されます。たとえば、「金融商品に関する会計基準」(金融会計基準第10号)における金融資産や「税効果会計に係る会計基準」における繰延税金資産、「研究開発費等に係る会計基準」において無形固定資産として計上されている販売目的のソフトウェアなどは減損会計の対象とはなりません。また、退職給付に係る資産も「退職給付に関する会計基準」においてその評価に関する定めがあるため、減損会計の対象資産からは除外されます。

なお、「1,000円で販売することを見込んで仕入れた商品の価値が500円に下落した」というような場合も損失の発生となりますが、これは通常減損会計ではなく評価損として計上されます。

減損会計のプロセス

減損会計の適用は、下記のプロセスで進めます。

1.対象となる資産の把握とグルーピング

減損会計は他の資産または資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位で行うことになっています。この資産グループの範囲は企業や組織の事情によって異なるため、実情を考慮してグルーピングの方法を定めます。

2.減損の兆候を把握する

グルーピングを行ったら、対象となる資産や資産グループに減損の兆候(減損が生じている可能性を示す事象)があるかどうかを確認します。たとえば、資産または資産グループが使用されている営業活動から生じる損益、あるいはキャッシュ・フローが継続してマイナスとなっている場合は減損の兆候があると見なされます。

3.減損損失の認識と減損損失の測定

減損の兆候が認識された場合、対象の資産または資産グループについて減損損失の認識の判定を行います。当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合は減損損失を認識します。

このステップで減損損失を認識すべきであると判定された資産または資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減少額を減損損失として計上します。

4.減損処理後の会計処理

減損損失の計上後は減損損失の戻し入れは行いません。また、減損処理を行った資産については、減損損失を控除した帳簿価額に基づいて減価償却を行います。つまり、減損損失を控除した帳簿価額から残存価値を控除した金額を、企業や組織が採用している減価償却の方法に従って合理的に配分することになります。

減損処理についての知識を深めておこう

この記事では、減損会計に関するごく基本的な事柄を解説しました。
固定資産の価値が低下している状況において、その価値の低下が正しく評価されないまま損失が将来に繰り延べられているのは好ましい状況とは言えません。企業で経理・財務を担当している方は、この機会に企業会計委員会の指針書などに目を通し、減損会計についての知識を深めてみてください。

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著者プロフィール

丸の内とら氏

丸の内とら 氏

フリーライター歴20年。IT関連を中心に執筆活動を展開し、20冊を超える著書を出版。
ソフトウェアハウス、独立系SIerを経て、現在はIT系サービス企業の経営戦略部に所属。
マーケティング、プロダクトマネジメント、開発などに幅広く関与しています。
システム開発は上流から下流までほぼ一通り経験しましたが、もっとも得意とするのは品質検証。
「三度の飯よりテストが好き!」で、独学でJSTQBを取得した変わりものでもあります。

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