Skip to main content

Japan

第29回 AI、ロボットによる日本の製造業の変化 現場の自動化で生産効率はどうなるか

日本の製造業革新トピックス

富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

2017年12月01日更新

製造業の従業員1人当たりの付加価値生産性は、1970年代のオイルショック、1990年初頭のバブル経済崩壊で日本企業の成長に急ブレーキがかかったあとも、2004年ごろまで右肩上がりで上昇しつづけてきました。
このオイルショック後の製造業の効率化を支えてきたのが、生産の自動化です。プログラマブル(プログラミング可能)なCNC(Computerized Numerical Control)工作機械や産業用ロボットが導入され、1980年は産業用ロボット元年となりました。
生産機械にマイクロプロセッサを搭載してプログラムによって制御することで、大量生産一辺倒から多品種少量生産が可能になり、生産の自動化と効率化が進められてきたのです。

「インダストリー4.0」構想下でも、生産現場の自動化・効率化でトップを走るのは日本

欧州の技術大国ドイツでは「インダストリー4.0」構想が提唱され、第4次産業革命の到来かと世界の製造業に衝撃を与えました。
インダストリー4.0で目指すのは、人工知能(AI)、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)、M2M(Machine to Machine、機械同士の融合)、ビッグデータ等の新技術を活用し、少ないマンパワーで効率的に操業できる「スマート・ファクトリー」です。生産ラインがネットワーク化されリアルタイムに連携し、少量多品種、高付加価値の製品を大規模生産するのが、スマート・ファクトリーの理想とされています。
理想の実現のために、インテリジェントな生産システムが自律的に生産しやすいよう、従来の製造業で伝統的に採用されてきたライン生産(水平連携)とセル生産(垂直連携)の折衷案ともいえる「ダイナミックセル生産方式」が考案されました。
どこがダイナミックなのかというと、ダイナミックセル生産方式では、ラインの工程をいくつかに分けて、工程を担当するロボットが自らクラウド上に集約された情報にアクセスし、リアルタイムで生産していくのです。そこに人間が介在する余地はありません。
実を言うと、生産現場の自動化・効率化でトップを走るのは、日本だという見方もあります。人件費の上昇や少子高齢化の問題から、国内での労働力確保に課題を抱えてきたわが国では、「インダストリー4.0」構想が登場するずっと以前から、冒頭で述べたように官民挙げて製造業の自動化を進めて生産効率を上げてきていたのです。
キヤノンやコマツ、パナソニックなど、国内の製造業大手でもスマート・ファクトリー化を進める動きはいくつもみられます。

ハード面での対応は十分、産業の高度化に対応するための働き方を考える

こうしてハード面では、十分スマート化を進めてきたわが国のものづくりですが、今後の課題はもしかしたら、人間の知能に近づけたAIの開発やクラウドコンピューティング、ネットワーク化といった課題よりも、それらを統括する我々がどうやって動き、産業の高度化に対応していくかということを考える点にあるのかもしれません。
2030年には現在の職業の約半数がAIに取って代わられるという研究もあり、人工知能は人間そのものを代替するテクノロジーだとして、雇用機会が奪われるという懸念もあります。AIの高度化に伴い、生産効率向上には、人間とAIが受け持つ業務の棲み分けがもっとも大切になると考えます。

人間とAIで業務の棲み分け、人間はコアな業務に専念

通信大手のソフトバンクが開発したロボット「Pepper」は、「感情エンジン」と「クラウドAI」を搭載した世界初の感情認識ヒューマノイドロボットです。
人間を認識して挨拶したり、顧客のニーズを聞き出すといった接客に必要な動作が可能で、ヤマダ電機やみずほ銀行では、店頭の接客対応にPepperを導入しています。
ヤマダ電機の店頭では、Pepperが顧客を探し、商品や人にぶつからないように接近して話しかけます。顧客の情報や声を推定することで、相手の情報を認識し、ふさわしいと判断した接客プランを提案します。Pepperがまず会話をリードすることで、顧客のニーズを探り出し、最終的に販売につながれば、在庫確認や配送手配も行います。在庫チェックや配送手配は、人間よりコンピューターのほうがすぐれているのは疑いないでしょう。
ヤマダ電機の2015年3月期の業績において、売上高販管比率は25.1%(前年同期から3%増)を占めています。Pepperを導入することで接客の効率化を図り、販管費の圧縮を目指すといいます。導入コストを上回る成果を出せるかどうかは未知数の部分がありますが、興味深い事例といえるでしょう。
この例から「接客対応係の雇用がロボットに奪われた」という見方もあります。しかし、逆に考えれば、接客業務から解放されたぶん、他の仕事に充てられる時間が増えたということでもあります。
人工知能・ロボットの高度化が進んでいますが、クリエイティビティーという面ではまだ人間には及んでいません。在庫チェックや配送手配といった定型化した作業はロボットに任せ、人間はその強みを生かし、販売戦略(MD)の立案などよりコアな業務に専念できるようになるのです。
生産現場も同様で、AIやロボットを活用した生産効率向上の取り組みには、我々の働き方の変化がカギをにぎっているのです。

著者プロフィール

富士通マーケティング

株式会社富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

20年以上のサポート経験から培ったスキル・ノウハウを基に、富士通マーケティングの先進の製造業サポート推進チームが、日本の製造業の動向や現状の課題を紹介していきます。
基本のQCDや環境、安全など、毎週、旬なトピックスを展開します。

関連情報

お問い合わせ

Webでのお問い合わせ

入力フォーム

当社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用しております。

お電話でのお問い合わせ

0120-835-554 お客様総合センター

受付時間 9時から17時30分まで
(土日、祝日及び当社指定の休業日を除く)
[注] お問い合わせ内容の正確な把握、およびお客様サービス向上のため、お客様との会話を記録・録音させて頂く場合がありますので、予めご了承ください。