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Japan

第30回 在庫コストの削減・最適化による原価削減のマネジメントの進め方

日本の製造業革新トピックス

富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

2017年12月20日更新

適正な在庫管理は健全な経営の第一歩です。しかし「在庫を削減すべき」、というのは簡単ですが、「在庫を持つ」というのはおしなべて悪なのでしょうか。
なぜ在庫を持たねばならないのか、という点を考えるために、「リンゴ」と「自動車」の在庫の違いについて考えます。
リンゴを仕入れて販売するとします。リンゴがその日のうちに完売すれば、在庫をもつ必要はありません。ただし完売しなければ、倉庫に保管されている分が在庫となり保管費がかかります。また放っておくと腐ってしまいます。
一方、自動車の場合は少し複雑です。自動車は5万点を超える部品から成り立つといわれます。シート、エンジン、タイヤ、シャーシなど全ての部品を一斉に仕入れて、一度に組み立てるのはほぼ不可能です。そこで、組み立て終わった製品のほかに、製造途中の製品(仕掛品)も在庫と呼ばれることになります。仕掛品が増えると工場の保管費や労務費がかかりますので、在庫にかかる費用を削減し、経営改善しようというのは理にかなっているようにみえます。
自動車の場合、在庫を減らすにはサプライチェーン全体を見ていく必要があります。最近ではとくに、生産拠点の海外移管にともない輸送も複雑になっています。適正な量の在庫が確保されていないと、製品のリードタイムが伸びてサプライチェーン全体に影響が出てしまいます。

在庫のコントロールによる原価削減を考えるカギとなる棚卸資産の評価法6つ

一方で、在庫を抱えることによる財務上の問題があります。企業会計制度において、棚卸資産(商品、製品、半製品、仕掛品、原材料その他の資産)の評価法として低価法を選択すると、売れる見込みのない在庫は資産として評価されず、不良資産として売上原価に計上されることになり、原価アップにつながってしまいます。
まず、棚卸資産の評価法は、以下の6点があります。

  1. 個別法
    仕入時の価格でで評価する方法です。個別の商品について実際の仕入・払出をそのとおりに計算するので、手間がかかるのがデメリットです。さらに、規格に応じて価額が違うものなどへの適用は認められていません。
  2. 先入先出法
    商品や資産仕入れた順に販売、使用されていくと仮定することで、棚卸資産は期末にもっとも近い時期に取得されたものとして計算していく方法です。
    先に仕入れたものから先に売れていくというのはもっとも現実的であり、実際の資産の流れに一致しやすい評価法といえます。一方、物価の変動に左右されるので、インフレ時には利益が実際よりも多く、デフレ時には実際より小さくなってしまう点がデメリットです。
  3. 総平均法
    期首の棚卸資産の取得価額の総額と、期中に新たに得た資産の取得価額の総額を合わせ、その金額を棚卸資産の個数で割って計算する方法です。
    計算がもっとも簡単ですが、期末まで在庫の価額が把握できないのがデメリットです。
  4. 移動平均法
    仕入れごとにその時点の在庫と仕入れから、棚卸資産の平均単価を計算して評価していく方法です。総平均法と違い毎回計算をしていくことになります。計算が複雑になる一方で、リアルタイムに状況が把握できるようになります。
  5. 売価還元法
    種類の近い商品をグループとして扱い、期末時点の販売価額での合計額に原価率をかけて計算する方法です。原価率は、「期首の棚卸資産の取得価額と期中の仕入棚卸資産の取得価額の合計額」を「期末の棚卸資産の販売額と期中に販売した棚卸資産の販売価額の合計額」で割って算出します。
  6. 最終仕入原価法
    期末に一番近い仕入時の金額を取得価額として計算します。計算が簡単である一方、期末まで評価できない点がデメリットです。評価方法を選択しなかった場合、棚卸資産は最終仕入原価法によって評価されます。

2006年より棚卸資産評価に対して低価法の適用を義務付け

原価法のいずれかの評価方法により評価した金額と、期末時点での時価のうち低い金額のほうで評価するのが低価法です。
2006年7月5日付けで企業会計基準委員会より「棚卸資産の評価に開する会計基準」が公表され、公認会計士の監査が必要な上場企業等業に対しては棚卸資産評価に対して低価法の適用が義務付けられました。

キャッシュフローが改善すれば企業の足腰を強くできる

在庫をまったく持たないのは、昨今の製造業のサプライチェーンから考えて困難ですが、過剰な在庫を持つことは、キャッシュフローを悪化させます。資産を在庫ではなく、キャッシュという形で保有していれば、設備増強による生産性向上や新製品開発による需要喚起など、企業価値向上のための活動に振り分けることが可能になります。
やみくもに在庫を悪とするのではなく、「過剰」な在庫を減らすことを意識しましょう。そのための施策として「発注・出荷サイクルの短縮」「発注・出荷ロットサイズの縮小」などが考えられます。その結果、リードタイムの短縮につながります。
サプライチェーンの強化のためにも、在庫コストの削減・最適化に取り組んでいくべきといえます。

著者プロフィール

富士通マーケティング

株式会社富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

20年以上のサポート経験から培ったスキル・ノウハウを基に、富士通マーケティングの先進の製造業サポート推進チームが、日本の製造業の動向や現状の課題を紹介していきます。
基本のQCDや環境、安全など、毎週、旬なトピックスを展開します。

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