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第01回 責任者は常にお客様の事を考えていますか

食品工場の基本とリスク管理 ~お客様に安全安心をお届けするために~

食品安全教育研究所 代表
河岸 宏和 氏

2016年12月09日更新

24時間365日対応策を考えているのが責任者の仕事

毎年大きな食品に関わる事件、事故が懲りずに発生します。
2016年は、廃棄カツの転売事件で幕があきました。廃棄カツを捨てるときに、商品にならない形にしてから廃棄すれば起きなかった事件です。冷凍食品の農薬混入事件も中国毒餃子事件を「他山の石」にしていれば起きなかった事件です。ツナ缶にゴキブリが混入している事故が報道されています。毛髪混入事故と違い、缶詰の中から例え食べても人的危害が無いと言ってもゴキブリが出てきた場合は、発見された方は、精神的にかなりの衝撃を受けるものです。食品工場では、ゴキブリが生息しているかどうか、のモニタリング装置を設置しています。包装されていない製品を取り扱う作業場では、ゴキブリなどの生息が無い環境であることが必要です。缶詰の中にゴキブリが入り込む環境では、モニタリング装置に日常的にゴキブリなどが捕獲されていたと考えられます。製造委託する工場に対し、「ゴキブリの捕獲が無いこと」と言った基準をもうけ、監査を行っていれば防げた事故と私は思います。
食品事故は、発生してから考えると、どの事件、事故も想定出来る事象ばかりだと思っています。乾燥する冬は、放火されないように、家の周りの燃えやすい物を片付けておく事、コンビニのレジの中には、強盗が来ても被害が少ないように一万円札は入れておかないこと、等、「そんな事起きるはず無い」、と言う考え方でなく、「起きるかもしれない」と24時間365日対応策を考えているのが、組織の責任者の仕事のはずです。

組織の倫理観はその組織の責任者の倫理観を超えることは無い

私が講演、セミナーなどで必ず話す言葉です。
北海道の偽装挽肉事件、愛知県の廃棄カツ転売事件、双方とも、組織の責任者自らが進んで違法行為を行っていました。企業経営を行う責任者には、コンプライアンス(法令遵守)だけでなく、インテグリティー(integrity)誠実、真摯、高潔などと訳され総合的には高貴な「人間性」が求められます。廃棄カツを転売すること、牛肉の挽肉に豚の心臓を混ぜる事などは、法律に触れるかどうか考える前に、口にするお客様の健康を真摯に考えれば指示出来る事ではありません。
食品工場は、毎年売り上げが伸びつつけ、利益が増える必要があります。利益が伸びるためには、人間性を失って仕事をしてもいいことにはならないのです。組織の責任者が、人間性を持って工場運営をおこなっていれば自然に利益が上がり、地域の方、従業員の方からも信頼を得ることができると思っています。
工場運営がうまく運営しているかどうかは、売上、利益という数字に表れます。損益計算書に現れる数字が工場長の評価になります。損益計算書に現れない数字は、働く方が安心して働いているかどうかの数字、労災の発生件数、離職率、平均賃金、等があります。
地域の方とうまくいっているかどうかは、マイナスの事が起きていないか、例えば、浄化槽のクレーム、騒音、出荷、入荷のトラックのトラブルなどが考えられますが、地域の方が、工場を「さん」付けで呼ぶかどうかを、タクシーの運転手さん等に聞いてみると直ぐ解ります。工場のある駅に降り立ってタクシーに乗り、運転手さんに聞いて見てみると答えが出ます。地域の方との信頼を築くには非常に長い時間が掛かりますが、信頼を失うには、一つの事故、一つのクレームの一瞬で信頼は無くなってしまいます。

企業倫理の教育が必要

従業員に対しては、ビジネス・エシックス(Business Ethics)の教育が必要です。ビジネス・エシックスとは「企業倫理」と訳され、企業活動における法令順守(コンプライアンス)を含む道徳的規定を示すものです。
企業活動の中で、上司に指示された内容で、その内容が従業員自分自身の倫理に反することであっても行ってしまうことがあります。上司に直接具体的な指示をされなくても、「そこのところをうまくやるのが君の仕事だろう」、「私にそこまで言わせなきゃ君は分からないのか」などと言われてしまうと、常識的には出来ないことを、仕事上で行ってしまう場合があります。
自分の家の周りならきれいに片付ける人でも、仕事上では信じられないことをしてしまった人を私は見たことがあります。養鶏場で鶏ふん処理の経費を節約するために、養鶏場の敷地内に野積みを行っていた責任者がいたのです。野積みにされた鶏ふんからハエが大量に発生し、近所の住民から「ハエが何匹も家の中に入ってきて食事もできない」とクレームが発生していました。 個人の生活では自分の常識、倫理観で行動する人でも、「経費節減」と会社に言われてしまうと、信じられないことをしてしまうのです。
責任者の人間性は、教育しても備わるものではありません。しかし、従業員は、倫理観を含め、お客様の健康に関わる仕事をしていることを教育すれば工場全体の品質は向上すると私は信じています。

玄関、駐車場が綺麗で無いと

「組織の倫理観はその組織の責任者の倫理観を超えることは無い」の中の「倫理観」を整理整頓と言葉を置き換えてみて下さい。工場の衛生管理の基本は整理整頓です。あった場所に物を片付ける、必要のないものは作業場に置かない。整理整頓ができていない工場の衛生管理は全くできていないと思って間違いないと思います。
工場の建物の責任者も必ず、工場の玄関を使うはずです。駐車場も使うはずです。もっとも、来客用、偉い人用の駐車場、玄関を設けている工場もあります。責任者も必ず使用する駐車場、玄関が整理整頓されていない工場は、品質管理が全く出来ていない工場と判断出来ます。責任者が、駐車場が汚い事、玄関がきたないことに対して、注意も出来ず、問題点を感じていない事を象徴しているからです。

責任者が何を見ているか

企業の運営を図の階段に例えると、お客様の事を考えている階段を登っているか、利益だけを考えた階段を登るように責任者が考えているかで結果が大きく異なります。
責任者が自分の乗る車、自分の報酬を上げる事だけを考えている工場を私は数多く見てきました。利益だけをみている工場の共通点は、責任者の部屋と製造現場の5Sの状況に大きなギャップがありました。トイレも責任者の使用するトイレと、従業員の使用するトイレが区別されて居る所もありました。従業員の休憩室、会議室の掲示板には、歩留、コストに関する掲示が多く、本来使い捨てる手袋、マスクも再利用し、作業着の洗濯、管理も従業員任せになっていました。
組織の責任者がお客様の事を本当に考えて工場運営を行っていれば、工場の外周などは整理整頓が出来、何時写真を撮られてもいい状態になっているはずなのです。

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著者プロフィール

河岸宏和氏

食品安全教育研究所

河岸 宏和(かわぎし ひろかず)氏

食品安全教育研究所 代表

1958年1月北海道生まれ。帯広畜産大学を卒業後、農場から食卓までの品質管理を実践中。
これまでに経験した品質管理業務は、養鶏場、食肉処理場、ハムソーセージ工場、餃子・シュウマイ工場、コンビニエンスストア向け総菜工場、玉子加工品工 場、配送流通センター、スーパーマーケット厨房衛生管理など多数。
毎年100箇所以上の食品工場点検、教育を行っている。

著者のHP:「食品工場の工場長の仕事とは」
http://ja8mrx.o.oo7.jp/koujyou1.htmOpen a new window

【著書】

  • 『激安食品が30年後の日本を滅ぼす!』 辰巳出版
  • 『「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます』 東洋経済新報社
  • 『スーパーの裏側 安全でおいしい食品を選ぶために』 東洋経済新報社
  • 『放射能汚染食品、これが専門家8人の食べ方、選び方』 東洋経済新報社
  • 『日本の農業は風評被害に負けない』 アスキー・メディアワークス
  • 『“食の安全”はどこまで信用できるのか 現場から見た品質管理の真実』 株式会社アスキー・メディアワークス
  • 『ビジュアル図解 食品工場の点検と監査 』 同文舘出版
  • 『ビジュアル図解 食品工場の品質管理』 同文舘出版
  • 『ビジュアル図解 食品工場のしくみ』 同文舘出版
  • 『図解入門ビジネス 最新食品工場の衛生と危機管理がよ~くわかる本』 秀和システム
  • 『食品販売の衛生と危機管理がよ~くわかる本』 秀和システム

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