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第01回 プロセス生産とは

化学・食品製造業における生産管理 ~生産管理システムの特徴と導入の留意点~

ピークコンサルティンググループ株式会社
代表取締役 北村 友博 氏

2015年02月27日更新

はじめに

このコラムでは化学製品や食品、医薬品、繊維など、プロセス生産または装置生産と呼ばれる製品の、生産管理の特徴と生産管理システム導入の留意点について、3回に分けてお話ししていきます。結論からいいますと、加工・組立生産として分類される各種機械や電機・電子機器と、今回お話しするプロセス生産または装置生産との間に、生産管理の目的や機能の大きな違いはありません。生産形態の違いと製品に対する目のつけどころが違うため、軸となる業務が異なって何か特別なシステムが必要なように映るのです。まず生産形態と生産管理との関係から見ていくことにします。

プロセス生産ってなに?

筆者が調べてみてもプロセス生産ということばに、はっきりした定義はないようです。一般に「調合・混合・混練・分離を行って化学的反応により、原料の性質や特性を変化させることで、製品の価値を創出する生産」を指します。加工・組立工程が中心の製造業向けに開発された生産管理システムが、そのままではうまくいかないため、便宜的にシステムベンダーの皆さんが名づけた呼名ではないでしょうか。図1のように、化学・石油・繊維・食品・飲料・鉄鋼・非鉄・パルプ・薬品・ガラス・セメント・半導体・繊維など、多くの装置産業に見られる生産方法で、人員より設備能力に大きく依存するという特徴があります。


図1:製造業の機能とバリューチェーン

生産形態が変われば生産管理が変わる

生産する品種、生産規模、設備の特徴、取引状況などによって生産活動は千差万別です。これに対応して工場の生産形態が形成されていきます。システムに影響を及ぼす要因別に、生産形態を整理・分類してみます。表1のように、①どのタイミングで造るか(生産に着手するか)、②どのように造るか、③作業者の役割はどのようか、④何をどれだけ造るか、⑤どのような機械配置か、⑥どんな情報で造るか、という6つの視点で生産形態が決まります。

表1:生産形態の6分類

  1. 受注生産と見込生産(生産時期による分類)
    受注と生産開始のタイミングから、「受注生産」と「見込生産」に分けることができます。受注してから生産に着手する受注生産、需要予測などの見込みで生産量を決め、在庫を持って顧客ニーズに合わす見込生産(在庫充当生産ともいう)に分類できます。受注生産と見込生産は、顧客が「発注してからどれぐらい待ってくれるか」ということと「生産のリードタイム」がポイントです。生産計画をどんな情報で作成するかということですから、この分類が生産管理システムを設計する上で最重要だと考えてください。 この2つの生産方式の間に、半見込生産(Assemble to Order)、部品中心型生産(Parts Oriented Production)など、いくつかの段階があります。
  2. 個別生産・バッチ(ロット)生産・連続生産(生産方式による分類)
    「どのように生産するか」生産方法による分類です。顧客の注文ごとに1回限りの生産を行う「個別生産」、ある程度の注文分をまとめて一括生産する「バッチ生産(ロット生産)」、同じ製品を一定期間連続して生産し続ける「連続生産」があります。
     個別生産は受注のつど設計・生産を行うことが必要な生産形態で、「製番方式」と呼ぶ方法で生産管理が行う場合が多いです。バッチ生産は品種ごとに一定の生産量をまとめて生産する形態です。多くの加工組立型製品・部品の製造や、設備容量に制限があり工程時間のかかるプロセス生産品の生産管理に見られる方式です。連続生産は同一製品を一定期間連続して生産する形態で、石油化学、セメント、製紙、鉄鋼など素材産業の多くで見られる生産形態です。
  3. ライン生産とセル生産(作業者と工程による分類)
    作業者が受け持つ工程数に着目した分類で、作業者が工程順に並んで単一工程の作業をおこなうライン生産と、作業者が一人または少人数で多工程を作業するセル生産とがあります。生産管理システムでは工程の生産性把握の方法が異なります。
  4. 少品種多量生産と多品種少量生産(品種と生産量による分類)
     市場規模と設備のバランスで生産する品種と生産量が決定します。多くの品種を少量ずつ生産する「多品種少量」、少ない種類の製品を大量に生産する「少品種多量」に大別されます。少品種多量生産は少ない種類の製品を大量に生産すること、多品種少量生産は多種の製品を少量ずつ生産することです。多品種少量生産では、各工程の「段取り」工数が生産性に大きく影響します。多品種少量生産の方が生産管理も面倒で原価も高くつきますが、消費者ニーズの多様化、商品ライフサイクルの短縮が少品種多量生産を許してくれません。国内で少品種多量生産はやり難くなっており、需要のある製品を直ちに必要量だけ生産する、変種変量生産に変わっています。
  5. フローショップ型とジョブショップ型(設備配置による分類)
    機械設備の配置(レイアウト)による分類に「フローショップ」と「ジョブショップ」があります。製品の加工工程順に必要な機械が配置されているのを「フローショップ型レイアウト」といい、一般に見込生産、大量生産で用いられます。一般に見込生産、量産向きで各工程の作業時間を均等化することが重要な課題となります。ジョブショップは同じ機能・種類の機械設備を1箇所に集中配置したレイアウトで、どの機械でどういう順序で流すかは一定しません。一般に受注生産、個別生産で用いられます。受注生産、多品種少量生産向きですが、生産性が低く合理化し難いという問題もあります。融通性が高く、生産量や製品の変化にも柔軟に対応でき、加工経路が異なる場合も柔軟に対応できます。
  6. Pull生産とPush生産(工程への指示による分類)
    生産計画に従って前工程を基準に後工程が生産する「プッシュ方式(押出し型)」と、後工程が引き取った量を前工程が補充する「プル方式(引取り型,カンバン方式)」があります。トヨタ生産方式(TPS)では、後工程から生産指示情報を記載した「カンバン」が到着することで、前工程の生産が着手されます。つまりトヨタ生産方式はPush生産からPull生産への移行ということができます。Pull生産では工程途中の仕掛品在庫を減らせる上、停滞時間の減少によって製造リードタイムを短縮できるようになります。

生産管理のポイントや生産管理システム導入を手がける際は、プロセス生産、装置産業などと判り難い業種区分で単純に一括りにするのではなく、まず6つの生産形態がどう組み合されているかを、見極めることが重要です。ザックリいえばプロセス生産では、生産時期は見込生産、生産方式はバッチ生産もしくは連続生産、作業者と工程はライン生産、品種と生産量は中品種中量または少品種大量、設備レイアウトはジョブショップ・フローショップの両方、工程指示情報はPush型が多いようです。また最終商品に近いほど加工・組立型生産の形態に近づくといえます。

プロセス生産の特徴

  1. 原材料に近い素材産業
    プロセス生産品は加工・組立製品に比較すると、より原材料に近い中間原料、一次製品といった製品が多く見受けられることが第一の特徴といえます。図1に示すようにこれら製品の形状は、紛体・流体・気体形状のため特有の移送手段が必要となります。また生産管理で留意すべき事項を表2に示します。
    表2:主なプロセス製品の業界と生産管理の留意事項
    業界 生産の特徴 生産管理の留意点
    石油・化学製品(P&C)
    鉄鋼・非鉄製品
    大規模装置生産(プラント生産)
    連続・連産品生産
    L/P生産計画
    稼動実績管理
    設備保全管理
    製品品質管理
    薬品 中品種・変量生産
    連続+バッチ生産
    法規制対応
    配合表管理
    製造記録管理
    トレーサビリティ管理
    食品・飲料 中品種・変量生産
    連続+バッチ生産
    法規制対応
    レシピ管理
    製造記録管理
    トレーサビリティ管理
    期限管理
  2. 足元が重要(企業倫理と法規制)
    表から読み取れるように、これらの製品の生産では、とくにSHE対策すなわち、Safety, Health, Environment (=安全・健康・環境)面での対応が必要です。これらの対応の詳細は第3回目で説明します。
  3. グローバルSCMが重要
    またこれら製品の多くが国際的な戦略商品だったり、原油やナフサ(粗製ガソリン)、その他の戦略商品を輸入原料に求める場合が多く、これら原料の国際価格の動向や、また原料・製品の輸送コストに、業績が左右され易いのも特徴のひとつです。そのため販売・生産・在庫をタイムリーに最適に調整できる、グローバルSCM(Supply Chain Management =供給連鎖管理)のしくみとしてのシステムが重要となります。

次回は『生産管理の目的は同じだがシステムは異なる』と題して、化学・食品に代表されるプロセス生産の生産管理がどのような目的を持っているか、そのポイントは何かについてお話しします。

著者プロフィール

北村 友博 氏

ピークコンサルティンググループ株式会社

北村 友博 氏

ピークコンサルティンググループ株式会社 代表取締役

早大商学部卒、大手機械部品メーカーにて、生産管理, 設計技術, グループウェアなどのシステム化、国内・海外子会社システム構築を担当、情報企画部長(理事)を経て、ビジネス・コンサルティング会社を設立。以来、中堅・中小製造業、約70社の経営指導、システム改善指導をおこなっている。(社)日本技術士会に所属し、理事・副会長を勤める(2005~2009)、京都地裁専門委員(情報技術)・民事調停委員、関西大学環境都市システム工学部・講師。

所属:日本技術士会、関西情報技術士会、日本生産管理学会

専門:IS運営、ITビジネス改善、生産管理、工場改善,MOTなど

著書:生産管理システム構築のすべて(2010・日本生産管理学会賞) 他以上

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