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Japan

第24回 世界で注目される遺伝子組み換えの食品トレーサビリティ

日本の製造業革新トピックス

富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

2017年08月25日更新

遺伝子組み換え食品問題のほか、食中毒や産地偽装、賞味期限切れ食品の販売など「食の安心・安全」を脅かす問題が発生する中で、食品のトレーサビリティ(生産履歴追跡)に対する社会の意識は高まってきています。まずは、消費者と企業側、双方の意識について調査したアンケート結果を見てみましょう。

日本で食品のトレーサビリティを求める意見は全体の8割

2012年に社団法人食品需給研究センターが実施した「食品のトレーサビリティに関するWeb意識調査報告書」によると、20 歳から69歳までの男女2003名のうち、「食品の追跡可能性(トレーサビリティ)を高める取組みが生産の段階から小売・外食の段階まで広く行われるようになることは、食生活において重要であると思うか」という設問に対し、「重要である」、「どちらかといえば重要である」と回答した人の割合は、それぞれ 34.9%、45.7%と高い関心があることがわかりました。双方を合計すると、8割以上の人がトレーサビリティを高める取組みが生産の段階から小売・外食の段階まで広く行われるようになることが食生活において重要だと認識しているということになります。
「重要でない」、「どちらかといえば重要ではない」と回答した人は、男性が合わせて4.1%であるのに対し、女性は 1.6%で、食の安全への関心は、女性のほうが高いようです。
トレーサビリティが重要だと考える理由は、「食中毒等の食品事故が発生したときに、食中毒等の原因の解明がより速やかに行われるようになること」が 76.7%で最多でした。次いで、「食中毒等の食品事故が発生したときに、問題のある食品の回収がより速やかに行われるようになること」66.4%、「食中毒等の食品事故が発生したときに、責任の所在がより明確になること」59.2%の順でした。(複数回答)
このほか、「産地や生産者と消費者とのつながりが親密になる」という生産者・企業と消費者とのコミュニケーションの緊密化を求める声や、「輸出の際の重要な武器になる」、「TPP が実施されるようになったら必須」といった、将来の食料輸入・輸出に目を向けた意見も見られました。この意見でも指摘されているように、環太平洋経済連携協定(TPP)では大豆などの遺伝子組み換え食品に対し、情報交換をするための作業部会が設置されることが明らかにされており、たとえわずかであっても遺伝子組み換え作物が混入した事例があれば、参加国間で共有するよう求めていく方針です。

食品関連事業者に対する自己規制が求められている

取り組みの主体については、「食品関連事業者や、消費者、国、地方公共団体が、一体となって取り組むべき」という回答が 49.8%と約半数を占めています。次いで、「食品関連事業者が社会的責任として取り組むべき」が27.2%、「国や地方公共団体の責任として取り組むべき」が 15.5%と多く上がっています。国や地方公共団体といった「お上」の規制だけでなく、食品関連事業者に対する自己規制が求められていることがわかります。

内部トレーサビリティの実施状況は約半数、生産側の認識も向上

一方、農林水産省の「平成27年度 農林水産情報交流ネットワーク事業 全国調査食料・農業及び水産業に関する意識・意向調査」によると、入荷した食品(原料)と製造した食品(製品)を対応づける記録を保存する取組(内部トレーサビリティ)の取組状況は、「全ての食品で「内部トレーサビリティ」の取組を実施している」と回答した割合が42.6%と約半数に上っており、トレーサビリティの重要性は生産者側でも認識が向上していることがうかがえます。一方で、内部トレーサビリティを実施していないという企業からは、必要性を感じないという意見のほか、「内部トレーサビリティの取組を行うと作業量が増加するため」(33.1%)、「取引先からの要望がないため」(25.2%)といった回答がみられました。

国内外で注目を集める遺伝子組み換え食品問題、トレーサビリティにも強い関心

このように、日本国内では消費者・企業双方とも食品のトレーサビリティに対する意識が向上していることがわかります。以前紹介したように、日本国内で流通している遺伝子組み換え食品は厳正な審査を受けた一部品種に限られていますが、それでも食品の安全意識の高まりとともに、見逃せない問題のひとつになっています。
米国では先述したように大手食品メーカーのロビー活動もあり、遺伝子組み換え食品に対する規制や表示義務は国の方針としては棚上げされていますが、遺伝子組み換え食品に対する国民の関心は高く、30以上の州で表示義務を定めた法の制定を求める運動が行われており、大手メディアが実施した世論調査でも、90%以上の国民が「遺伝子組み換え食品を表示すべき」と回答しています。欧州ではすでに規制が始まっています。
TPPの発効で、これまで以上に農業や貿易の拡大が進むと考えられる中、遺伝子組み換え食品のトレーサビリティは、世界が注目する課題になることは間違いないでしょう。

著者プロフィール

富士通マーケティング

株式会社富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

20年以上のサポート経験から培ったスキル・ノウハウを基に、富士通マーケティングの先進の製造業サポート推進チームが、日本の製造業の動向や現状の課題を紹介していきます。
基本のQCDや環境、安全など、毎週、旬なトピックスを展開します。

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