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Japan

第23回 なぜ日本企業は海外進出を目指す?改めて考え直す海外生産とグローバル戦略

日本の製造業革新トピックス

富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

2017年08月04日更新

生産のグローバル化が進む中で、製造業の海外拠点はますます重要な役割を担うようになっています。
自動車メーカーや家電メーカーを代表とする製造業各社はこれまで、「従業員の現地化」「生産の現地化」「調達の現地化」を進めてきました。こうした動きは主に、海外拠点を生産拠点としてみなす流れに沿ったものです。
しかし、日本国内では少子高齢化が加速し、残念ながら内需は年々縮小しています。今や、海外に市場を求めないと活路を開けないところにまで追い詰められているといえます。
そうなると、海外生産の次なる一手は「開発の現地化」となるのではないでしょうか。

生活密着型製品の家電、アジア発の発想活かしてヒット商品生み出す

日本のものづくり企業の多くは、日本で企画・開発した技術や製品を海外で量産するという流れが主になってきました。しかし、日本人による発想では、海外市場のユーザーが本当に求める製品が作れていない可能性があります。
たとえば、家電。家電は電気製品の中でも一番人々の生活に密着し、その土地の気候や風土、文化、社会背景や家族の在り方などが反映される製品です。
江上剛氏の『負けない日本企業 アジアで見つけた復活の鍵』という著作に、面白いエピソードが紹介されています。パナソニック・マレーシアの松永陽介社長(当時)にインタビューした内容なのですが、インドでは「うるさいエアコン」のほうが売れるというのです。日本企業はその細やかさや技術力を以てして、できるだけ静かで省電力、それでいて涼しくて快適という高性能エアコンを作ろうとするでしょう。しかし、インド人にいわせると「音がうるさいほうがクーラーが効いている感じがする」のだとか。また、灼熱のインドでは24時間クーラーをつけっぱなしにするからリモコンは必要ないし、細やかな温度調節もなくていいという意見もあったそうです。そこでパナソニックは、インド系マレーシア人の社員にマーケティングや開発を主導させ、クーラー内部にとりつけるファンを大きくして、意図的に大きな音が出るようにしたところ、ようやくインド人に満足してもらえる製品になったそうです。
さらに、オーディオ機器に関しても日本人とインド人では発想が違います。「日本企業の得意技は小型化」という指摘がある通り、どんな製品もできるだけ小さく、それでいて精巧に作るのが日本のものづくりの神髄でもあります。まさに、清少納言が『枕草子』で「ちいさきものはみなうつくし」と述べた精神は脈々と受け継がれています。しかし、インドでは事情は異なるようです。ビデオカメラやスピーカーなどはできるだけ大きいモノのほうが「なんだかプロっぽくてカッコイイ」という理由で人気があるのだとか。
さらに、パナソニックがアジア地域だけで展開している製品として、天井扇や温水シャワーなどがあります。気温の高いアジアで販売する製品なので、温水器といっても熱いお湯は必要とされないなど、これまた現地の事情に合わせた商品開発をしているもようです。
パナソニックは昨年、アジア・太平洋地域23カ国での家電事業を統括する新会社「パナソニック・アプライアンス・アジアパシフィック社(PAPAP)」をマレーシアに設置し、「事業戦略」「マーケティング」「ライフスタイル・リサーチ」「商品デザイン」といった商品開発に関わる工程の現地化を進めています。
同様の動きは家電大手のシャープも進めており、昨年から生活家電の海外マーケティングをマレーシアで統括しています。先ごろ同社がマレーシアが開発・販売した蚊取り機能付きの空気清浄機はインドネシアやタイ、シンガポールなど近隣諸国でも人気となり、日本に「逆輸入」されました。
家電大手が開発拠点をマレーシアに置く背景として、同国はイスラム教徒のマレー系、イギリス植民地時代の移民の子孫である華人、インド系の住民のほか、インドネシアやフィリピンなど近隣のASEAN諸国、中東、バングラデシュやネパールなど南アジアなどから広く人々が集まる多様性社会だということがあります。異民族間で意思疎通を図るための公用語として広く英語が使われているため、現地語メインの国よりも意志疎通がしやすく教育レベルも高いため、研究開発といった高度な工程も現地化しやすいというメリットがあるようです。

拠点の高度化には人材が不可欠、企業の在り方もグローバル化を

ただ、こうした上流工程を海外拠点に移管するには、業務を任せることのできる高度な能力を持った人材の採用、育成、さらに事業を継続するための長期的な雇用が必要になります。日本に比べ海外では「ジョブホッパー」と呼ばれる短期間で転職を繰り返す社員が多いといわれますが、多くの場合は給与や昇進、仕事のやりがいなど、待遇に不満を感じて辞めるといわれます。
そこで働く従業員が企業運営の基本となるのは、日本でも海外でも同じことです。グローバル戦略を考え、海外拠点の能力を最大に引き出すには、まず企業の在り方も「現地流」を取り入れグローバル化していく必要があるのではないでしょうか。

著者プロフィール

富士通マーケティング

株式会社富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

20年以上のサポート経験から培ったスキル・ノウハウを基に、富士通マーケティングの先進の製造業サポート推進チームが、日本の製造業の動向や現状の課題を紹介していきます。
基本のQCDや環境、安全など、毎週、旬なトピックスを展開します。

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