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Japan

第28回 工場の現場の見える化がもたらす製造工程の効率化アップとモチベーションアップ

日本の製造業革新トピックス

富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

2017年11月13日更新

生産現場の見える化は、業務の効率化だけでなく、そこで働く従業員のモチベーションアップにもつながるといわれています。その事例をご紹介します。

生産数やエラー数などをチャートで見える化、オムロンの事例

制御機器の分野で世界をリードするオムロンは、生産ラインに使われる機器ひとつひとつを制御するシステム「Sysmac(シスマック)オートメーションプラットフォーム」の開発を手掛けています。自社の主力製造拠点である草津工場でも、プリント基板と電子機器の生産ラインに同システムを導入し、日々生産現場の改善に取り組んでいます。
ただ、日々改善を継続していくと、生産現場の効率性が高まる一方で、伸び代は少なくなってしまいます。そこで、富士通はこのSysmacに集積されたビッグデータを分析することで、生産現場を「見える化」する手法を提案しました。
4工程に分かれた複雑な生産ラインの情報をSysmacで一元管理し、ラインを流れる製品ひとつひとつの生産状況を「タイムラインデータビジュアライゼーション」というレポートで「見える化」しました。生産数やエラー数などをチャートで一目瞭然にすることで、生産現場がスムーズに動いているかどうかが把握しやすくなりました。
データを「見える化」したことで、これまで伸び悩んでいた生産効率の改善に劇的な変化が見られるようになったのです。

見える化で全体最適化を推進、従業員の意識向上で生産効率が約30%もアップ

これまで、エラーが発生した場合、超一流の熟練技術者の勘と経験を頼りに原因を究明しても6時間程度かかっていたのが、誰でも1時間程度でエラーの原因を突き止めて、解決できるようになったのです。
そうなると、現場の従業員の意識も変わってきます。レポートを見れば、だれでも自分の持ち場のエラーに気付けるだけでなく、他のラインで起こっている状況についても把握できるので、視野が広がります。また自分の担当だけでなくライン全体を見通した改善提案が生まれるようになりました。
その結果、生産効率を示すCPH(チップ・パー・アワー:1時間でチップを実装する数)はなんと、数ヶ月で約30%もアップしたのです。

従業員のモチベーションを引き出しつつ、コスト意識を高めて業務効率化:西村製作所

もう一例は、愛知県で大手航空機メーカー向けに航空機用治工具や部品の個別受注生産を手掛ける西村製作所の事例です。社員数79人の小規模世帯ですが、生産現場へのIT導入による見える化で業務改善を進め、2012年度の「中小企業IT経営力大賞」に認定されています。
同社は、品質とコストでは他社に優位性を保っていた半面、いわゆる1点モノの製造を主体としているため見積もりの見通しが難しく、コスト競争力に劣るという課題がありました。
そこで、経営課題を解決するためには、目標と実績の数値化をすることで、製造過程での達成度評価や問題点の早期顕在化を目指す取り組みを開始しました。
ただ、こうした仕組みは、これまで品質を優先して製作に取り組んで来た従業員に「利益重視」「成果重視」ととられかねず、一歩間違えば、モチベーションを損ないかねません。
そこで、弱点であるコスト面に焦点を絞りつつも、ITをうまく活用することで分かりやすく生産効率を上げて社員のモチベーションを維持しつつもコスト意識を変えていく方策を講じました。 生産管理システムの導入による施策と結果は以下の通りです。

  • 見積りシステムを活用し製造工程の目標時間を設定した上で、各工程の作業時間消化度を見える化→業務効率のアップ
  • 自動工程設計システムや工程情報システムの導入で工程を可視化し、課題・問題の早期発見が可能に→トラブル解決が迅速化し、納期厳守、工期短縮を実現
  • 作業データを蓄積して問題を解析→解決策の蓄積、経験値のアップ・共有
  • 社員の目標管理と製造成果をリンクさせる→社員の能力評価が容易に

働く人のモチベーションを引き出すことこそが、製造工程の効率化アップへの近道

上記の2例は、見える化と社員のモチベーション向上をうまくリンクさせたことで、業務の効率化につながった事例です。
初回でも述べた通り、見える化は単に製造現場を可視化するだけではありません可視化することで、収益の改善や生産効率のアップ、異常の検知といったことの解決を図ることが目的です。具体的に言えば、問題を解決することで経営を改善し利益を確保することが最終目的といえます。
ビッグデータやAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)を駆使した「スマート工場」やドイツが提唱する「インダストリー4.0」など、IT技術の進歩を背景にしたさまざまな生産現場の改革案が論じられています。しかし、どんなに技術が発展し、ロボットが優秀になろうとも、生産現場の要がそこで働く人々であることに変わりはないでしょう。
働く人のモチベーションを引き出すことこそが、製造工程の効率化アップにとって最重要といえます。

著者プロフィール

富士通マーケティング

株式会社富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

20年以上のサポート経験から培ったスキル・ノウハウを基に、富士通マーケティングの先進の製造業サポート推進チームが、日本の製造業の動向や現状の課題を紹介していきます。
基本のQCDや環境、安全など、毎週、旬なトピックスを展開します。

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