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Japan

第18回 製造工程・現場の見える化で工場の生産性向上を目指せるか

日本の製造業革新トピックス

富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

2017年05月26日更新

海外メーカーなどとの価格競争が激化する中、ものづくり企業にはこれまで以上に生産性の向上が求められています。
とくに、製造業の最前線である製造工程・現場の見える化で工場の生産性向上について見ていきましょう。

システムカメラで文字通りの「見える化」を推進

某総合電機メーカーは、製造現場に設置したシステムカメラから得た映像を活用して、モノづくり現場の改善活動を支援する「工場見える化」システムを提供しています。
通常「見える化」は製造業のさまざまなデータなどを計測し、数値化することで、さまざまなムダを取り除き、生産効率を上げる取り組みのことです。しかし、このシステムでは映像で記録することによって、文字通り「見える化」をします。
工場でのムダとりは、作業者が通常通り作業する横で、計測者がストップウォッチをもって作業時間を測り、チェックします。しかし、カメラで記録するのであれば、ずっとつききりで作業をチェックしている必要がなく、後で記録した画像を見ながら対応策を話し合えばよいというわけです。
また、導線や生産ラインの変更をした場合など、ビフォー・アフターの映像を見比べることで、改善につながっているのかどうかも、容易に検討ができます。
ただし、ムービーカメラを使って作業を記録しようとすると、カメラを意識するあまり、通常作業の様子とは異なる映像が記録されてしまうこともあります。そこで、自動的に映像を記録するシステムカメラを用いることで、「ありのままの」生産現場の様子が記録できるのです。
システムカメラでの見える化は、ソフトウェアの活用でその利用範囲を広げることも可能です。同社が開発したソフトは、工程の異常などを通知するアンドンをIPネットワークと映像機器でデジタル化したものです。工程に遅れが発生すると、その場所にカメラが向いて自動録画を開始します。このように、生産設備や製造管理システムからのアラートを受けてカメラを制御することで、生産現場の異常が発生した「まさにそのとき」の映像を記録し、関係者全員で共有して改善に向けた材料とすることができるのです。

日本の「見える化」は海外で通用するのか

製造コストの削減を目指し、製造拠点を海外に移転する動きは今後も大きく変わる見通しはないもようです。
一方で、日本ならあうんの呼吸で通じるはずの「常識」が海外拠点の従業員相手にはまったく通用しないということもあります。
ところで、第8回で紹介した「見える化」を進めるための5つのステップを覚えていますか。
ステップ1:作業の目的を明確にする
ステップ2:製造工程を整理整頓し、環境を整える(5Sの推進)
ステップ3:作業員だれもが判断基準を共有
ステップ4:異常が発生した場合、どのように処理すべきかをルール化する
ステップ5:根本的な原因究明と横展開をし、従業員に共有する

ステップ5にあるように、見える化最大の目的は、情報を共有することで作業に関わる全ての関係者に当事者意識を持たせ、現場の改善を進めることにあります。
しかし、「見える化」は裏を返せば、業務の問題点を顕在化させる手法ともいえます。多くの日本人であれば、問題点が見えればそれをなんとか解決に導こうと努力するのですが、国民性によっては「責任をとりたくない」「問題解決は自分の業務範囲ではない」「そもそも問題を顕在化させたくない」という意識が強く働き、「見える化」の導入に対して強い反発が起こることもあります。このように海外の拠点で日本国内と同じように業務改善を図ろうとしても、まったくうまく運ばないというケースが往々にして発生します。そうした際は、その国の文化や国民性を反映した業務改善システムを考える必要があるでしょう。
例えば、見える化を「問題点を指摘するツール」ではなく、「作業者に気付きを与えるツール」として運用してみてはどうでしょうか。生産目標と現在の実働をともに表示し、遅れが発生している場合はアラートを表示させます。そこで、管理者が遅れているラインに行って「問題点が発生しているか」「何かあればサポートしますよ」と声をかけるようにすると、作業者自身の意識のなかに、進捗管理に対する意識が芽生えるようになります。
また、先の上述の事例で紹介したような、生産設備や製造管理システムの異常の見える化も海外生産拠点では重要になります。生産性向上意識の低い文化では、「機械の故障=休憩」ととらえがちで、すぐに解決しようという意識がなかなか働かないからです。また、日本のマザー工場と違い、海外工場は量産目的が多く、現場で取り扱う加工機械の点数も多くなりがちなので、それだけ設備の点検には注意する必要があります。

生産性向上は最優先課題に

ここまで、「見える化」を推進して、工場の生産性向上を進めるためのヒントについてお伝えしました。生産性向上はコストの削減にもつながるため、全ての製造業が真っ先に取り組むべき課題だと言えます。

著者プロフィール

富士通マーケティング

株式会社富士通マーケティング 製造業サポート推進チーム

20年以上のサポート経験から培ったスキル・ノウハウを基に、富士通マーケティングの先進の製造業サポート推進チームが、日本の製造業の動向や現状の課題を紹介していきます。
基本のQCDや環境、安全など、毎週、旬なトピックスを展開します。

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