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Japan

第21回 ドイツ流ものづくり『インダストリー4.0』とIoTが融合した未来の工場はどうなる?

日本の製造業革新トピックス

富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

2017年07月07日更新

欧州のものづくり大国ドイツが提唱する「インダストリー4.0」構想。インダストリー4.0は、ビッグデータ、人工知能(AI)、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)、M2M(Machine to Machine、機械同士の融合)等の新技術を活用し、最終的には少ないマンパワーで効率的に操業できる「スマート工場」を目指しています。
今回は、世界のものづくり大手が進める「スマート工場」への取り組みを見ていきましょう。

より賢く、より早く、よりデジタルで反応が早い未来の工場を目指すエアバス社

ビッグデータや3Dプリンタなど、現在のものづくりの最先端となるキーワードをふんだんにちりばめた最新鋭の工場やものづくり設備を擁するのが、航空大手のエアバス社です。

エアバス社の「未来の工場」に対する理念や取り組みを知るためには、こちらの動画を見ていただくのがよいでしょう。
エアバス社は、未来の工場に必要とされる要素として、「Smart(より賢い)」「Faster(より素早い)」「More digital(よりデジタル化を進んだ)」「More reactive(より反応がよい)」の4点を重視しています。そして、この4点を実現するには、IoTによってオートメーション化された生産設備とAIを搭載したスマートなロボットたちをつないでいくことが欠かせないといいます。

1000以上の部品が3Dプリンタ製、エアバスの航空機製造ではすでに実用段階

エアバス社の未来の工場で欠かせないエッセンスが、3Dプリンタによる部品の製造です。興味深い点として、同社は3Dプリンタによって部品を「製造」するのではなく、「育てる」という表現を使っています。たしかに、3Dプリンタでコピーされた部品たちは、パーツをひとつひとつ作り上げるというよりは、部品そのものを生み出すといったほうがしっくりくるかもしれません。
3Dプリンタでの生産のメリットは、「原材料の省資源化」「生産工程のスピーディー化」に加えて、「軽量化」という点があります。軽量化は航空産業には至上命題のひとつともいえますが、3Dプリンタ製の部品は従来の手法で製造された部品に比べ、40%の軽量化を実現したそうです。Airbus社ではすでに3Dプリンタは実用段階にあり、航空機A350 XWBは2015年時点で1,000以上の部品を3Dプリンタで製造しています。このほか、人工衛星用部品の製造でも、3Dプリンタは活躍しています。

製造プロセスにおいて競争力を高めるうえで不可欠な製造現場のスマート化

エアバスは、作業員を中心にすえた製造現場のスマート化も推進しています。
そのカギとなるのが、サイバーフィジカルシステムとビッグデータ解析システムです。
研究者・科学者・エンジニア・共同経営者をデジタルでつなぐRHEAテクノロジーによって、3Dデジタルモデルの導入を実現しています。RHEAとはResearch(研究)Human(人類)Ergonomic(人間工学)Analysis(解析)の略で、専用のメガネをかけてスクリーンの前に立てば、3Dデジタルの世界でデザインをしたり、社員のトレーニングを行ったりすることが可能になります。
また、生産現場の人々が3Dデジタルのモックアップ模型にアクセスできるMiRA(Mized Reality Application)テクノロジーも、生産現場の効率性向上に役立っています。リーチが難しい角度や動きが制限される狭い場所という現実空間でのフィジカル的な足かせを取り除くことで、世界最大サイズの航空機として知られるA380機の点検期間が、3週間から3日に短縮できるようになったといいます。
エアバス社は、こうした工場のスマート化を「製造プロセスにおいて競争力を高めるうえで不可欠なもの」と述べています。

「インダストリー4.0」は日本のものづくりに新たな息吹を吹き込む第一歩になる

スマート工場の発展は、少子高齢化が進み労働人口が減っていく我が国にとっても朗報です。日本は人口減と賃金の高止まりを海外に生産拠点を移すことでカバーしてきましたが、中国やアジア諸国の経済発展で、それも年々難しくなっているからです。生産工程をロボットに置き換えることで、労働力問題の解決を図れると考えられます。また、「AIに雇用が奪われる」という懸念もありますが、完全ファブレスながら革新的な製品で世界を席巻した米アップルの例をみればわかる通り、ものづくりが高度化するほど、システムや企画といったクリエイティブな分野でのマンパワーが必要とされるようになります。
1990年代のバブル後の「失われた20年」、さらに2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災と経済環境が低迷する中、日本の製造業は一部の分野を除いては、大型の設備投資を控え、「安全第一」を重視した経営方針を打ち出してきました。しかし、「インダストリー4.0」構想のように製造現場にイノベーションが求められる世界的潮流のもと、企業は最新技術に対する攻めの姿勢が不可欠となっています。
ロボット技術は日本が優位性を保っている分野のひとつであり、労働力をロボットに置き換える過程の中で、革新的な製品が生まれる可能性もあります。キヤノンはいち早く、2018年を目途に国内のデジタルカメラ生産を完全自動化すると表明しています。こうしたロボットやファクトリーオートメーション(FA)の革新化は、日本のものづくりに新たな息吹を吹き込む第一歩になる可能性を秘めています。

著者プロフィール

富士通マーケティング

株式会社富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

20年以上のサポート経験から培ったスキル・ノウハウを基に、富士通マーケティングの先進の製造業サポート推進チームが、日本の製造業の動向や現状の課題を紹介していきます。
基本のQCDや環境、安全など、毎週、旬なトピックスを展開します。

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