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Japan

第26回 3Dプリンターを活用したものづくり デジタル化とネットワーク化による製造業の変化とは

日本の製造業革新トピックス

富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

2017年10月05日更新

経済産業省が2012年に製造業の企業を対象に実施した調査で、先進技術に対する企業(製造業)の関心動向について聞いたところ、「3次元プリンター(3Dプリンター)」に対する関心があると回答した企業は全体の40.8%に上り、「先端複合技術」(58.5%)、「3次元スキャン」(43.2%)に次ぐ比率となりました。「3次元プリンター」に対する関心を業種別で見ると、「一般機械」が51.7%と最も高く、以下「輸送用機械」「電気機械」が続いています。従来の金型に替わり得る技術として、3次元プリンターに対する機械系業種における関心の高さがうかがえます。数年前の調査なので、3Dプリンターに対する認知が広まった最近では、関心をもつ企業はもっと多いことでしょう。一方で、同調査によると「3次元プリンター」や「3次元スキャン」、「ナノ製造」といった製造プロセスに関する技術や、素材に関する技術(「先端複合材料」)への関心が高い一方で、「ビッグデータの活用」や「スーパーコンピュータの活用」といったIT関連の技術に対する関心が低い傾向がうかがえます。調査結果からは、ものづくりの現場でのIT化が遅れている可能性が考えられます。

3Dデータの活用でものづくりのコストを減らせ

3Dプリンターに限らず、ものづくりのデジタル化やネットワーク化といったIT技術は、製造業の常識を大きく変える可能性を秘めています。
ビジネスのグローバル化で製品のコモディティ化が進む中、日本のものづくりは、品質やアイディアとともにコストも削減していかなくてはいけません。ものづくりの品質やスピード、コストで優位性を生み出す1つの手法として、3Dデータの活用が有効手段のひとつだと考えられます。
従来の2次元設計では2次元CADデータをもとに試作品を作り、試験で部品の相互干渉や流体の確認といった有用性をチェックします。しかし、3次元データでは、試作品づくりの前段階でそういった確認が行えるため、2次元での設計に比べて大幅に試作回数が減らせ、開発コストや期間の短縮につなげられます。さらに、実際の製造段階でも、設計段階で作った3次元データをNC工作機に読み込ませることで、人間の手を介さずとも制御が行えます。
また、完成後の製品に対する各種のサービスでも、3Dデータが活用できます。設計データから作業指示書・組立指示書(生産現場向け)を作成し、営業サイドでも見積もりの作成に役立ちます。また、保守・サービス部門でも、不具合の対応や保守・メンテナンスする際の資料として活用できます。このように、1つの3Dデータが何通りにも活用できることで、ものづくりに対するコストを減らすことができるのです。

大規模な自前の生産拠点を持たないものづくり企業が世の中を変えていく時代に

また、ものづくりのデジタル化、各パーツを組み合わせれば製品を完成・機能させることができるモジュール化によってもっとも恩恵を受けているのは、新興メーカーかもしれません。ここ数年で私たちの生活を大きく変えてしまったスマートフォンはそのいい例です。製造技術の蓄積のない新興国の企業でも、市場参入が容易になっています。日本ではあまり見かけることがないかもしれませんが、新興国のデジタルショップを覗くと、聞いたこともないような新興メーカーのスマートフォンがたくさん並んでいます。そもそも、スマートフォンを生み出した故スティーブ・ジョブズ率いる米アップルも、自前の工場を持たないファブレスなものづくり企業です。この例は、大規模な自前の生産拠点を持たなくても、ものづくり企業として世の中を変えていけるということを示しています。

ものづくりはデジタル化とネットワーク化で、個人の手に回帰していく

クリス・アンダーソン著「MAKERS―21世紀の産業革命が始まる」は、「21世紀の製造業は、アイディアとラップトップさえあれば誰もが自宅で始められる」と述べています。まさに、デジタルデータさえあれば、熟練技術者の技術をコピーできてしまう3Dプリンター時代のものづくりを示しています。
これまで、ものづくりといえば、まずは金型を作り、工作機械などの大規模な投資が必要とされていましたが、デジタルデータさえあればちょっとしたものが誰でも作れる時代がやってきています。そうした中、個人による自由なものづくりの可能性を広げるための場として、3次元プリンターやレーザーカッターなどの多様なデジタル工作機械を備え、市民が自由に集うことができる「ファブラボ」が世界各地で設立されています。2012年時点で40カ国145カ所におよび、現在もその数は増え続けています。
プリンターが平面か3Dかという違いはあるものの、ちょうど、家庭用のPCとプリンターが普及したことで、個人が思い思いの年賀状を家庭で作れるようになった時期と似ています。
伝統的な工芸から大量生産時代を経て、ものづくりはデジタル化とネットワーク化で、個人の手に回帰していくのかもしれません。

著者プロフィール

富士通マーケティング

株式会社富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

20年以上のサポート経験から培ったスキル・ノウハウを基に、富士通マーケティングの先進の製造業サポート推進チームが、日本の製造業の動向や現状の課題を紹介していきます。
基本のQCDや環境、安全など、毎週、旬なトピックスを展開します。

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