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Japan

第20回 原価が変わる在庫削減のための在庫最適化の取り組み

日本の製造業革新トピックス

富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

2017年06月23日更新

製造業や流通業など、多くの企業はなぜ在庫を持つのでしょうか。それは、在庫を持たないことで販売機会の損失につながる可能性があるからです。また、在庫があることで製品リードタイムの短縮化につながることもあります。とはいえ、多すぎれば売れ残り在庫や在庫保有コストを抱えることになってしまいます。このように、在庫を適正化することは永遠の課題ともいえます。

製品の重要度を重み付けして効率的な管理を行うABC分析

生産現場では、在庫の適正化にさまざまな取り組みが行われています。
例えば、ABC分析は「重点分析」とも呼ばれ、多数ある品目の中から重要な順にA群、B群、C群とグループ分けをし、それぞれ仕分けしたグループ内で重み付けをして在庫を管理する手法です。多くの場合、A群(10%:主力商品)、B群(20%:準主力商品)、C群(70%:非主力商品)という分類をします。
それぞれの在庫管理の方法は以下のようにします。

  1. A群:売れ筋の商品なので、細かく需要予測をして予測誤差が少なくなるように気を配る。発注間隔やリードタイムの縮小に務める。
    一方で、余計な発注をして在庫商品を傷めたり、紛失したりすることがないよう、在庫として滞留する時間を調整する。
  2. C群:あまり動きのない商品なので、発注業務や入出庫管理など在庫管理の手間を省略するようにする。ロットでの発注や混載などで、発注・運搬にかかるコストや工数を削減する。
  3. B群:AとCの中間の管理を行う。
    一般的には、売り上げ上位20%の製品で全売上げ高の80%を占めているといわれます。製品の重要度を重み付けすることで、効率的に在庫管理を行います。

必要なものを、必要なときに、必要なだけ調達するジャスト・イン・タイム

また、某大手自動車メーカーによって世界的に有名になった「ジャスト・イン・タイム」も在庫管理の一手法です。
「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」という管理手法で、「ムダ・ムリ・ムラ」をなくすことで生産効率の向上を目指します。
ただ、自動車は3万点もの部品で構成されていることから、すべての在庫を適正な水準で調達するには、緻密な調達計画が必要です。
第10回でもご紹介したように、2007年に起きた新潟県中越沖地震では、新潟県柏崎市にある自動車部品工場が被災したため、自動車メーカー12社もほぼ全面的に生産停止となりました。在庫を持たないことで、災害などで調達計画が崩れた場合どのようにリカバリーをするのかというリスクヘッジもあわせて計画しなくてはいけません。

気象協会、ビッグデータを分析して需要予測・在庫圧縮に役立て

在庫の適正な管理を行うには、需要を正確に予測する必要があります。そこで最近では、情報システムを用いてデータ分析をすることで、高度な需要予測をたて、在庫分析に役立てる企業も増えています。
ビッグデータを使った在庫調整と需要予測の事例として、おもしろい取り組みを紹介します。
日本気象協会は、「需要予測の精度向上・共有化による省エネ物流プロジェクト」を実施しています。なぜお天気予報と在庫予測が関係あるのかと疑問に思うかもしれません。しかし食品業界では、暑い夏に食べたい冷やし中華のつゆや炭酸飲料、逆に寒さの厳しい季節に身体を温める鍋物やおでんなどの売れ行きは、天候に大きく左右されます。
同事業では、2014年度に某大手食品メーカーの冷やし中華のつゆ、2015年度に某大豆加工食品メーカーの豆腐を対象に、関東圏で事業を実施しました。売上、発注量、廃棄量といった各種データを収集し、気象データとともに分析します。食品メーカー、卸売事業者、小売事業者の各社に分析した情報を提供しました。
従来は、この製造・卸・販売業者間の情報共有がうまくいかず、生産量や注文量が過大となる需要のミスマッチがたびたび発生していました。しかし、今回日本気象協会が提供したデータをもとに生産量を調整した結果、冷やし中華のつゆは前年と比べ2割弱の在庫圧縮につながったそうです。
2015年度は関東から全国へと広げ、対象商品も売上高世界最大の食品メーカーの日本法人のコーヒーや某飲料・食品メーカーの炭酸飲料に拡大しました。さらに、ツイッターなどのソーシャルメディア上で消費者がシェアした内容や体感温度なども合わせて分析することで、さらに精度を高めていく計画です。

機械学習で需要予測、誤差率1%の新製品も

某大手ビールメーカーもまた、デジタルデータをビールなどの需要予測に役立てています。工場から卸売業者・販売店を経由して消費者に届くまでのリードタイムは主力商品で10日ほどです。定番品であれば過去のデータをもとに予測しやすいものの、新商品はデータがないので分析しにくいのです。そこで、機械学習を利用して、新製品と過去の製品の出荷・実販データから複数の規則性を見つけ出し、需要予測に役立てるシステムを開発しました。驚くべきはその精度で、予測値と実売の誤差が10%以内の製品が多い中で、わずか1%という誤差率の新製品もあったそうです。
同社では、在庫の適正化だけでなく、どのタイミングでどういう製品を投入し販促活動を行えば売り上げ増につながるか、というところまで活用していく意向です。

著者プロフィール

富士通マーケティング

株式会社富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

20年以上のサポート経験から培ったスキル・ノウハウを基に、富士通マーケティングの先進の製造業サポート推進チームが、日本の製造業の動向や現状の課題を紹介していきます。
基本のQCDや環境、安全など、毎週、旬なトピックスを展開します。

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